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After DIE HARD END 6

(明子)

(うるま基地前線本部)

(明子)

アーガイルとルーシー、そして二人の子供は、宿のコテージに戻っていた。其処には、湊が、県警に連絡し、県警差し回しの、警護の為の機動隊出身の制服警官が、二名待っていた。アーガイルは『こんな程度で警護かよ』と思ったが、居ないよりはまし。と考えを改めた。子供達は、突然(お買い物)ツアーが終了した事に不満を爆発させていたが。ルーシーは、ある程度、事実を幼い子供に話し、更に、此処に警官が居る事で、彼等を落ち着かせた。

テレビでは、潜入した米軍の特殊部隊が殲滅させられ、台湾からのゲスト(将校)も射殺されたことが報じられた。

既に、バイリンガルで在った子供達は、このニュースで、祖母と父、叔父が今、危険な場所に居る事を再確認した。その様な時に、思わぬ人物の訪問があった、明子であった。ルーシーは、既に、ジャックから紹介を受けていたので、彼女が誰なのかを知っていたが、二名の警護の制服警官とアーガイルには、彼女が、どの様な存在なのか、を説明しなければならなかった。

彼女がコテージに入ると直ぐに

「お姉様。彼からこのようなメールが来て、この騒ぎですから、私一人でアパートに居るのが不安で」

と言って、ルーシーの前で泣き崩れながら、彼女は、携帯をルーシーに渡した。殆ど、メールの内容は、自身や、アーガイルに送られて来たモノと変わらない文面であった。コピペで、弟が、大急ぎで文面を送った事。そして、彼女に、自身の無事を伝える事で、落ち着かせようとした事は、明らかであった。

「其れで彼から、それ以降の返事が、あったのでしょうか?私の所へは、何もないので」

明子は、不安そうな表情で、ルーシーを見上げた。

「そう、先程、夫から無事、ファシリティーから脱出できたと、連絡が入ったわ、弟と、共に」

「え!御主人。確か山本大佐(一佐)でしたっけ?も、彼とご一緒でしたの?」

明子は、新しい情報を得た、と言う表情に変わった。

「ええ、そうよ」

ルーシーは優しく答えた。

「でもどうやって?」

明子は、追加で質問をして来た。ルーシーは、この時は、彼女を落ち着かせる為に、他から得た情報も混ぜ、知り得る情報を全て包み隠さず彼女に伝えようと考えた。

「そうね、彼等は・・・」

ルーシーは、一時間以上、夫と弟に関する情報を、明子に話し(説明)続けた。

彼女の表情は、見る見る普通に戻っていくような気がした。アーガイルは、二人の為に、コーヒーを入れ様とした、それを見ていた、二人の子供は、“自分達には、おやつは、無いのか!”と言う感じで、明子の座るソファーの上を飛び跳ね、アーガイルの注意を引こうとした。この微笑ましい光景に、外の警官も、明子も笑みを浮かべて、眺めていたが、子供たちの、粗相の弾みで、明子のハンドバックが、ソアーから、弾み落ち、ハンドバックの中身が、床に散乱した。其処には、化粧品等に紛れ、韓国製の別の携帯と、見た事も無い外国製の小型の拳銃が、あった。

「これは何?」

ルーシーは、流石に質問をせざるを得なかった。

明らかに明子の表情には“しまった”と言う動揺が浮き上がっていた。

子供達を背中に隠し、ルーシーは、明子と対峙せざるを得なかった。

アーガイルは、コーヒーを入れる為に、沸かしたばかりのお湯をポットごと、明子に投げつけ、熱湯を彼女浴びせ、怯んだ隙に、ルーシーをソファーの背に跳ね避け、子供達を拾い上げ、キッチンの陰に隠れた、この騒ぎで、中を見ていて、外に居た制服警察官が、飛び込んできた。が、彼等は、明子の正確なダブルタップで、物の見事に、明子に射殺された。彼女が、訓練を受けた人間である事は、この拳銃射撃の正確さで、明らかであった。

最初に飛び込んできた警官の一人は、アーガイルの下へ倒れ込んだので、アーガイルは、彼のホルスターから、旧式の38口径を抜き取り、明子に目掛けて闇雲に3発発射した。怯んだ彼女に対し、最期の2発で、ディッシュウォッシャーの陰から立ち上がって、ルーシーの方から、此方に振り向いた、明子に、止めを刺す事が出来た。

