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箱物語

ウサギの家 (箱物語17)

作者: keikato
掲載日:2017/05/27

 森の奥。

 オオカミはエモノを探してうろついていました。

――うん?

 エモノのニオイです。

 オオカミはニンマリして、エモノのニオイのする谷間に向かって進みました。


 オオカミは谷間までやってきました。

 どうやらウサギのようです。

――おっ、あれだな。

 オオカミは小さな家を見つけました。

 窓からウサギが顔をのぞかせています。

――出てこい、早く出てこい。

 心の中でさけびました。

――ゴチソウのウサギ、早く出ておいで。

 その思いがつうじたのか……。

 ドアが開いて、ウサギがノコノコと外に出てきました。


 ソロリ、ソロリ……。

 オオカミはそうっと近づきました。

 そうともしらず、ウサギはわき目もふらずにニンジンを食べています。

――えいっ!

 オオカミは今だとばかりにとびかかりました。

 が、あとちょっとのところ.

 ウサギがピョンとはね、家の中に逃げこまれてしまいました。

 ドアを開けようとしましたが、中からカギをかけられたのか、どうしても開きません。

「ねえ、ウサギさん。おいらは遊びに来たんだよ。なあ、ドアを開けておくれよ」

「ダメだよ。ボクを食べるつもりなんでしょ」

 ウサギの声が返ってきます。

「きみを食べるなんて、とんでもないことだ」

「でもね。それを信じたばかりに、食べられてしまった仲間がたくさんいるんだよ」

「それは昔の話だよ。おいらはね、きみと遊びたいだけなんだから」

「ほんとに?」

「もちろんさ。おいら、そんな悪いヤツに見えるかい?」

 オオカミは窓辺に行って、せいいっぱいの笑顔を作ってみせました。

「そうだね。じゃあ、開けるよ」

 こうして……。

 まんまとウサギをだましたオオカミでした。


 入り口のドアが開きます。

「失礼しますよ」

 オオカミは体を丸めて中に入ると、すぐさまウサギめがけてとびかかりました。

 だがまたしても。

 あと一歩のところで外に逃げられてしまいました。

――くそー!

 反対側にもうひとつドアがあったです。

 ウサギを追って、オオカミはそのドアを抜けようとしました。ところがせまくて、小さく体を丸めても通り抜けられません。

 と、そのとき、頭の上で声がしました。

「よくやったぞ。さあ、ほうびのニンジンだ」

 それは人間の声でした。

――逃げなきゃ!

 オオカミはあわてて外へ出ようとしました。ところが、さっき入ったばかりのドアが開きません。

 猟師は、ウサギの家――ワナの木箱を背おいました。

 その猟師の足もと。

 ウサギがニンジンをかかえ、ピョンピョンととびはねています。


 猟師はウサギを連れて森へとやってきました。その背中には、今日もワナの木箱がありました。

「どうじゃ、オオカミはおらんか?」

 ウサギが鼻をヒクヒクさせます。

――うん?

 エモノのニオイです。

 ウサギはニンマリして、オオカミのニオイのする谷間に向かって進みました。

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― 新着の感想 ―
[一言] 賢いウサギですね! 教訓のある昔の童話のようです!
[良い点] 意外な展開。子供が読んだらどんでんぶりに驚くことでしょう。最後、反対にオオカミの匂いにニンマリするウサギが楽しかったです。すらすら読めました。
2017/12/24 03:57 退会済み
管理
[一言] 初めて感想欄にお邪魔します。 このお話、最後が、良かったです。 ウサギがすっごく悪いやつに見えました! 昔話でも、三びきのこぶたとか、最後に狼さん食べられちゃうのだけど、ぶたは、悪いやつに…
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