君が消えた
このページは藍紅サイドの話です。
あの日から俺は毎日あの居酒屋に足を運んだ。
またあの日のように、藍那に会えると信じて・・・
だけど、藍那は現れなかった。
それから1年が過ぎた。
俺は藍那の実家に足を運んだ。
藍那の親に藍那の住んでる家を聞く為に。
ピンポーン
「はーい・・・あら藍紅君久しぶりね。」と藍那のお母さんが出てきた。
「入って・・・」と藍那のお母さんに言われ「お邪魔します・・・」と俺は中に入った。
「今日はどうしたの?藍那はもうずっと家に帰ってないし、連絡も取れてないのよ・・・」と藍那のお母さんはコーヒーを入れて出してくれた。
「この間たまたま藍那と会ったんです。でも何だか態度がおかしくて・・・俺、そのまま帰してしまった事を後悔しててお母さんなら住所とか知ってると思って訪ねてきたんです。」と俺は言った。
「藍紅君に、いつまでも迷惑掛けるのね藍那は・・・」とお母さんは悲しい顔をした。
「迷惑なんて思ってません。今までもこれからも俺には大切な人だから・・・」と俺は真剣に答えた。
「藍那の住所なら分かるわ」とお母さんは笑って住所が書かれた紙を出した。
「確か貴文君と住んでるわ・・・」と俺を見た。
「ありがとうございます」と俺は頭を下げた。
「何かあったら連絡してね?」とお母さんは俺を玄関まで送ってくれた。
「分かりました。お邪魔しました・・・」と俺は藍那の家を出た。
そして住所が書かれた紙を頼りに藍那の住んでる家を探した。
「ここか・・・」と俺は家を見つけた。
ピンポーン
ピンポーン
何度チャイムを押しても誰も出てこなかった。
その時・・・「誰?・・・沖田?」と先輩の声が聞こえた。
「お久しぶりですね・・・先輩?」と先輩を見ると、先輩の髪はボサボサで手入れされてない髭を生やし洋服もボロボロで昔の爽やかな先輩とは思えなかった。
「何だ?藍那を奪いに来たのか・・・まぁ入れよ。」と中に入れられた。
部屋の中はお酒のゴミが散らかっていて足の踏み場がなかった。
「誰か来たの?」と奥の方で声がした。
「あらカッコイイ人ね・・・」と裸だった女の人が洋服を着ていた。
「うるせー。早く出て行けよ。」と先輩は女の人を追い出した。
「あの人は?」と俺は先輩に聞いた。
「ん?知らねーよ・・・」と先輩はお酒を飲み始めた。
「藍那はココに居るんですか?」と俺は先輩に詰め寄った。
「藍那。藍那。五月蝿いんだよ!」と俺は突き飛ばされた。
「藍那は出て行ったよ・・・」と先輩は悲しそうな顔で言った。
「何処に行ったか知りませんか?・・・」と先輩に聞いた。
「知らない。俺は藍那を傷付け過ぎた・・・」と先輩は涙声で話し始めた。
「藍那と一緒に暮らし始めた頃は、毎日が楽しかった。」
「藍那は毎日笑っていた・・・」
「だけど藍那は毎日寝言で「藍紅・・・ごめんね」って言っててさ・・・」
「事故の事で藍那が俺に気を使ってる事に気付いたんだ。」
「俺は辛かった。」
「それからは酒と女に溺れ、藍那を犯して暴力を振るって・・・」
「だけど藍那は俺から離れないんだよ・・・」と先輩は涙を流した。
「藍那は優しいから「たっちゃんは私が守るから・・・」って言ってさ」
「もう藍那を殺そうかと思って藍那が寝てる時に首を絞めたんだ。」
「そしたら藍那は何て言ったと思う?」と先輩は俺を見た。
「「たっちゃんに殺されるなら私は死んでもいいよ・・・」って初めて泣いたんだ。」
「俺は手を離して「出て行けよ!」って追い出したんだ」
「それから藍那は戻ってない・・・」と先輩は立ち上がった。
そして俺に向かって土下座した。
「藍那に会ったら「ごめん」って伝えてくれないか?」と俺を見て笑った。
その笑った顔は昔、藍那が好きだった先輩の顔だった。
俺は何も言わず家を出た。




