神様、仕事の説明
屋敷に戻り荷物をテレサ達に任せると、ペガサス馬車の中でしていた俺の仕事の話の続きが聞きたいとの事なので屋敷内のアトリエに来ている。
屋敷の一番日当たりの良い裏庭側にある大部屋のショーケースの中に入ったアクセサリーを見ているルシエラ。
そう言えばルシエラ此処に来た事ないな…表玄関の真逆に位置する隠れ気味の裏庭側だからか?逆側の裏庭のガゼボには行くみたいだけど何でだろ?
つーか、神様が布一枚をくるくる巻いて羽織ってるなんていつの時代だよ!洋裁の工房もうちにはあるよ。
趣味の物作り=趣味兼仕事なんだよ。
ルシエラはそれを理解して無くて…なんで毎日美味しいご飯が食べれるのか、そしてヴィーナスの館を見てどうして俺の屋敷が大きいのか?
何が違うのかって思って聞いてきたらしい。後、使用人さん達にはご飯は?とか色々聞かれたよ。応えれる事は応えたけど…覚えれるのか?
基本的に俺の屋敷はシフト制。使用人には各々個人部屋を与えている…つまりは住み込みだな。造ったの俺だし。ノイアーとミアは2人部屋を希望したから共同個室だ。
食事は不要だが与えているアクセサリーで魔力を補ってる。数年に1度は補填が必要だ。食べれない事もないが基本的には魔力の供給だけで済む。
シフトが長いのがファントム→テレサ→イヴ→キャリー→ノイアー→ミアの順。
基本的にはファントムは秘書兼書類検査員と皆のまとめ役。メイド達はこのだだっ広い屋敷の掃除と料理で終わる事が多い。
ルシエラもアクセサリー付けた俺と同等の魔力と力なら仕事教えても良いかなとは思う。
問題はセンスがあるのかどうかなんだけど…ファッション系は行ける。偶に既製品だとサイズ無くて作らせてるし。主に胸の所為で。
アクセサリーとかジュエリーだな問題は。何見てもキラキラしてたから分からん。受注生産だからな俺ん所。大量にも作る事もあるけど基本的に一点物。
偶に思い出して復刻版て出すとかなりの希少価値がつく時もある。まだ難しいだろうから慣れてる洋裁の子供服から頼むか。神様にも色んな柱が居る。大人の姿が良いって奴から子供の姿が良いって奴等etc…
あ、そうだ。ルシエラ用のアクセサリー思い付いた。魔力抑えるのばかり作ってたけど増強するの作ってみたら良いかも。
因みに俺の作る物にはオリジナルマーキングツールでマークしてるんで偽物はすぐ分かるからルシエラにも教えておかないと。
そんな事を教えた次の日。
やってしまった。研究魂に火がついて造ったら偉いもん出来た。
ルシエラの髪の毛弄りたくて造ったヘアアレンジのアクセサリー数個と工房に篭もりきりで造った武器数点、試しに一番魔力の弱いミアにひとつ選ばしたら髪の毛弄りたいから括るって言うからヘアアレンジのアクセサリー渡したんだよ。そしたら、
「旦那様。柱が折れました…ぐす…申し訳ございません…うわぁーん!!」
と大泣きながら報告して来たんだよな。
説明聞くといつも通りのやり方だったらしいが、ミア確か握力24位なのに雑巾越しで真っ二つに折れたとか言う。
いや、魔力増強だよな?
筋力増強じゃないよな?
取り敢えずミアには説明してアクセサリーを返して貰った。てか、柱一本で済んで良かったわ。改良だな…
取り敢えず造ったモノどうするかなぁ…破棄するか?と悩んでたらルシエラが飛んで寄って来ていた。
「ロキ様?如何されました?」
「あー、ルシエラか。実はルシエラ用にアイテム造ってたんだが恐ろしいモノが出来たみたいなんだわ」
「どう恐ろしいのですか?」
「一番ひ弱なメイドのミア居るだろ試しに実験したら広間の柱が折れたらしい」
ポリポリと頬を搔く。
「え?その柱って横1m縦10mの大きいヤツですよね?さっき前飛んでたら破片が頭に落ちて来たので見ましたよ」
危ないだろ!!ルシエラは危機能力が少し抜けてる。
「ルシエラ…危ないから近付くなよ?もう直すから」
マジでどうするかな。
「今日はもう移動しませんよ…ロキ様を探してただけなので。最近見掛けなかったので暇があれば探してたんです」
「あ…悪ぃ。工房に篭もってたんだ。ありがとな」
取り敢えずルシエラ分でも補給しとこうかな…疲れたし。
「テラスでお茶でも飲むか?」
ルシエラは少し考えて、
「私とお手合わせお願いできませんか?」
と応えた。
「ん?いきなり何言うんだ?」
手合わせなんかして怪我でもしたらどうするんだ。
「私が試しにしてみたいのです…」
「いやいや。ルシエラは俺がアクセサリー付けた位のレベルなんだぞ?」
「違います…アクセサリーを取り外したロキ様と手合わせです」
無駄にエンジェルスマイルが眩しい…徹夜明けだからか?
「俺は手出し出来ないからな…傷付けたくないし」
「はい!それは大丈夫です。私もロキ様に手は出せません」
「取り敢えず裏の闘技場行くか?」
「いえ、射撃場でお願い致します」
射撃場?何でそんなに所に?ルシエラは持ってるアイテムのひとつを指差した
…小型の拳銃だ。