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神で職人て変か?  作者: Sohki
目覚め編
15/85

神様、更なる訪問客

ハーデスのおっちゃんが来て散々だったあの日を境に洋裁に打ち込んでるルシエラが可哀想なので流石に贔屓とは言え王。


そんなに来れないだろう&あの土産を楽しんでると思いルシエラをアトリエに呼んだ。今日は確か予約に大層な名前無かったよな?とまたバックヤードでチェックしてるとカウンターの方からルシエラが挨拶している声が聴こえる。


ん?誰か来たか…


「いらっしゃいまー…は?」


止まった。


お前らは暇人か!!


ハーデスのおっちゃんよりかは紳士だがタラシだぞコイツ。


百合の紋様の刺繍の入ったモーニングスーツに襟足長めの赤髪で赤い瞳。頭には1対の角の美青年。


はぁと溜め息をついてから取り敢えず睨みつける。


「なんか用か?」


ロキは睨みつけたままだ。


「あ!ロキ!久しぶりー!!何年?ねぇ?何年ぶり?数十年振りかな??それとも数百年振り?」


無駄にチャラい爽やかスマイルだな。


「だからなんだよ?」


睨みつけたまま応える。


「何か冷たくないー?」


「あのロキ様この御方は?」


ルシエラが不思議そうに聞いてくる。


「あぁ、そいつ?そいつは…」


割って入るかのようにそいつが…


「オレの事気になるなら本人に聞きなよー?お嬢さん♪」


うぜぇ…ヴィーナスとまで行かないけどうぜぇ。


「はいはい。この子は俺のお手付きだからお前はハエとかと居ろよ」


「もう冷たくない?そのお詫びに来たんだってば!商談しようよ?」


「幾らだ?」


端的に言うロキ。


「ちょ、酷いってば…キミも思うよね?」


そいつがしょぼくれてルシエラに向かって言う。


「ハエの世話しろタラシ」


「ハエ?」


ルシエラはきょとんとして言う。


「ルシファーの原因コイツ。ルシフェルをタラシ込んだ魔王サタン本人。上客だが滅多に来ない買い溜めタイプ」


「はぁ…」


ルシエラもポカンとするわな。


「んで、幾らだ?」


「それで良く接客勤まるよねー…キミも思わないー?あの日探したらルシファーてば魔法薬でも治らないくらいの全治10ヶ月くらいの怪我してたんだよ?」


サタンがルシエラに近ずこうとするので、ルシエラを抱き寄せて引き離す。


「知るか…それで済んで良かったじゃねぇかよ。良く来てくれるハーデスのおっちゃんとか他にも目利きのある人が居んだよ」


そう言うとサタンが嬉しそうに…


「あ♪ハーデスから聞いたよまた技術が上がってたって!だからお詫びも兼ねて一先ずコレだけ持ってきたよ」


サタンは指を5本立てる。


「聖金貨一括な?」


「気に入ればカードも使うよ?」


「チッ…てめぇ昔から苦手だ。足元見んな」


「オレって手に入れるまで結構しつこいんだよねー?天界屈指の美少年…キミも欲しかったなー」


「きめぇ話すんな。野郎に興味ねぇよ」


「オレ性別どちらにでもなれるよ?」


「俺は男と認めてる限り絶対有り得ねぇし、ルシエラが居る」


「視野狭ぁー」


「うっせぇー」


そんな言い合いをしながら傍らに居るルシエラに耳打ちで、


「アイスのセイロンティー…ミルクとシロップ付きで。2段目の棚に山羊のアンティークのティーカップがあるからそれな」


と言うと、


「はい」


と一言言い、ルシエラはパタパタとバックヤードに飛んで行った。


「相変わらずオレの好み覚えてるしー。今日の気分も分かるなんて何だかんだで好きなんじゃんオレの事♪」


「相変わらず地獄耳だな…上客じゃなきゃ無視してる。おら、指と腕見せろ」


「はいはーい。ほら」


あ?前よりかなり痩せてる…歳か?見た目は25歳くらいのままなのにな…


「前に買ったヤツとかどうしてる?特にリング系」