彼等が、東京の警官の様に、最新式のリボルバーを装備していない事は、勿怪の幸いだった。が、彼は6発目が、空である事を忘れる位、無我夢中の行動であったし、死亡した警官の、ランヤードから伸びた盗難防止コードは、伸び切っていた。

もし亡くなった警官の所持する拳銃が最新式ならば、インターナルキーロックと言う無駄な安全装備が、標準で着いていたので、アーガイルは、この様に、素早い対処が出来ず、射殺されていただろう。此処は、沖縄、しかも彼は、機動隊員、何が有っても彼等は、対応出来る様に、していた。

しかも、ルーシーは、夫に、日頃から、合気道で鍛えられていた事も幸いした。子供達は、泣き叫んでいたが、この銃声で、5分も経たたず、応援の警察官がコテージ内に、飛び込んで来ていた。明子の拳銃は、撃たれたショックで彼女の手を離れていたが、念のためルーシーは、それを足で、倒れている彼女から遠退けた。

「ハニートラップに弟が、掛かっていたなんて」

ルーシーは、この顛末は、一刻も早く、弟に伝えるべき。と考え、自分の携帯を手にした。彼等が、箱の外に飛び出た事、そして、存命な事を既に敵が知っている事は、重要な情報であった。思わず電話をしようとしたが、瞬間的に彼女は。ショートメッセージに切り替え、弟ではなく、夫に此の顛末を連絡した。


(うるま基地前線本部)

新垣は、この基地の日本人による警備隊の責任者である仲宗根と対峙していた。

殆どの、基地内の民間人や、軍属関係者を、危険の無い所へ、退避させたと云う連絡を仲宗根は、しに来ていた。

なまじ、無線を使用する事は、傍受される危険性があったからだ。

しかも、彼は、新垣が、警察関係の責任者と言う事以外、どういう種類の人間か?しかも新垣の個人携帯番号も知らなかった。故に彼は、此処に出向き、報告をせねばならなかった。

米軍管理の基地内では、全ての有線電話線は、切断されていたので、幾つかの個所をたらい回しにされた挙句、彼は、海自基地内に設営された、新垣の居る前線本部に、たどり着いていた。

この基地で、まともな武装をしている米軍基地関係の人間は、彼と生き残った、彼の、日本人警備隊の部下のみに、なっていた。米兵は、ほぼ駆逐されていた。仲宗根の部下も、殺された仲間の遺体の回収、及び、潜入部隊が使用したと思われる、基地内のファシリティーの見聞や、基地内に残る、米軍関係の家族や軍属の避難を海自基地内の警務隊と共に見届けて、その報告の為、燦々囂々、この本部に、集合しつつあった。各基地の日本人警備隊人数は、中隊規模は、在ったが、その中で、常時武装の上、常時武器携行が許される隊員は、この程度の基地規模だと小隊程度で、そのうちの2名が殺されていたので、集まって来たのは、十五人程度であった。ただ彼等は、この基地内の隅々を知るエキスパートであり、銃の取り扱いや、大柄の米兵を取り抑える技術は、県警の機動隊員と、遜色は無かった。勢い、仲宗根麾下の隊員は、海兵隊のキャンプハンセンの、司令官の指示の下、新垣の指揮下に入り日本の警察に協力する事が、求められた。この決定に、日本の中央政府は、関与出来ず、全てワシントン経由であり、霞が関には、事後報告と言う手段が採られた。しかし、その様な雲の上の動きは、新垣には、関係が無かった。この基地奪還作戦は、結局の処、所属の如何を問わず、全て日本人の手によって成されなければ、ならなかった。

これは、予め潜入部隊の描いた、絵の通りの展開でもあった。

彼等にとって、日本人の方が、米国軍人より、数段、御し易いと感じられていた。

その様な処に、県警本部経由で、ルーシーからの電話連絡が飛び込んで来た。

新垣より英語が堪能で、アーガイルからルーシーの事をある程度知識として入れていた仲宗根は、スピーカにして、彼女の報告を聞き、逐次、周囲に聞こえる様に説明(日本語訳)をした。

