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「おい!大丈夫か?怪我してない?」
その人は、学生服をきてスナイパーライフルを持っていた。
「あぁ、貴方のお陰で怪我をしなずにすんだ。礼を言う。ありがとう」
「いえいえ。でも、そこまで警戒しないでくださいよ。俺はあやしいものではないですよ。まぁ~こんな所に来て警戒するなって言う方が無理ですけどね」
!!何故、警戒してることがバレた。父さんや燈の父さん、燈以外の人に隠してる心情がバレたこと無いのに。こいつ何者だ。
「今さ、女子の方さ何でバレた。こいつ何者やって思ったでしょ?何で分かったか知りたくない?」
「本当に君何者よ。それに、この世界の事何か知ってるの?」
「ん~まずは、僕は桜木紫音。高校2年生で身長は175㎝。次が何者かっていう質問だね。僕が何で君が警戒してるのが分かったかっていうと、実は僕サバゲーやってて相手のちょっとした動きで予想して動いていたら大体の感情が読めるようになっただけ。ただそれだけ。そして、君達同様この世界の事は知らない」
紫音は私達に細かく説明してくれた。
紫音は珍しい髪色をしていた。白髪に少し紫かかった色をしていた。そして、顔も整って格好いいより美しいという方があっている。こういうのがモテるのだろうな。
「私は橘藍。身長は160㎝。そして、こっちの男子が───」
「柊燈。高2で172㎝だ」
紫音は「よろしく」と言った。
「桜木は...」
「紫音でいいよ」
「紫音はどうやって、そしていつ異世界に来たんだ?」
私は聞いてみたかった。私達以外にも異世界に来た人がいるのだ。
「僕は学校に向かっている時、藍や燈を見掛ける...あ、見掛けたのは鳥形の敵を二人が斬ってる時に、援護しようとしたんだけどあまりにも速いスピードだから射撃する暇も無かったんだけどね。まぁ~その見掛ける前に僕も5体くらいゴブリンと戦ったんだけどその前かな。現実で急に激しい目眩に襲われて目を覚ましたらあのビルを挟んでの向こう側にいた」
どうやら、場所は違えど異世界に来る方法は一緒みたいだな。しかし、こっからどうするかだな。
「紫音はこれからどうする気なんだ?」
私が疑問に思っていたことを燈が聞いてくれた。
「燈だっけ。僕はこの世界から出る方法、そして何が起きたのかを調べたいと思ってる」
名前を確認したあと、燈と私を交互に見ながら話した。
君達はどうするの?と言った。
「私は、紫音の考えと一緒だ。しかし、一人や二人だと限度があるしモンスターがいるんじゃ危険だろう。だから、その、危険だし...なぁ~燈!!」
燈はハァーと言いながら私を見た。「素直になれよ」とでも言いたいのであろう。全く、しょうがないじゃないか、馴れないんだから。
「素直じゃないね~藍」
すばっと紫音に言われてしまった藍はショボくれた。
燈を見ると、首を横に回してぷぷぷっと笑っていた。絶対に後で懲らしめてやる。
「いいよ。仲間になるよ。僕も元々その気だったし」
紫音は呆れたとでもいうような顔をして私をみた。
「あ、ありがとう。よろしく」
藍が手を紫音に向けて出すと、紫音も「こちらこそ」と言って握手をした。
「でも、ここからどうするかだよな。ここには人もいないし、まずもって人がいるかもわからんし」
燈はう~んと言いながら考える時いつもやる腕を組んで首を傾げるポーズをした。
藍は何かないか?と紫音をみる。すると。
「そういりゃ、ビルに登った時自分が起きた方向をスコープで覗いて向こうの奥の方を見たら街が見えたよ。洋風の建物で明かりがついていた。人までは見えなかったけど」
藍はおっ!!と思った。
もしかしたら、人が居たら何か手掛かりが見つかるかも知れない。
「行ってみよう。そこの街に」
「おう!!暗くなる前に着けばいいけどな。俺達明かり持ってないし」
「あー、一様ライフルには小さなライトがついてるけど範囲が狭いから。まぁ~、危険なのは代わりないけど」
「そういう事らしいから街まで行くか。紫音、街までどれくらいの距離だった?」
「ん~多分50㎞だと思う」
50㎞か。今は一体何時なんだろうか。
「今、何時だと思う?」
「ん~何時だろ?」
