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「おい、ボーとしてどうさした?」
「いや、昔のことを思い出していただけだ。あの時は救われてしまったなぁーて」
「ふーん」
なんか、あいつやけに素直だな。藍のくせに。まぁ~良いことだけどな。でも、もし完全に吹っ切れたらあいつは俺から離れて行くのかな。
私は空を見上げた。ねぇ、父さん。私達はこれからどうなるの?母さんは?母さんは大丈夫なの?
考えていたときに向こうの空に鳥みたいな影が見えた。
「人はいなくとも、鳥はいるのだな」
燈を見ると、ん?といいながら空を見た。そして、目を見開いた。
「あれのどこが鳥に見えるんだよ!」
藍も空を見た。
そこには、鳥ではなく丸いボールに耳と翼が生え目が1つしかない鳥みたいな怪物の大群がいた。いわゆる、モンスターと言うものだ。ざっと、50匹くらいか。
そのモンスターは私達に向かって飛んできた。私はとっさに、自分の刀を出し構えた。
燈も同じように刀を構えた。
モンスターが目の前に迫ってきた。モンスターは案外大きく、約1メートルといったところか。
「来るぞ!!」
燈が叫んだ。
「分かってる。全部切り落とすぞ」
燈に返事をして、構えた。
藍は姿勢を低くして刀を鞘に収まった状態のまま腰の横に持っていき居合斬りの構えを取った。一方、燈は剣道の時のように目の前で刀を構えた。この姿勢を中段の構えと言う。
モンスターが藍達まで1メートル、その瞬間二人同時に右足を踏み出し燈は大きく刀を振り上げた。
「「おらあぁぁぁーーー」」
その時、藍は横に構えた刀を横に素早く抜き、目の前にいる敵を真っ二つにした。それが合図だったかのように敵が一斉に飛びかかり、それを藍達は素早く斬り始めた。
最後の一匹を斬った。
ホッと二人が気を抜いた時、目の前の敵に目をとられ後ろに忍び寄る影に気がつかなかった。
影が藍の真後ろに来た瞬間に殺気に気付いて振り向いた時には遅かった。
「フゴーーー!」
ゴブリンが藍に襲いかかろうとしていた。
ヤバい!殺られる。『カチャ』手に刀が触れた。はっ!!刀で斬って......いや、今の私じゃ無理だ。今気付いた燈も斬れる体勢じゃない。ゴメン...燈。目を瞑った。
バァッン!!
あ、殺られたな。しかし、いつになっても痛みが襲ってこない。恐る恐る目を開けると、そこには頭から血を流してるゴブリンがいて横に倒れた。
今の音はゴブリンが私を襲った音ではなくゴブリンを射った音。いったい何処から。キョロキョロするとビルの高いところから手を振る人影が見えた。すると、その人影は合図を送ってきた。右手で自分を指差し、左手で下を指差した。その次に右手で私達を指差し、左手で待ての合図をした。多分、人影の人が「したに降りるから、そこで待ってろ」と言いたいのだろう。
「私を助けてくれた人が私達の所に行くから待ってろと言ってるんだが、どうする?」
「待ってるに決まってんだろ」
燈がそう言ったので、藍は人影に右手でOKの合図を送った。
「でも、助けてくれたとはいえここは俺達の住んでいた所じゃないし、知らない人だ。警戒しとけよ」
さっきの事のせいか、燈がいつになく真剣な顔で言った。
「分かってる。燈こそ刀を抜けるようにしとけよ」
「もう、さっきみたいな事はさせないさ」
二人で話してると助けてくれたであろう人が走ってきた。