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 人はみな、人である。人以外の何者でもない。人は人。人以上でもなければ人以下でもない。これが自然界の掟。

 ただし、人は上下関係を作ることができる。王と下僕、社長と社員、先輩と後輩のように。

 この時に、小さな一つのものが大きな多くのものを下につけることができる時代は終わった。

 小さいものはどんどん廃れて、衰退して……、いずれかは消滅するものだ。


 クリスマスパーティということで、ちゃんと手紙を書いた。ヒカと千紗へ僕の思いが詰まっている。

 ヒカはずっとずっと僕と一緒にいてくれた。できるならば、これからもずっと一緒にいてくれれば僕としても嬉しいし信じることができる。

 千紗は、この村に来て大変なこともあるかも知れない。だけど、いつでも僕に頼って欲しい。なんでもできることならば、してあげられるから。

 こんなかんじの内容を書いた。喜んでくれれば僕としても嬉しい。

 支度をして、家から出た。

 最近はやけに工事車両が通る気がする。何かあったのだろうか。この村に何もなければいいのだが……。


 千紗の家は前に来たことがある。千紗と僕しか居ない世界の時に。だから、道はわかっていたので、すんなり家につくことが出来た。

「でっかいなぁ」

 何度見ても家の大きさに驚愕する。このへんは古い家が多いので、そのせいか大きく見えるのかもしれない。

 僕は、千紗の家の呼び鈴を押す。

 すぐに戸が開いた。

「いらっしゃい、日月君。楽しんでいってね」

「ありがとう。千紗」

 靴を綺麗に揃えて脱ぎ、家に上がる。千紗のお母さんが居た。

「はじめまして……。えっと、日月君でよかったかな?」

「はい。そうです。窪日月です」

「よかったわ。ちゃんと来てもらって。千紗は日月君が来るだけでもワクワクして寝れなかったと言っていたから……」

「そうですか……」

 ちょっと、僕は苦笑い。待っててくれるのは嬉しい事に変わりはない。

「ちょっと、お母さん余分なことまで言わないでしょ! 今日は静かにしててよね」

「クリスマスパーティなのに?」

「そうだよ! とくに、日月……、窪君のことはだよ」

「まあ、そうねえ。まあ、ゆっくりしていって頂戴」

「ありがとうございます」

 僕は丁寧に受け答えした。それに、千紗の以外な一面も見ることが出来てよかったと思った。

「そういえば、ヒカはまだ来てないのか?」

「そうみたいだよ。ヒカちゃん、早くこないかなぁ」

 机の上には、既にチキンやクリスマスな感じの食事が並んでいる。

 横を見ると、大きな大きなクリスマスツリーが飾られていた。きっと千紗が飾り付けをしたのだろう。どことなく、千紗っぽいきがした。

 そうして、いろいろ見回っていたら、やっと、ヒカがやってきた。

「ヒカちゃん。ようこそ」

「千紗の家、初めて来るからちょっと迷っちゃったのよ……。迷うほど言えないけどね」

「あはは。そうだったんだね」

「でも、日月はよく、ココがすぐに分かったのね……。ちょっとわかりづらいのに……」

 二人ぼっちの世界で教えてもらったとか言えない……。だから、適当にごまかしておいた。

「意外と、わかりやすいだろう? ヒカはそういうタイプじゃないからな」

「何よ! そういうタイプじゃないって」

「まあまあ、ヒカちゃんも早くリビングに入ってきてよ。もう始めちゃうよ」

 そう言って、またリビングに戻ってきた。

「じゃあ、クラッカーを鳴らすね。みんな置いてあるクラッカーを持って」

「おお、クラッカーまで用意しているのか。すごいな」

「たしかにね。私、クラッカーつかったことないわ。どうやって使えばいいのかしら」

