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謎の空間、謎の爺さん

「……つまり、魔王との闘いでやり過ぎて空間が歪み、俺が巻き込まれた、と?」

「おお!さすが若者は理解が早い!」


……今、俺の目の前には足まで付く程の髭を蓄えたお爺さんがいる。そして、かなり電波な発言をしているんだが、え、なにこれ?ひょっとして俺誘拐でもされた?


「……で、ここは何処なんですか。俺なんで誘拐されたんですか。」

「おおっと!全然信じてなかったようじゃわい!もう一度言うぞ。ここは我の部屋、特異空間に落ちてきたお主を拾ってここに連れてきたんじゃ。」


ちなみに今俺が居るのはごく普通のリビング。目の前にはちゃぶ台がある。あと、変な爺さんも。


「……」

「ようし。ここは我のスーパーパワーを見せてやるしか無いようじゃ。よく見ておれ、熊筆竜介(くまふでりゅうすけ)くん。」


なぜ俺の名を。と思った瞬間、

「おおっ!?」

突然ちゃぶ台が宙に浮かんだ!かと思うとぐるんぐるん回転しだしたぞ!さらに何処からか、陽気な音楽が流れてきた。


「まだ驚くには早いわい。それっ。」

「おおっ!」


今度は爺さんの両隣に小さなドラゴン?みたいのが現れた。ドラゴンは音楽とちゃぶ台の動きに合わせて踊ったり火を吹いたりしている。


「おおっスゲー!!」

「と、言う訳じゃ。」


おおーこれはすごい。

「へえ!面白いですね!帰る前にもっと色々見せてもらっていいですか!?」

と俺が言った瞬間、

……爺さんがサッと下を向いたぞ。

え、なにその反応。


「ど、どうかしましたか?」

「や、やっぱり帰りたい?」

あれ、これ、ひょっとして、

「あのう、俺、帰れるんですよね。」

「……ごめんなさい。」


え?


「……その謝罪はなんの謝罪ナノカナ?」

するといきなり顔をあげてサムズアップしながら、

「ごめんよ、帰れないんじゃ!」

「ええー!ちょっ、どうするんですか!?今夜見たいアニメだってあるのに!?」


毎週楽しみにしてた『いもこのーと』が見れないなんて……


「え、そこ?ま、まあ、少し話を聞いてくれ。お主は一端世界から消えた。これは早い話、死んだのと同じ様なもの。その為、勝手に元の世界に戻すわけにはいかんのじゃ。」

「そんな!?あなたが勝手に連れてきたんでしょうが!」


真面目な話をしてる中、ミニドラゴンとちゃぶ台はまだ音楽に合わせて踊っている。


「ま、まあ落ち着いてくれ。手はあるんじゃ。まず、お主を異世界に送る。その世界と元の世界は奥深くで繋がっておるため、頑張れば帰れる!ほら、ネット小説でよくあるじゃろ?異世界転移ってヤツじゃ!」

「いや、俺ファンタジー興味無いんで分からないですよっ!!てか、異世界ってどんなとこなんですか!?」

「うむ、お主を送りたい異世界は、お主の世界の古今東西の伝承、噂に登場するような生物がたくさんいる世界じゃ。ドラゴンやらキメラやら。お主の国の妖怪や、最近話題の洒落怖モンスターもおるぞ。あまり科学は発展しておらんが代わりに魔法が発展しておるの。」


ええ、そんな世界に行かされるの?死んじゃうって!?


「大丈夫!!我がお主にチカラを与える!ラノベでよくあるチートってヤツじゃ!」

いや、知らないって……てか俺の世界の文化に詳しいなコイツ。

「そうれいっ!えいやぁーー!!」


途端に俺の体が輝きだした。なんだか全身が温かい。それに、ものすごく力がわいてきたぞ?すごい、これなら何とかなる、かも?


「うむ。どうやら覚悟ができたようじゃな。」


覚悟も何も行くしかねーんだろうが!

足元に魔方陣?が現れた。そしてそれがどんどん光る、光る、光る。


「今から下ろすのは人気の無い村の前じゃ。そこは五百年の平和の歴史を持つ安全地帯。そこである程度準備をしてから東の町を目指すのがいいじゃろう。ほれっ、金貨じゃ。持っていけ。」


爺さんが袋を投げてきた。おお、金までくれるとは。

そして、光が一段と強くなった。


「もう時間が無いようじゃ。最後に……本当にすまんかった。頑張ってくれ。」


そう言って爺さんは頭を下げてきた。まあ、確かにとても厄介なことになったし、いもこちゃんの演劇が見れないのは悲しいし、次期アニメの『木造トリップ』が見れないのは悔しいが、


「……いえ、仕方無いですよ。」


まあ、今さら言っても仕方ない。せいぜい『ゆゆゆ』の二期までには戻ってこれるよう頑張ろう。あっそう言えば、


「ところで、俺はどんな力が貰えたんですか?」

「うむ、逃げ足をものスッゴク進化させといた。」

「それ、多分チートって言わないーーッ!!」


辺りは完全に光に包まれ、何も見えなくなった。

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