内容を要約すれば、侵入した敵に、夫(山本一佐)とジャックの存在は、既に、ばれている可能性が高い事。ただ、ジャックと共に、山本が居る事迄は、バレて、いない可能性も、高い。ジャックの恋人は、潜入犯の仲間で、北朝鮮人であるらしい事。そして、テロリストも、知らない“情報”としては、ジャックと山本は、殲滅(殉職)された、特殊部隊の武装を借りて、再び、箱の中へ再潜入した事であった。

この情報と、解像度をわざと落したとは言え、二隻の潜水艦から来た、新たなる潜入者を加えると、潜入犯は、総勢三十名程度と想定できた。当方は、武装した県警SATと、仲宗根麾下の日本人基地警備隊。そして、県警機動隊及び海自基地の警務隊の総数を合わせると、武装テロリストや、潜水艦内に残る兵員と、同等だが、若干の質的劣勢が、見込まれた。但し“箱”の内部には、完全武装した、ジャックと山本が居た。

これだけが、大きなアドバンテージで、あった。

新垣は、県知事や県警本部長の命で、その指揮官として振舞う事が要求された。

故に、その中から野次馬や米軍、日本人の報道関係の排除に海自の警務隊と県警機動隊を当たらせる指示を出すと、対テロ訓練を積んだ、実働可能部隊の数は、五分五分か、やや劣勢と看ていた。

その様な時に、新垣宛見知らぬ番号から、ショートメールが、飛び込んで来た。有難い事に全部、日本語であったので、彼も読む事が出来たが、ルーシー経由で、彼の番号が、山本に転送され、山本依りの状況報告であった。

『内部侵入成功。此の文面は箱の便所からである。我々も米軍の遺体から武器を得、敵の通信機も得た。英語の会話は(何とか)聞き取れるが、母国語の会話は、解読不能。今から人質の人数を再度把握に行くが、記憶では、中富のエンジニア五名。日米海軍のオペレーター十名。義母と高木以下中富のVIP四名と、日米海軍関係のVIP六名、日本側の政治家六名、韓国海軍二名、台湾一名。計三十三~四名。各自氏名等は、そちらでも把握しているだろう?内部に潜入後は、電波が届かず連絡が出来なくなる。以上』

新垣は、明子の事を含め、此方の考えを返信した。『ジャックは、妻からと、貴殿からの内容に、とてもショックを受けているが了解』と返信が即、山本から返って来た。内部の二人は、未だ健在であった。

メールを打電した直後、箱の内部より英語で連絡が来た。『食事は、未だか?』と言う催促であった。

そして、依頼内容が、当初の二十五名分から、倍以上の六十五名分に、増やされていた。単純計算で、敵の追加された人数が、倍に、増えている事が、ハッキリした。

『彼らは、未だ食糧庫の事を知らない』この、絶好の“隠れ場所”の情報は、仲宗根の携帯から日本語で、山本宛に、打電されたが、彼らの携帯に、この情報は、オンタイムでは、届いていなかった。

今や、新垣や仲宗根にとって、日本語でメールを山本に送る事が、最もセキュリティーを担保できると考えていた。

『テロリストは、解放軍と北朝鮮。即ち、英語は理解しても、日本語を解さない連中で構成されている』と言う判断が成り立っていた。

次に、彼らが要求してきたのは、“基地内の自由で安全な通行の確保”であった。箱の中から、基地内の監視カメラが、彼等に乗っ取られている事が、はっきりした、このままでは、沖縄中、いや、日本国内の在日いや自衛隊基地や駐屯地のオンラインで結ばれている、セキュリティーシステムに浸入される事も、時間の問題であろう。

オンラインは危険。と思ったので、霞が関経由で、この考え方は、在日米軍にも伝え、対抗措置を取って貰う必要があった。

今、箱のシステムは、現状で考え得る、最高のシステムが構築されているはずである。そして、それを考案設計した人材が人質の中にいる。新垣は、物理的に各基地や駐屯地間の有線電話アナログ以外の通信デジタル回線を全て遮断して置く事が、最も簡単で確実な対抗策である旨の懸念も、霞が関に伝えていた。

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