神様、昼下がりの出来事
前日迄の徹夜が祟ってか昼まで寝てしまった。特にする事も無いので屋敷をルシエラと散歩していると、後ろでルシエラがロキ様の寝顔可愛いかったなんて言っているが、大丈夫だ…ルシエラ。お前の方が可愛いからな?そんな事を言うのはルシエラお前くらいだからな?
「所でロキ様ー?」
「何だ?俺、変な寝言でも言ってたか?」
「いえ…そうではないんですけど。どうして私を翼人型にしたんですか?」
あー…いつか言われると思ってたな。唯一無二の存在を創る為とは言えないしなぁ…
「雲雀みたいな可愛い子が良かったからだ」
ある意味本当だ。
「それと自分に無いものがある子が良い」
これもある意味本当だ。
「えー?それじゃあ私って何になるんですか?」
「成ろうと思えばなんにでもなれる。天使族なら片翼を、魔族ならもう片方を、人族なら両翼を、神に成りたければ俺の血に賭けて成らせよう」
「それって何かズルみたいで嫌ですよー」
パタパタと飛びながら不貞腐れてるルシエラ。
「ルシエラはルシエラで良いんだよ」
そう願って俺はルシエラを造り上げた。
「ロキ様って神様なんですよね?偶に魔族より魔族らしく見えますが…」
「残念だが俺は神様だ」
ルシエラは少し考えてから言う。
「神様ってなんでも出来るんですか?」
「それは違うな。神と言えど万能型は稀だ」
「私はロキ様の弱点が知りたいんです」
膨れながら言うルシエラも可愛い。
「残念ながら俺は稀にみる万能型だ。敢えて弱点を言うならお前だルシエラ」
「えー!それって何かズルいです」
と言われてもなぁ…と考えてるとルシエラが、
「じゃあ、ロキ様此処まで来てください!それっ!」
ルシエラが上空まで飛んでいった。あー?10mくらいか?何歩で行けるかな…トントンっと空を切って登って行く。なんて事ない、魔力を応用して靴の裏に魔法陣を展開して空中でも歩けるよう固定しているだけだ。
「8歩か…来たら何かあるのか?」
「翼人以外が飛べるなんて聞いてません」
膨れてる…可愛いからつい口元が緩んでしまうのを隠しつつ。
「魔術の応用だし神は飛べる奴多いぞ?魔族もな」
今もルシエラの手を取り魔法陣を固定させ浮いている。
「あ、そう言えば言う必要無かったから言わなかったけど…俺ルシエラより先に死ぬ可能性あるかもよ?」
飄々と言うロキ。
「はい?!」
ルシエラがビックリした顔でこちらを見る。
「この高さから落ちたら脳がやられるかも…脳は複雑だから再生難しいんだよね。脳死になるかも」
下を眺めるロキ。
「ロキ様すみません!!降ります!降りますから!!」
「ご褒美がまだから駄目ー」
駄々を捏ねてみる。
「もう!分かりましたから体重かけないでください!!」
と言うとルシエラは軽くキスをしてくれた。
「ロキ様重いです!!飛べるんでしょ!!」
虐めるのはこのくらいにしておこうか。
「分かった分かった…1…2…3歩!着地」
軽々と着地するとよろよろとルシエラが降りてきた。
「ロキ様…いざとなったらアクセサリー取ったらいいんじゃないですか?」
「あれは数千年掛けて集めた物だから駄目だ…ルシエラのそのリングでも半分とはいえ1500年前くらい前に集めた物だからこれくらいするよ?」
と指2本立てた。
「現世的な価値で20万か200万ですかー?」
「残念だ。聖金貨で2000枚」
「聖金貨で2000枚…え?200億?!」
ルシエラはその額を聞いてロキが普段全身に気軽に付けてるアクセサリーの総額を考えて青ざめ恐怖に変わった。
「だから無くさないでね?」
偶には散歩も良いなと思ったロキであったのだ。