君の居ない世界
このページは藍紅サイドの話です。
朝目が覚めると、藍那の姿はなかった。
「何度置いていかれればいいんだよ・・・」と俺は藍那の香りが少し残った布団に顔を埋めた。
藍那は置手紙を残していた。
内容は「心配しないでください」と「探さないでください」だった。
俺は自分の部屋に置いてあった藍那のオルゴールを手に取った。
蓋を開けるとメロディーが寂しそうに流れ出した。
俺の頬に涙が伝った。
「藍那・・・」と俺は崩れ落ちた。
「俺を独りにしないで・・・」ともう届かない思いを言葉にした。
それから俺は30歳になった。
仕事に追われる毎日を過ごしていた。
そして俺は、毎日あの桜の木がある場所に行った。
「藍那・・・今何処に居るの?元気なのか?」と桜の木に向かって話しかけていた。
「先輩とうまくいってるのか?それだけが心配なんだ・・・」と返事が返ってこないのに言った。
その時風が吹いた。
「藍紅・・・」と藍那の声が聞こえた。
俺は振り向いて周りを見渡したけど、藍那の姿は何処にもなかった。
「藍那の居ない世界がこんなにも寂しいなんて知らなかった。」と俺はハハっと笑った。
「藍那が居たから俺は存在するのに・・・」俺は座り込んだ。
そして星が輝く空に目を向けた。
「寂しいんだ・・・藍那と一緒にずっと居たかった。それだけで良かったのに・・・」と俺は流れる星に言った。
そしてまた風が吹いた。
「私達はずっと離れてても一つだよ!」と藍那の声が聞こえた。
俺は目を閉じた。
幻聴で心を満たすように・・・
「また来る・・・」と言って俺は家に帰った。