「私が家を出たのが7時50分で燈と合流したのが歩いて5分程度だったから、7時55分位かな。そっから、倒れたんだけどどのくらい寝てたか分からない。けどそこまで時間はたってないと思うから。8時だと仮定して起きてモンスター襲撃・撃退で約30分程度。紫音と話した時間は約45分位だとすると、今の時間は9時15分位だな」
言い終わると燈は見開いていた。
「お前、やっぱり頭良いのな」
「「こんなん、誰でも出来るわ!!」」
藍と紫音は同時に突っ込んでしまった。
いやいや、流石にこんなん誰でも出来るわ。いやー久々に言葉訛ってもうた。燈ってどんだけ頭悪いんやろ。
「なぁ藍、燈って頭悪いん?」
二人同時に突っ込まれショボくれていた燈の肩がピクッと動いた。
「ん?紫音って関西とかそっち側出身なのか?」
「いや違うよ。ただ、好きになったアニメのキャラとかゲームのキャラがほとんど関西弁で、見てるうちに口調が移ったという感じでたまについポロッと出てしまうだけですよ。それより燈って......」
あっ!!と思い出したように声を出した。
「燈は頭は凄く悪いよ。体育以外全部赤点。何故か体育だけは満点。全く、この差は何だっていうんだよ」
藍はハァ~とため息をついた。すると、燈は「しょうがないじゃん!興味無いのは点数なんて取れないし!」と言った。
「んじゃー、さっきのも納得だわ」
紫音はうんうんと頷いた。
「さーてと街に向かって出発しますか。多分50㎞位歩きますよ。時間は今9時半位だし、日が落ちるのが現実と一緒ならまだまだ時間があるので休み休み行きましょう。疲れたら言ってくださいね。それより、紫音道なりはどうなってる」
私はまだ向こう側を見ていない。それに、視力は2.0だが限度がある。今頼りになるのは紫音だけだ。
「ビルの向こう側は潰れた家が街に向かってずっと続いていて、中間より少し向こう側から草原が続いていて、その向こうに街がある」
「ならば、その家を探索し使えるものを探そう」
「ということは、今日中に着くのは無理そうだな」
燈はどっか使えそうな家で野宿だな。と付け足した。
「燈の言う通りだな。紫音はそれで大丈夫なの?」
僕は本当に野宿なんて全然平気だけど、藍は大丈夫なんだろうか。仮にも女子だぞ。
僕はまだまだ二人の事を知らない。
だから、僕はもっと知っていきたいと思った。
「おー、大丈夫だ。俺と藍は野宿なんていっぱいしてきたから全然平気だ。なんならドォーンと頼ってくれてもいいぜ」
燈は胸を張って言った。
そして誰もが思ったであろう。
頼りに出来ねぇ、と。
「紫音、燈を頼るより私を頼った方がまだましだぞ」
「まだというよりその方がいいよ」
紫音はニヤニヤしながら燈を見て言った。
燈はまたショボくれた。
「......いのに......」
「「え?」」
「俺だって、好きで頭悪いわけじゃないんだから!!」
燈はついに怒ってそっぽを向いてしまった。
私も言い過ぎてしまったか。
でも、怒ってどっかに走っていってしまうよりはましか。
「燈、すまない。私も言い過ぎてしまった。でも、燈だって私が持っていない物を持っているだろう?」
「藍が持っていなくて俺が持っているもの......」
「運動神経の良さ、勘の鋭さ。燈の運動神経は誰よりも優れている。それに、燈の勘は大事なときにとても働くだろう。それが私は羨ましくて仕方がない」
藍に誉められた燈は上機嫌になった。
紫音と藍は思った。
単純(笑)と。
「さっ!!時間を食ってしまった。進みながら、家々を探索して行くぞ!!最低でも2日で街に着きたいからな。夜野宿できる所も探そう」
「分かった。でも、行動は一緒の方がいい。また敵が現れたりでもしたら危ない」
「ああ、そうしよう」
私達は街に向かって歩き出した。歩いてるときは3人で色んな話をした。
なぜ、私と燈が刀を持っているのか。
なぜ、紫音が銃を持っているのか。
その話を聞いて分かったのだが。紫音の持っている銃はライフルで元々ピストルのような偽物の銃でピストルの進化版みたいなものだそうだ。
そして、その偽物の銃の事をトイガンと言うらしい。そのトイガンにBB弾をセットして打ち合いするらしい。
サバゲーとは、サバイバルゲームの略でそのトイガンで打ち合い遊ぶゲームらしい。
家を探しているうちに蝋燭やマッチ、現実のような家だったため助かった。