「そうなんだ。ヒカちゃん。その紐を勢いよく引っ張ればいいだけだよ。簡単。簡単」

「わかったわ。いつでもOKよ!」

 ヒカもしっかりと準備ができたようだ。コレで準備をバッチリ……。千紗のお母さんもなにげに、クラッカーの準備をしている。

「じゃあ、メリークリスマス!」

 千紗はそう言って、クラッカーの紐を勢い良く引いた。僕もそれに合わせて引っ張る。

 ヒカは少し遅れて引いた。四つのクラッカーの音がなって、中から金や銀色の紙が出てきて、飛び散った。

「意外と、ヒモ引っ張るのに力がいるのね……」

 ヒカはクラッカーを見て真剣に悩んでる。

「あはは。ヒカちゃんは引くの初めてだもんね……」

「じゃあ、食べていいか……?」

 僕は目の前のごちそうを見ていった。

「あ、その前にね、プレゼント交換をしようと思うの」

「いいわ。ちゃんと持ってきたわよ」

「はい、じゃあヒカちゃん。私からのプレゼントだよ」

といって、千紗はヒカにプレゼントを渡した。

「あ、手紙が挟まってる。じゃあ、私も上げるね。はい千紗、どうぞ!」

「ありがとー」

「じゃあ、次、日月ね! はい、私からのプレゼントよ!」

 ヒカが僕に、プレゼントをくれた。しっかりと手紙が挟まっている。

 僕はヒカにプレゼントを渡した。

「僕からのプレゼントだ。ありがとう」

 次に、千紗が

「はい、日月君。メリークリスマス」

と、言ってくれた。こっちにもしっかり手紙が挟んであった。

「千紗、おめでとう」

と言って僕も千紗へプレゼントを手渡す。手紙もしっかり確認した。

「わー。うれしいよ。ありがとう、日月君、千紗ちゃん。手紙、読んでいい?」

「ああ」「もちろんよ」

「じゃあ、私も読むわね」

と言って、各自受け取った手紙を読みだしたので、僕も手紙を読みだした。

 いろいろ書かれてあった。ありがとうだとか、好きだとか。一緒にいてくれだとか。まあラブレターみたいなもんだ。

 でも、僕はすっごく嬉しかった。年賀状ぐらいしか、まともに手紙をもらったことがなかったからだ。

「ありがとう、ヒカ、千紗」

 気づいた時には僕はそう口にしていた。きっと、本心だろう。

「こちらこそだよー。ありがとう」

「わたしも、ありがとう」

「あらあら、いい子たちね」

 千紗のお母さんも笑顔になっていた。よし、じゃあ食べるか……!

「じゃあ、ごちそう。簡単なものだけど、食べてね」

 千紗が言ってくれたので、僕はチキンに手を伸ばして、かじりついた。

 うん。おいしい。

「さっすが、美味しいです」

 僕はそう言った。続けて、ヒカも

「なにこれ、すっごく美味しいんだけど。今までこんなもの食べたことないわ」

「ありがとう、ヒカちゃん。じゃあ、私も食べるね」

といって、クリスマスはすっごく楽しく過ごす事ができた。


 気づいたら、すでに日が暮れて、外は真っ暗になっていた。

「ああ、じゃあそろそろおいとましますね」

「私も帰るわ」

「そうだよね。じゃあね、ヒカちゃん。日月君」

 僕とヒカは千紗に見送られながら、千紗の家をあとにした。

「なあ、ヒカ」

「なに? 急に?」

「最近、工事車両多くないか?」

「工事車両……。たしかにそういえばそうね」

「だよなあ……。何かあったのかなあ」

「そうねぇ。なにかあったなら、大変ねぇ」

「じゃあな」

「日月はそっちか。じゃあ、また今度。気が向いた時に電話するね!」

「家電だろ……。じゃあな!」

「バイバーイ」

 ヒカとも別れて、家に帰った。


 この時はまだ、何も知らなかった。今後何が起こるかなんて……。クリスマスで浮かれていた、僕らには。

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