《裂谷鉱区・ミーニャの番》
【討伐依頼】
対象:岩殻ワーム
推奨ランク:B以上
パーティー編成:三名以上
報酬金:420,000円
場所:採掘放棄された裂谷鉱区
裂谷鉱区は、風が低く唸っていた。
裂谷鉱区に集まったのは、
レア、ミーニャ、アリエル、ルーク、ゼノ、そして後方支援のセレス。
崩れた採掘足場。 割れた地盤。 深い縦穴がいくつも口を開けている。
「ここか……」
レアが周囲を見回す。
ゼノは端末を操作しながら言った。
「振動反応あり」
「地下三十メートル」
ルークは裂谷の奥を睨んでいる。
セレスが静かに補助光を展開する。
「来ます」
次の瞬間。
地面が盛り上がり、岩盤が弾け飛んだ。
――ドガァン!
巨大な胴体。
全身を鉱石殻で覆った地中魔獣。
岩殻ワーム。
「でっか……!」
レアが息を飲む。
ワームが咆哮し、裂谷の縁が崩れ落ちる。
「初動は俺が受ける。ミーニャ、準備しろ」
ルークが前に出る。
「わかったにゃ」
レアは即座に《認知加速》。
地中移動経路。 振動感知点。 露出する核部。
「……硬い」
「普通に殴ると長引く」
レアが一歩下がる。
ミーニャを見る。
「ミーニャ」
ミーニャは《ツインヘリックス・改》を握った。
「単独でいける」
ゼノが短く言う。
「出力問題なし」
セレスが淡い光を添える。
「因果補正、かけます」
ミーニャの尻尾がゆっくり立ち上がった。
「……やるにゃ」
スロットにカードを差し込む。
ランク不明カード――スフィンクス。
「武装展開――」
ミーニャが叫ぶ。
「スフィンクス・オルタナティブ!!」
《ツインヘリックス・改》が低く唸る。
青白い紋路が走り、装備が再構成される。
背中に半透明の翼。
脚部に重力制御ライン。
視界に黄金色の紋様が浮かぶ。
「……すご」
アリエルが思わず呟いた。
ワームが地中へ潜る。
次の瞬間、
ミーニャは跳んでいた。
翼が空気を叩き、裂谷の上空へ。
「見えてるにゃ!」
視線の先。
地中を走る巨大な影。
ミーニャは《ツインヘリックス・改》を構え、急降下。
「いくにゃああ!!」
重力制御、最大。
ミーニャの身体が螺旋を描きながら急降下する。
《ツインヘリックス・改》が唸りを上げた。
「《スフィンクス・スパイラルブレイク》!!」
両端の螺旋刃が岩殻に食い込み
螺旋の衝撃が内部まで伝播する。
雷鳴のような衝撃。
――ギャギィィィ!!
ワームの背甲が割れ、内部の核を、正確に貫いた。
地面に叩きつけられた巨体。
岩殻ワームは痙攣し、そのまま崩れ落ちた。
砕けた岩が転がり、風だけが裂谷を抜けていく。
風だけが裂谷を抜けていく。
「……制圧完了」
ゼノが端末を閉じる。
ミーニャの装備が元に戻る。
息を整えながら振り返る。
「ど、どうだったにゃ……?」
レアは笑った。
「完璧」
アリエルが小さく拍手する。
「……すごかったです」
セレスも頷く。
「初陣としては、理想的でした」
ミーニャの尻尾がぶんぶん揺れる。
「やったにゃ!!」
レアは拳を軽く合わせた。
「これで確定だね」
「クロス零、全員オルタナティブ可能」
裂谷鉱区に残るのは、砕けた鉱石と巨大な死骸だけ。
ミーニャは胸を張った。
今日から彼女も――
クロス零の、もう一枚の切り札となった。




