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05

「石拾い大会を開きましょう!」


「「「え??」」」

 ヒカが提案したのは石拾い大会を開くというなんとも、そのまんまなイベントだった。

「で、その石拾い大会をどうやって開くんだ?」

 僕は、疑問をぶつける。

「え、え、えーっと……? あ、あのーその、か、か、考えてません!」

 笑顔でヒカはそう言い放った。僕らは、ヒカがなんにも考えてないことは悟れるぐらいになっているから、驚きはしなかった。

「やっぱりか……」「ヒカちゃん……」

 草と千紗も呆れ気味である。まあいつものことだからしょうがない感じだ。ヒカはアイディアを思いつくのはすごく優秀であると思う。だがしかし、ほとんど無責任な感じである。

「で、どうしようか……」

「洞窟にこもっていてもなにもすすみませんから、とりあえず先生に相談とかしてみましょう」

 千紗の提案に僕らは納得した。

「じゃあ、石はとりあえずここにおいて……」

「だめよ、日月! 石の見本がないと集められないわ!」

「そんなこと言ったって、池の水がなくなっちゃったら元も子もないから、今は置いておく」

「しかたないわね……。あとで写真に取っておかないと」

 ヒカはどうやら、後でここにきて写真を撮るらしい。ヒカってカメラ持ってるのかな……。使い捨てカメラかな? 使い捨てカメラだよね? 僕は使い捨てカメラしか使ったことない……、って携帯についてるか。

 僕はどうでもいいことを考えつつ、洞窟の外に出た。日はもう結構傾いている。山の中なので特に日が沈むのが速いから気をつけなくてはいけない。

「南無阿弥陀仏……、南無阿弥陀仏……」

 池のほとりに、たくさんの人影が見えた。どうやら、村の人達が念仏をまだ唱えていたらしい。

「あいつら、池でも念仏唱えてるのか……、それでどうにかなるんだろうか……」

 草は呆れ気味に言った。確かに、ずっと唱えている気がする。

「先生……はどこかしら?」

 先生の姿はなかった。帰ってしまったのか……?

「おい、お前ら」

 後ろから急に声をかけられた。振り向くと、それは先生。しかも、手に石を持っている。

「先生、その石はもしかして……、あの洞窟から持ちだしたんですかね?」

 千紗は先生に聞いた。

「ははっ、そんな卑怯な真似を先生がすると思うか? お前たちの勇敢な行動を後ろから見ていてね……、あの石が原因だとわかったら、先生も川に探しに行って来たんだよ。やー、意外とすぐ見つかるもんだね……」

「先生、それ本当に僕の石じゃないですよね……」

 僕は念のためにもう一度聞く。あんな自慢話ばっかの歴史の教師が信用できるわけない。

「村で唯一の歴史の教師だぞ。こらこら、先生を信じなさい」

 しょうがない、信じてやろうかと考えていたところ、草がいないのに気づいた。

「あれ、草は……?」

「本当だ、草君がいませんね……」「たしかにそうだわ」

 あたりを見回した。

「あ、あれ草じゃね?」

 草は洞窟の方から帰ってくる。もしかして、確認してきてくれたのだろうか。

「日月、石はちゃんとあったぞ! 先生の話は本当だったようだ」

「だから、本当だって言っただろ。信用してくれよ本当に。先生としてのプライドが砕け散っていくぞ……」

 先生は肩を落としている。

「なあ、お前ら、ここじゃなんだから、学校で話さないか?」

「学校ですか……。どうするヒカ?」

「イベントのことについてまだ、先生に話すことができていないし、学校、行きましょう!」

「そうね、学校の行事として開いたら参加者が増えそうな気がするわね」

 千紗も賛成している。確かに学校の行事として開けば参加者も集まりそうだ。村の人は今日のことを全て話せば、すぐに石探しにかかってくれそうだ。

「よし、そうとなったら、学校へむかうとしよう」

「先生、一つ聞きたい事があります」

 草が急に言った。

「どうした、草?」

「先生、車持ってますか?」

 ……。確かに疲れているから、先生の車に乗っけてもらうことができれば、楽だ。

「先生、村に住んでて、免許持ってないんだ」

 僕らはさっきの先生と同様に肩を落とした。


 学校に到着した。学校は深夜以外は開いている。はっきり言って防犯の意識なんぞない。都市からすっごく離れた村だ。鉄道も通ってない無ければ、車でも何時間かかかる。こんな村にくる観光客は居ないため、防犯の意識は低い。

「学校、私服で来るのは久しぶりだな……」

「そうですね、いつもは制服きてますからね」

 僕らはいつもの教室ではない、空き教室に集まっている。昔は生徒もたくさん居たのか、この学校のいたるところに空き教室がある。

 先生も来たので話を進める。

「イベントを開くとなると……、お金も必要だが」

「まあ、そうですよね」

 草は言う。

「ねぇ、文化祭的なものやってみたいわ」

「ヒカ、いまは石拾いのイベントの話だぞ、文化祭はそんなの人来ないからやっても意味ないだろ」

「そうね……、そうだったわ……」

 ヒカは相変わらず、スポーツ馬鹿炸裂していた。

「ねぇ、先生、文化祭と石拾いのイベントを同時に開催したら、いいんじゃないんでしょうか?」

「午頭、先生に対して、『ねぇ』とは……。だがそれはすごくいいアイディアだな、お客さんも一度にたくさん集まる」

「それなら、優花も少しは参加できるんじゃないか?」

 草もアイディアに賛成したようだ。優花も来られるのかな……。久しぶりだ。

「問題はいつ開催するのかよ。石拾いのイベントは重大だわ。村の人達がおかしくなりそうなレベルでね。それに、文化祭となると色々準備が必要……だと思うわ」

「そうだなぁ、文化祭の準備か」

 僕の頭のなかには、昔連れて行ってもらった都市のイメージと、学校の文化祭のイメージが融合される。

 きっと都市の文化祭は運動場をアスファルトにかためて、そこに新しいビルとか建てて、トロッコとかを配置するのかなぁ……。

「そうだね! 準備期間がとっても大切だ! たくさん準備が必要だよ!!」

 僕はみんなに都市の文化祭のイメージを体でアピール。ビルのジェスチャー。僕、すごい似てる??

「日月君は、すっごいのを作りたいみたいね」

 先生を含めて全員引き気味である。どこかがおかしかった可能性がありそうだ。ビルにキレが足りなかったのかもしれない。

「せめて、来週ぐらいには開催しないとな……池の問題的に」

 草は名推理のフリをしている。

「じゃあ、来週の土曜日で決定だわ」

「ヒカは問題ないのか?」

「もちろん問題ないわバリバリがんばるわ!」

 一番信用ができない……。

「お前らに文化祭は頑張ってもらうからな、先生は石関係の準備を整えなければならない。たのんだぞ!」


 僕らは強い絆で結ばれているはずだ。どんなことでも乗り越えられる。だから問題ないはずだ。


「がんばるぞー! 村を救うぞー!」

 僕は声を学校中、いや村中に響くような大声を張り上げた。


「「「おー!」」」

 僕らの大きな声は村中を駆け巡っていった。


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