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「う、燈?」
目を覚ました藍は何となく燈の名前を口にした。多分、急な頭痛と目まいからくる戸惑いのせいだろう。
そして、目の前を見た瞬間藍の頭の中は真っ白になった。何故なら、藍が住んでいた田舎ぽいけど田舎ではない自然がいっぱいだった所と違って目の前は良くテレビで見る東京のようにビルが建ち並んでいるのだ。でも、人の気配が一切しなく、建物の窓ガラスが割れていたりした。
私はそんな光景に不安になり叫んだ。
「燈!!燈!!燈、何処にいるの?お願い、一人にしないで。あかり~。一人は嫌だよ~。ひ...とり...にしないで...」
ガサ。後で音がした。そして、待っていた声がした。
「うるせぇよ。俺はお前を一人になんてさせるかよ。約束しただろ?もう一人になんてさせねぇから。ごめん、遅れて」
振り向くとそこには、柔らかく笑い私の頭に手を乗せる燈の姿があった。
あぁ、落ち着く。「ありがとう燈」そう笑うと燈は照れた。
「お前が弱みを見せるのは小学生2年生以来だな」
「そうだな。あの時は燈がいなければ、立ち直ることも笑うこともも出来なかったろう。また、燈に助けられたな。ありがとう」
私は、家族で勿論母さんも好きだが一番父さんが好きだった。格好良くて、剣道が強くて良く笑う人だった。そんな父が口が酸っぱくなるくらい私に言った言葉がある。
「自分の身は自分で守れるようにしなさい。そして、何があっても自分の仲間を信じなさい。そして、何かあったら燈を頼りなさい。藍と燈は秀才と天才の最強コンビなんだから。燈は生まれながらにして持っている運動能力を活かし、それを藍の頭脳でカバーやサポートをする。これらは絶対に覚えていなさい」
何かある度そう言われた。でも、父さんの話の前半の意味は分かるけど後半の燈と私の話は小学校に入っても分からなかった。そして、分かる日もやって来なくなった。