一番助かったのは、非常食がありどれも賞味期限が切れていなかった事。そしてバックが大量にあったことだ。
これで3人分の食料に困らなくてすむ。
バックには食料や各自必要な物を入れた。
言い忘れていたが、紫音の銃は本物になっていたらしく大量に持ち歩いていたBB弾は本物の銃弾になっていたためバックがあって騒いでいた。「ヤバい、バックがあって本当に良かった。これで大体は困らない。あー本当に良かった」とずっと言っていた。
どこかこいつも燈に似ているな。
探しているうちに日が暮れてきた。
「日が暮れてきた。どこかの家に入ろう」
「あそこがいいんじゃないか?」
燈が指差した先には、ほぼ綺麗な状態で残っている家があった。
「うん、あそこで今日は夜を過ごそう」
ガチャ、ギィーー
「お邪魔します」
「上がらせてもらう」
「失礼します」
それぞれ挨拶をしながら入った。
「本当に綺麗な家だな。今までの家とは全然違うな。あそこのテーブルに座って話し合おう」
洋風の家だった。
リビングと玄関が繋がっており、リビングは広く真ん中には4人用の椅子と1つの大きなテーブルがあった。
燈はテーブルの真ん中に今日見つけた蝋燭に火をつけた。
「これまで探索した時思った事が何個かある。まずは、見て分かる通りこれまでの家は襲撃されて潰れたと思われる。その証拠にさっき私と燈が倒した鳥形のモンスターの羽が落ちていた。次に家を襲撃されたはずなのに死体や血などが無かった。死体がなくなっていたのはモンスターが持っていったと考えたが、そしたら血痕が残っているはずなのでおかしいと思った」
「いや、殺さないで生け捕りっていうパターンもあんじゃね」
「うん。その線もあるかもしれないよ藍。燈の勘は鋭いんだろう?」
燈と紫音が別の線を出してきた。確かに、その線もあるかもしれないが。
「足跡が無かった。多分、私と燈を襲ってきた鳥形は人を連れ出す事は出来ないだろう。そう考えると、人を連れ出す事が出来るのはゴブリンかまだ私達が出会ってないモンスターだろう。それに地面が湿っていた。昨日、雨でも降ったんだろう。そしたら足跡が残るはずだ」
「でもよーモンスターが家を壊したのは昨日じゃないかもしれないだろ?」
燈が言うことは予想済み。
「残念。家の瓦礫を見たが、汚れや古い瓦礫に見られる独特の色合いが無かった。その事から、家を壊されたのは昨日でなくとも、ここ2日3日位だろう」
「となると、ここの住民はそうなることが分かっていてこの先の街に避難したかもしれないな」
紫音は藍の発言から導いた考えを言った。
「なるほど ... 。そのヒントが今向かっている街にあるかもな」
少しの沈黙が流れた。多分、何をすればいいのか何を言えばいいのか分からないのであろう。
その時だった。
急に燈が火を消し、しゃがめと小さい声で言った。
「今足音がした。もしかしたらゴブリンや敵かもしれない。しゃがめば覗かれても机や椅子があるから見付かりにくいだろう」
「夜の外を私達はまだ知らない。見張りをするのは逆に危険だろう。明日のうちに街につくだろうし疲れてるから、今日のところは寝よう。この家は丈夫そうだし。敵は私達が何かしない限り気付かないだろうし、家を壊したりはしないだろう」
燈は、そうだなと言いながら床に寝っ転がり寝始めた。
「さぁ、私達も寝よう」
「でも、目覚まし時計が無いから起きれないかも......」
「大丈夫だ紫音!!今日は寝坊してしまったがいつもは、目覚ましを6時半にセットしても6時に起きるからな!!ん...でも...」
「どうしたん?」
「いや、いつも時計を6時半にセットしてるから6時半に目覚ましが鳴るはずなんだか...今日時計が鳴ったのは7時40分頃だ。何で......?」
「今は考えていても無駄だ。まず寝よう」
「うん。そうだな、寝よう」
なかなか寝れないな。
今は一体何時なのだろう。
いや、時間を気にしてはいけない。何故かそんな気がした。
別な事を考えよう。そうだな...。そうだ、あと街まではどれくらいだろう。歩いた感じ残りは約25~30㎞ぐらいだろうか。
燈や紫音は体力の方は大丈夫なのだろうか。
私は何故か異世界に来て戦ってから、怪我はしてないはずなのにどこかおかしい。
そんな事を考えてる内に藍は眠りについた。