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宿の中 1
外の明るい日差しのせいで薄暗く見える玄関口には着物の人が一人立って待っていた。
「やあ、ようきんさった。高田さん元気そうで何よりらよ。蘆屋先生はお元気? 」
「はい、相変わらず先生はあの調子ですよ。相変わらず、飄々としてます 」
そう言って挨拶して、僕らは荷物を上がりかまちに押し上げた。民宿と聞いたけど、思ったよりも立派な建物で、ぎりぎり旅館でも通用しそうな感じだった。村に着いた僕たちは愛想の良い、いかにもおばさんといった感じの女将さんが真ん丸い顔にニコニコした笑みを浮べて迎え入れられた。以前に来た事のあるその宿に僕らを案内した高田先輩は慣れた調子でいたが、僕はそんなやり取りが眩しく見えた。不思議なものだ。
みんな、物珍しさも手伝ってきょろきょろしながら部屋に通された。