「んー?付けてないケド、一応お気に入りは持って来てるよ?何でー?」


「痩せてるから調整すんだよ!ちゃんとメシとか食ってんのかよ?」


「気にしてくれてるー?」


ニヤニヤと此方を伺う反応がうぜぇ。


「早く出せ…コレクション数によれば時間掛かるかもだ。調整代も貰うからな?」


「ちゃっかりしてるね…ほらコレだけー」


ん?これって…


「まだ持ってたのかよ…初めて造ったgoat series 001」


サタンはニコニコ笑いながら言う。


「だってオレの象徴(シンボル)は山羊だよー?運命じゃん?黒山羊なんて好みだったし♪」


このseriesはサタンかバフォメットの象徴(シンボル)がどちらか分からず造ってたヤツだ。


「何千年前と思ってんだ!あの時とかなり変わってんじゃねーかよ…どっちに付けてた?」


「こっちー」


相変わらずうぜぇ…左手の薬指出してんじゃねぇよ。明らか嘘だろ…あ?いや、骨の癖と合ってる。


「お前は変態か?」


「何でー?」


取り敢えず無視して作業するロキ。


「ロキー。ねぇロキ!」


しつこく声を掛けてくるサタンに応える。


「集中させろよ。何だよ?」


神様状態(ゴッドモード)で接客してよー?貸し切りなんだし♪」


「あ?喧嘩なら買うぞ。貸し切りにしてるつもりはないぞ?」


「オレは本気だよー?だって空間捻じ曲げてるのオレだからお客さんは誰も来ない」


通りでこいつ来る時はいつも誰も来ないのかよ…まぁ、金落とすから良いけど。


作業に集中してるとサタンは勝手に空いてる手でリングを外して行く…邪魔だ。


作業に集中していたらいつの間にか指輪全部抜かれてた。


どうやったんだ?マジシャンか?後チョーカーとネックレスとカフスしか残ってない。


数分後。


「久しぶりー。やっぱり神童は変わらずなんだね?」


あ?視界がズレたと思ったら全部アクセサリーが机の横に退けられてた。


マジかよ。集中してたからって片手でなんて有り得ないだろ。


「満足か?もう動くな」


足掻いても無駄だ…金を巻き上げる事にする。


「オレも金銀妖瞳(ヘテロクロミア)ならなぁ…お揃いなのに片目しかお揃いじゃない…何でも覚えれる脳と観察眼…魔力操作も完璧…オレにも上級魔法教えてくれない?」


「うるせぇから黙れ。魔法は本出してあるから読め…気ぃ向いたら教えてやる」


「冷たいけど優しいから好きなんだよね…フフ」


何か浸ってる。年寄り臭くなったなコイツ。


「ロキ様ー?入れてまいりました…え?」


止まるルシエラ。そりゃ神様状態(ゴッドモード)晒してるからだよな。


「あー、気にすんなソコ置いてバックヤードに居ていい。用があれば呼ぶから」


「はい…分かりました」


素直にバックヤードに行ってくれた。


「またねーお嬢さん」


「てめぇは黙れ」


黙々と時間が過ぎる…古すぎるんだよコレ。完璧骨の型になってコイツの魔力馴染んでるんだけど。あー、イライラして来た。


サタンは呑気に紅茶飲んでやがるし。


「ダメだコレ。少し借りるぞ」


アトリエ内を一通り見てから高級品からレア物そしてgoat series 666の刻印入りドッグタグとブレスレットとnumber系と他もいくらか取る。


「いくつかの質問する。正直に応えろ。好み変わったか?」


「んーん」


「石の趣味は?」


「黒ならなんでも、珍しいモノはもっと好き」


「トランプとかで好きな数字は?」


「ジョーカー」


「数字つってんだろ」


「えー」


「もういい…俺の最高傑作なら気に入る気あるか?」


「ロキの最高傑作?!興味あるからyes!」


「分かった」


手元に残したアクセサリーを魔力で分解する。この店最高級のブラックダイヤとgoat series 666のドッグタグのプレートを合わせる。そしてDeath series JOKERの紋様をブレスレットの666の刻印と対になる様に写す。


