神様、闘いより論破
取り敢えず折れた柱を復元してから射撃場に向かう。
建物は主の成長とともにある。屋敷を改良してるのも維持してるのも俺の魔力が根源だ。
射撃場に着きルシエラには開発したての小型の拳銃を、俺はアクセサリーさえ外していれば拳銃が無くても行けるので手をトリガーを引く体勢で構える。
「ルシエラ。その拳銃についての注意事項はふたつ。1つ目は魔力を込めたら玉になる。2つ目は玉は2発同時思う方向に飛ぶ。以上だ」
「はい」
ルシエラは静かにそう言う。クレーン射撃なので早業対決だ。
「このゲームは2人同時に出来るからルシエラの声で出るように設定したからいつでも良いぞ」
ルシエラが目を閉じ暫く沈黙してから目を見開き言う。
「…開始」
的が両端から飛んでくる。間違えて撃つと減点になるんだが…ふむ、手応えないな。俺ハンデすべきだったか?
これパターン覚えてるし。チラッとルシエラを見る。
お?少しスピード上がって来たか?でも残念だな届かない。 最後の的を射抜き、点数差を見る。
「お?ルシエラ初めてにしたら俺と20しか違わないじゃねぇか」
素直に褒めたつもりだったのだが何処か悔しそうなルシエラ。
「ルシエラ…?」
「どうして?!どうしてロキ様は何でも出来るんですか?!」
あれ?涙目だ。何かやらかしたか俺?
「造ったのが俺だからな。パターン覚えてるし、意味が無い。ランダムでも同じだ。一定なんだよ」
言い訳になるかなぁ?そんな事を考えているとルシエラは、
「ロキ様はあの日言いましたよね?ルシエラお前は俺と同じだと…こんなにも違うのに同じなんて…」
あぁ、それか。
「それは違うな」
「え…?」
ルシエラはきょとんとしている。
「ルシエラは男と女の違う所は何処だと探しているのと同じだ」
例えると…
「男は攻撃特化型が多いが、女は演算特化型が多い。つまりお互いを埋め合わせれば完璧な特化型が出来ると思わないか?ヴィーナスの所に行ってルシエラは見事に隠れきれていたじゃないか?俺ですら至近距離のヴィーナスは無理だ。咄嗟の反応にしては上出来だったと思うけどなぁ…俺が後から来るのも無反応でしてたんだろ感知しやすかったぞ?」
ルシエラが思い出したのか、へたへたと座り込む。
「覚悟を決めた時もどうだった?弱い俺を見たから覚悟を決めて痛みにも耐えたんだろ?俺は確かにあの時辛いんだと言ったよな」
アクセサリーを付けながら語って行く。
「それと2面性を持つ俺を見ても動じなかった…ヴィーナスですら未だにあれだ。俺は自分の見た目が嫌で魔装具を付けて姿を少し変えてる…力が有ると気も周りの目も変わるんだよ。俺が作ったファントムとテレサとルシエラ…お前の反応は違ったな?ルシエラ、見た目と気が釣り合わないと疑問に思った事は無いか?」
ハッとするルシエラ。
「ルシファー様もヴィーナ様も反応した?」
最後のカフスを装着してから…
「ご明察。あのナルシストと自己中に嫉妬が芽生えたのはルシファーは散歩に連れて出た先で見たルシエラを俺に似せてると気付かず自分よりも美しい…と思ったからだろうな天使族は神の顔なんて見ないで声しか聴かない。絶対神の声が全てだからな。ヴィーナスはどうだ?神なのにあのザマだ…ルシエラ?お前は違うだろ。神の俺の全てを捧げた最高傑作だと言っているじゃん…何を悲観になる必要がある?」
ルシエラに近寄り抱き寄せ頭を撫でる。この数日間寂しかったんだろな。
「今日は一緒に寝ような」
「…はい」
ルシエラはまだ少し涙目だが納得したみたいだ。
「所でロキ様は完全なモノを作りたいのですか?」
んー?そうじゃないんだよな。補える相手を造りあげたかったからルシエラを誕生させた。
まぁ、この事は秘密で。