《王都到着》
街道を抜けた瞬間。
レアは思わず足を止めた。
「……でか」
城壁が視界いっぱいに広がっている。
高さも厚みも、ラスティアの比じゃない。
門だけで宿屋が建てられそうだった。
空には浮遊輸送艇。
地上には魔導馬車。
人の流れが途切れない。
「王都にゃ……」
ミーニャがきょろきょろする。
「人、多すぎにゃ」
「建物も……全部、大きいですね……」
アリエルは杖を胸に抱えた。
ルークは周囲を確認している。
「ここは中央だ。冒険者も、軍も、魔導師も混ざっている」
セレスが静かに言う。
「因果の密度が高い……」
王都ギルド本部。
石造りの建物は要塞みたいだった。
受付で身分証と実績データを提出。
炎竜。
ゴブリン要塞。
深層ゴーレム。
カード履歴。
戦闘ログ。
端末を見ていた職員の表情が変わる。
「……少々、お待ちください」
奥に呼ばれた。
応接室。
白髪混じりのギルド査定官が現れる。
資料を机に置いた。
「レア・クロス零リーダー」
「あなたの戦闘記録は確認しました」
レアは立ったまま頷く。
「単独制圧複数」
「深層主級撃破」
「カード融合運用」
「新型武装《零・改》」
査定官は顔を上げる。
「Dランクのままにしておく理由がありません」
紙を差し出す。
「本日付で、A級昇格です」
ミーニャの尻尾が跳ねた。
「いきなりAにゃ!?」
アリエルが目を丸くする。
「え……」
ルークは静かに息を吐いた。
「妥当だ」
セレスは小さく頷いた。
レアはカードを受け取る。
Aランクプレート。
金属が重い。
「……ありがとうございます」
査定官は淡々と言った。
「これは栄誉ではありません」
「戦力としての登録です」
「以後、国家級案件への招集が発生します」
レアはプレートを握る。
「分かってます」
ギルドを出た。
王都の喧騒が一気に戻る。
「レア、A級にゃ!」
ミーニャが飛びついてくる。
「すごいです……!」
アリエルも笑った。
レアは少し照れた。
「別に変わらないよ」
「やることは同じ」
ルークが言う。
「責任が増えただけだ」
セレスはレアを見る。
「ここから、もっと大きく動きます」
レアは王都の中央塔を見上げた。
古代文字。
兵装設計。
まだ何も終わっていない。
「行こう」
拳を軽く握る。
「ここからが本番だ」