サタンは子供の様に目を輝かせていた。


「おい。リングはもう嵌めるの辞めておけよ」


「えー?なんでー?」


「痩せたら抜ける。落としたりしたら戻らないからな?」


「だから持ってたんだけど」


「大事ならチェーンとかにでも通して持てよ」


「此処じゃなきゃヤダ」


「今回からはもう辞めておけ」


「分かったよー…最高傑作魅せてよね?」


「分かってる」


Death series JOKERの紋様ちょっと特殊仕様にしてたから中々写らねぇ…力を入れるのに集中する。


「流石に神童の神様状態(ゴッドモード)での作業だね…オレでも辛いよ?聖域とほぼ同格の場にするとか有り得ない…くっ」


サタンがなんか言ってるが無視だ無視。黙々と作業するだけ…時間が過ぎる。


ふぅ…取り敢えず出来た。


ドッグタグとブレスレット両方悪魔の数字666だ。気付いたら夕方か。


3~4時間コレだけに掛かったのかよ…こんなに掛かるとかマジで有り得ねぇ。


取り敢えずサタンを見ると目が合った?いや、ずっと見つめてたのか?暇人か?


「フフ…」


あ?何かうっとりしてる?変態確定。


「何だよ?」


「最高だよロキ…キミって本当に最高。ドッグタグの締め付ける鎖の太さも長さも最高…キスするとこにコレは黒いダイヤモンド?珍しいし最高…ブレスレットはロキの死神が見詰める」


あ?大丈夫かサタン?なんか気持ち悪いぞ?


「コレ貰う。言い値でイイよ」


あぁ、気に入って悦に浸ってだけか。


「材料費だけで予算飛ぶぞ?カード一括なら受けてやるが」


「良いよほら」


ジャケットの胸ポケットからブラックカードを出して渡された。


「金額聞かねぇのか?」


「オレは言い値でイイって言ったよ?」


「分かった…領収書は」


「名前空欄でもいける?」


「今回だけな…おら、確認しろ」


「倍だけでいいの?3倍は取られると思ったのに」


「俺は妥当な値段しか書かねぇよ…取られてぇのかよ?」


「んーん。ありがとうねコレ」


チュッと出来上がったアクセサリーにキスするサタン。


「あ、良いから病人は早く帰れ」


「あれ?バレてた」


「痩せ方が異常なんだよ…浮いた金で何か食ってろ」


「はーい」


棒読みで…


「会計の方、聖金貨10000枚になります。カードにてお取引させて頂きました。ありがとうございます』


と営業スマイルで言いお辞儀するとサタンはご機嫌で出ていった。


魔装具を付けて行く。一通り付けて椅子にもたれ掛かる。


「ルシエラ…何か冷たい飲み物と冷しぼ持って来て…」


そう呟いた数分後。ルシエラはジャスミンティーと冷たいおしぼりを持って現われた。


「ありがと。流石に疲れたわ」


「お疲れ様です…でも、どうして神様状態(ゴッドモード)に?」


「あぁ、さっきのはサタンの手癖が異常なんだよ」


「神童とはどう言う事ですか?神の子なら皆神童になるのではないのですか?」


聞こえてたのか…ルシエラは子供の頃ちゃんと見てないもんねー。


「サタンはあの見てくれでもゼウス爺並に古参なんだよ。子供の頃の俺を知ってんだ」


「子供の頃ですか?」


「見るか?1枚だけどゼウス爺と初めて物作りした時のがある」


「興味はありますが…嫌ではないのですか?」


「ルシエラの言う事なら何でも聞くよ」


ジャスミンティーを飲むロキ。


「では拝見させて頂きます」


「待ってろ。『ファントム、シリアルナンバー7のキー持ってアトリエ』」


思念伝達(テレパシー)でファントムに言う。


10分後アトリエにファントムが来た。アトリエは保管庫にもしてあるのだが鍵はファントムにしか持たせてない。


「ほら、コレ」


「わぁ…お人形さんみたいです」


「その時造ったのがゼウス爺の象徴(シンボル)の杖だ」


「え?象徴(シンボル)?そう言えば何か持たれてる絵とかありますね」


「だから神童て呼ばれてたんだよ昔。周り皆神の子なのに可笑しくねぇ?」


「でも、この場を見ると納得してしまいます…清められ過ぎですよ?此処」


あー?周りを見る。


月の涙(つきのひとしずく)が散らばってる。


サタンの野郎…魅入って動けなくなってただけか相変わらず変態野郎だ。あれにも多少効果はあるだろう…全力(フルパワー)だったし。


疲れた。

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