《報告》
ラスティア港。
深海ダンジョンから戻ったクロス零は、
最低限の報告だけ済ませ、その日のうちに王都へ移動した。
翌日。
王都冒険者ギルド・臨時監査区画。
簡易結界の張られた一室で、
クロス零は正式な事情聴取を受けていた。
卓上に並べられたのは、回収したカード片と転送タグ。
監督官ラザンが腕を組んで立っている。
「――結論を」
レアは短く答える。
「深海の門は、外部から乗っ取られてました」
「バグ個体は人工生成」
「生成源は破壊済み。でも実行犯は撤退してます」
ゼノが端末を接続する。
映し出される歪んだ魔導円とカード陣列の記録。
セレスが補足した。
「融合兵実験と同一系統の因果痕跡です」
ラザンの表情が一段硬くなる。
「……シャドウ・リバースか」
ルークが頷く。
「確定でいい」
ラザンは深く息を吐いた。
「深海ダンジョンは即時封鎖」
「王都側で調査班を再編する」
そしてレアを見る。
「クロス零」
「次に動く可能性が高い地点が分かり次第、優先連絡する」
ミーニャが笑った。
「追う側にゃ?」
「そうだ」
ラザンは淡々と言った。
「お前たちは、もう“現場対応班”だ」
「了解」
こうして――
深海事件は“事故”ではなく、
“組織犯罪”として正式に処理された。
だが。
シャドウ・リバースは、まだ捕まっていない。




