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04

 家を飛び出した僕は程なく白池のほとりへと到着した。

 既に、僕以外の三名は集まっていた。

「よう、遅かったな日月」

「ああ、ちょっと支度に手こずってしまってな」

「もう全員集まってるじゃない、何か探検しましょうよ!」

 ヒカは、よっぽど探検を楽しみにしているらしい。僕も探検を楽しみたいという気持ちに変わりはない。

「でも、ここはもう白池だわ。何をどう探検すれば……」

 千紗は僕らに問いかける。ふむ、確かに白池って言ったら白池であって、白池であることに変わりはない。僕らが白池の水量が減った原因を知ることができるはずはない……。

「とりあえず、白池一周するか」

「そうだな」

 詰まっていた僕らは、すぐに草の意見に賛成して歩き出した。

「それにしても、神話ってすごいのね。ねぇ、千紗はさ、神話知ってるの?」

「神話ですか……。龍神の話ですか?」

「そうよ、知ってるのかー」

「まぁ、学校でも少しはやったしな」

 学校でやった授業のことを思い出す……。

「おい、日月、見てみろよ、あそこに誰か居るぞ!」

 よく見てみると人影が先にはあった。あの人も何かを調べに来たのか……。

「「「………………」」」

「先生、こんなところで何しているんですか」

 人影は徐々に大きくなり、僕らの前に現れた。だがしかし、それは、歴史の教師であった。

「お前らもこんなところで何をしているんだ。先生は、この白池の水量が減少した理由を、歴史といっしょに調べているところだ」

「先生もしらべているのね……」

「ってことは、お前らも調べに来たのか。こんなことやってないで家に変えて勉強しなさい」

 教師はすぐに勉強の話に移す。

「じゃあ、先生は何かわかったのですかね?」

 千紗が先生に問いかける。先生は少し考えてから、こう口にした。

「どうやら学校にあった本に幾つか歴史が書かれたものがあったのだが、今までに水が減少したというのは、雨などの天候の影響を除けば、全くなかったと、書いてあった」

 天候の影響……。昨日は風が冷たかったが晴れていた。一昨日も晴れだった。つまり、天候は全く関与していないか……。

「あー、確かに雨が降れば水増えるわ。気づかなかったわ……」

「まあ、ヒカは阿呆だしな」

「アホって、何よ!」

「まぁまぁ、日月、ヒカ落ち着くんだ。喧嘩なんてしている場合ではないぞ」

「そうだよ光ちゃん」

「まあ、千紗に言われたらやめざるを得ないわね……」

 先生はふと思い出したのか、こう言った。

「そういえば、今日、白池に来て、気づいたことが一つあるんだ。聞きたいか?」

「ええ、もちろんよ。ねえ、日月」

「そうだな」

 先生は咳払いをして続ける。

「白池の北側に、龍神の荒らした後の洞窟があるだろ? なんだか今日は様子がおかしかったんだ。先生は、そのような道具を持ってきていなかったから、入るのは諦めたんだが……」

 草はバッグから懐中電灯を取り出した。

「あら、草、準備いいじゃない」

と、ヒカは言ったが、ヒカもポケットから懐中電灯を取り出した。

「みんな、準備いいな。行ってみるか」

「ぜひ、行ってみましょう楽しみです」

 千紗もワクワクしている。

「当たり前じゃない、先生情報ありがとうございました。日月、千紗、草、行くわよ!」

 ヒカと僕らは北の洞窟へと向かった。


 龍神にはこの土地を荒らした伝説がある。その、伝説で出来たとされる白池の北の小さな洞窟。村の者はここに入りたがらない。龍神が荒らしたとされる場所なので災いが訪れると言われるからだ。

 僕からしたら、その話は嘘にきまっている。子供の時には、皆ここで夏を涼むからだ。洞窟になっているので、夏はかなり涼しい。冷房装置はあまりこの村につけているところはないので、子どもたちは皆、この洞窟に涼みに来るのだ。

 昔涼みに来た時には、小さな部屋状の穴が一つ開いているだけで行き止まりだった。


「確かにおかしいわね……」

 着いたとたん、ヒカが口にした言葉だ。

「どこがおかしいんだ?」

 この前来た時はもっとみずみずしい感じだったわ。

 そりゃそうだろう。だって水が減少したんだから、この洞窟に流れてくる水もすくなるからな。当たり前だ。

「当たり前だろう。水が減るからな」

「まぁ、そんなことはいいわ。先生の感に頼って入るわ」

「そうですね」

 僕らは穴の中へと足を進めていく。洞窟の中は暗い。懐中電灯も少しつけているが、はっきり言っていらないほど小さい洞窟だ。

「行き止まりね……」

「引き返しましょうか……」

 僕は、よく壁を見てみる。

「なにもないな」

「だから、何もないって言ってるじゃない!」

 僕は、軍手を取り出そうとしてバッグを開けた。

「え?」

「どうしたんだ、日月?」

 軍手を取り出そうとしたが、それ以上に石が驚くことに、光っていた。川原で拾った、もとから色がすごく綺麗だったが、その時以上にこの石は光っていた。

「え、なにこの石は?」

「日月君……、この石……」

「この石は、この前川原で綺麗だから拾った石なんだ……」

「川原……? 川原ってことは、白池川のことか?」

 草が興味深そうに僕に聞いてきた。

「白池川のことかって、村に流れている変わって、白池川しかないじゃん。何言ってるんだよ草は」

「まあ、そうだが……。よく考えてみろ草、白池川の起点はここ、白池だぞ」

「そんなこと、普通にわかるよ」

 僕は考えてもさっぱり分からなかった。でも千紗はわかったらしく、声に出した。

「白池から、その石は流れてきたってことかな?」

「千紗、その通りだ、白池から川を下って、白池川の川原へと、この石は冒険したということだ……」

 草が解説した。少しわかった、白池にもともとこの石はあったってことだ。

「えー、なにそれ全然意味がわからないよー」

 ヒカは全然わかっていない様子。やっぱり、ただのスポーツ馬鹿だな……。

 草はまだ、解説を続ける。

「この石は白池に水を湧かせるキーアイテムなんじゃないかと俺は思う。この大事なこの不思議な色をした石が、水を湧かせているということだ」

「なるほど、じゃあこの石を白池に放り込めば水の量が回復するってことか?」

 僕は草に問いかける。きっとバッチリあっているはずだ。

「いや、池に投げ込んでしまっては、また流出してしまう可能性がある。この洞窟においておけば問題ないはずだ。あと、日月が持っているのは石だ。もともとは大きな岩だったはずだ」

「つまり、その不思議な色をした石を集めてここの洞窟に戻さないといけないということですね」

 千紗が推理する。やっぱり頭はいいらしい。ヒカとは大違いだ。

「全然わからないよー。私にもわかるように説明してよ~、草」

「何故に僕……、まあヒカのことはおいておくか。じゃあ、石を集めないと行けないか。僕らだけじゃ到底集まりそうにもないな」

 ヒカはまだ理解していないらしいが、何かを思いついたようだ。

「石拾い大会を開きましょう!」


「「「え??」」」


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