第12話 母娘 『11月19日(日)』
次回甘甘(の予定)なので微糖ですよね
「お、お邪魔します……」
「どうぞ楽にして。ごめんなさいね、遥が無理言って」
「いえいえ、わざわざ送って頂いて……」
「邪魔でしょ? 母親が一緒だと。どうしてその辺りまで考えが及ばないのか……」
「お、お母さんうるさい!」
き、気まずい。一人だけ場違い感。
「結糸くんも、遥に無理なこと言われたら無視して良いのよ」
「いえいえ、誘われたのは嬉しいですから」
「遥も、横暴な彼女は嫌われるわよ?」
「分かってるってば! ママは運転だけしてて!」
賑やかな母娘だなぁ……
「ごめんね、お母さんが……」
「『ママ』じゃないの? 遥」
「うるさい!」
からかうとキレられた。割とガチで。
「口が滑っただけ」
「でも家では『ママ』なんでしょ?」
「う、うぅ…………そうだけど、何か悪い?」
キレて開き直りという定番なコースを踏んで立ち直る遥。
「悪くない。ただかわいいなぁと思っただけ」
「ぅみゅ…………」
「あ、ごめん………………」
……気まずい。
「良いなぁ、羨ましいなぁ、ママも青春したいなぁ」
「う、うるさいってば!」
「『ぅみゅ……』とか言いたいなぁ」
「記憶にございません。身に覚えがありません」
「『かわいいなぁ』とか言われたいなー」
「う、る! さい!」
娘をいじることに関しては天下一だなこの人。
「ママ、あとどれくらいで着く?」
開き直って普段の呼び方に戻した遥が聞く。
「んー、あと15分くらいかな」
「じゃあ結糸、何観るか決めよう」
「僕はなんでも良いよ?」
「そういうのは女の子に嫌われるらしいよ」
「でもなー……映画とかあんまり分かんないし」
「良いから! 一緒に決めよ!」
そう言って遥がスマホをポケットから取り出す。携帯を買ったとは聞いていたけどまさかスマホだとは。うらやまけしからん。
「ネットも使えるんだ」
「うん! えっと、今やってるのはこれ」
遥が画面を見せようとくっつく。腕に当たる柔らかいものが何かは考えないでおこう。
「え、と。あ、これとか?」
指を指したのは最近CMで宣伝している学園恋愛ものの映画。クラスの女子が『めっちゃキュンキュンして感動した!』と言ってた気がする。
「あ、それ見たかったんだ! じゃあ決定!」
「うん。時間も大丈夫みたいだし」
「楽しみだねー」
「どんな映画?」
「確か少女漫画が原作とか想歌ちゃんが言ってたよ」
「へー…………」
待てよこれ。確かに言ってた。
『めっちゃキュンキュンして感動した!』
でもその後に言っていた
『でもちょっとエッチなシーンがあって、お母さんと観に行ったから困った』
と。
どうしよう
テスト三週間前なので突然失踪するかもしれません
安否が知りたい方はTwitter覗いてください
たぶん愚痴ってます