03
季節は移り変わっていくものだ。秋は深まってゆく。自分の肌に触れる風が新しい日を迎えるごとにどんどん冷たく変わってゆく。
僕、日月もこんな忙しい時期だからこそ落ち着きの場がほしいと思う。僕らが通うこの高校に期待してはいけない。生徒五名しかいないので、学園祭やら文化祭やらと言った類のものは存在しない。
皆がじぶんの悩みに真剣に考えられる時間が存分にあるということだ。僕、日月も、進路を真剣に考えてる人や、病気の行く末を考えている人と同じように、真剣に目の前のことに悩んでいた。
「これ、どうしたらいいんだ……」
白池の水が昨日に比べて、減っている。雨の不足等で減ったかもしれないが、今日の水の様子は少しおかしい。減りすぎている。
「一人で考えても無駄か……。村長の報告するか」
小さな小さな役場は、何故か今日は騒がしい。とりあえず、入ってみる。
「南無阿弥陀仏……、南無阿弥陀仏……」
役場の中にある、小さな仏様に向かって、必死に念仏を唱えている村長の姿があった。
近くの年寄りに聞いてみる。
「何かあったんですか? もしかして、白池のことですか」
「おお、日月か。そうなんじゃ、池の水が減っているのに気づいた長老様が、念仏を唱えているんじゃ。災いが起こらないようにとな」
ふむ。やっぱり問題になっていた。
「おい、日月!」
草の声だ。
振り返ると、そこには草の他に、千紗、ヒカもいた。
「日月くん、これは、何の騒ぎなのかしら?」
草たちに事情を説明する。
「へぇ、そんなことがあったのねー」
「大変そうだわ……」
「そうだな……、それで、俺たちに何かできないのか? 俺たちの大事なふるさとだからな」
草が言う。確かに、もしも湧き水が全てなくなってしまったら、川が干上がってしまう。しかし、水道もしっかり通っている。しかし、畑などには大打撃だろう。
「ねぇねぇ、私たちで、その原因を調べない?」
「そんなことやっても大丈夫なのか?」
俺は、ヒカに問いかける。
「もちろん、わからないわ! だけど、すっごくワクワクしない? だよね、千紗」
「え? わたし? わたしはねー。そうだね、すっごく面白そう」
「まぁ、俺たちには、やることないしな……」
「でも、草は大学のこととかは……」
草は、思いだしたかのような顔をした後に、すぐ笑顔になって言った。
「たまには、息抜き、しなきゃな!」
「よーし、じゃあ決まりね。この後、支度して白池に集合よ!」
僕らは、すでに浮かれている。
「「「オー」」」
家に帰った、僕は、支度をしなければならない。親は別になんにも言わない。こんな村ちっぽけで行くところなんてないからだ。
「えーっと、何を持って行こうかな」
机の上に携帯がある。
「この村、圏外なんだよなぁ」
携帯なんて所詮は目覚まし時計にすぎない。圏外でつながらないため全く意味が無い。
都市で高価な金を払ったとしてもつながらないものは、つながらないのだ。
そういえば、川原で拾ったきれいな石のことを思い出した。とてもキラキラしていて、何色かも表すことの出来ない不思議な輝きをはなっている石だ。
「とりあえず、おまもり代わりに持っていくか」
バッグに石を詰める。あとは、軍手と少しのお菓子を詰め込んだ。
そして、家を飛び出していった。
村の東西は1kmもない。西の奥から南へと流れていく川。北西に池は存在する。ここから歩いて、まあ20分といったところだろうか。
ここ最近、ずっと悪いニュースしか入ってこなかった、僕は探究心にくすぐられて、ワクワクが止まらない。
日も十分にのぼり、絶好の探検日和だ。




