《炎竜襲来の謎》
――炎竜を倒した、その夜。
炎竜を倒してから数時間後――
ギルドの二階、会議室では――
ギルドマスター、クリス・エンデバーが腕を組んで考え込んでいた。
「……おかしい」
クリスが呟く。
「何がおかしいんだい、ギルマス?」
レアが尋ねる。
会議室には、レア、ミーニャ、アリエル、ルークが集まっていた。
「炎竜の襲来だよ」
クリスが地図を広げる。
「炎竜は本来、火山地帯にしか生息しない。ラスティアから一番近い火山でも、ここから500キロ以上離れてる」
クリスが地図の北西を指差す。
「なのに、なぜ炎竜がラスティアに……?」
「偶然じゃないのかにゃ?」
ミーニャが尋ねる。
「偶然で500キロも移動するか? しかも、わざわざ街を襲うように?」
クリスが眉をひそめる。
「……誰かが、意図的に誘導した可能性がある」
「誘導……?」
レアが驚く。
「ああ。炎竜を魔法で操って、この街に向かわせた……そう考えるのが自然だ」
「でも、誰がそんなことを……」
「それを、調べないといけない」
クリスが立ち上がる。
「レア、お前たちに頼みたい。炎竜の痕跡を調べてくれ」
「わかった」
レアが頷く。
「明日、みんなで調査に行こう」
「了解にゃ!」
「わ、私も……頑張ります……」
「俺も協力する」
こうして――
炎竜襲来の謎を解く、調査が始まった。
翌朝――
チーム・クロス零は、炎竜が最初に目撃された場所――北の森へと向かった。
「ここが、最初に炎竜が現れた場所にゃ」
ミーニャが地図を確認する。
「痕跡を探そう」
レアが周囲を見回す。
森の中には――
焼け焦げた木々、溶けた岩、炎竜の足跡が残っていた。
「こっちに足跡があるにゃ!」
ミーニャが叫ぶ。
「たどってみよう」
レアたちが足跡を辿る。
しばらく歩くと――
「……何か、おかしいにゃ」
ミーニャが立ち止まる。
「どうしたの?」
「足跡が……途中で向きを変えてるにゃ」
ミーニャが地面を指差す。
「まるで、何かに引き寄せられたように……」
「引き寄せられた……?」
レアが周囲を見回す。
その時――
「あ、あの……あれは……」
アリエルが震える声で木の幹を指差す。
そこには――
奇妙な紋章が刻まれていた。
赤い光を放つ、魔法陣のような紋章。
レアが駆け寄る。
「これは……誘導魔法の痕跡だ」
ルークが驚く。
「誘導魔法……?」
「ああ。モンスターを特定の場所に誘導する、高度な魔法だ」
ルークが紋章を調べる。
「この紋章……古代魔法の一種だ」
「古代魔法……」
「誰かが、古代魔法を使って炎竜を誘導した……」
「でも、誰が……?」
レアが尋ねる。
「それを、調べないと」
ルークが立ち上がる。
「この紋章、他にもあるはずだ。辿ろう」
一同が紋章を辿る。
森の中、いくつもの紋章が見つかる。
「ここにもあるにゃ!」
ミーニャが見つける。
「あ、あっちにも……」
アリエルも見つける。
そして――
森の奥で、最後の紋章を見つけた。
「ここが……最後にゃ」
ミーニャが呟く。
「誰かが、ここで魔法を発動させたんだ……」
ルークが地面を調べる。
足跡がいくつか残っている。
「複数人……組織か……」
レアが呟く。
「待つにゃ……これ、何にゃ?」
ミーニャが地面に落ちている布切れを拾う。
「これは……外套の切れ端か?」
ルークが布を調べる。
「ただの黒い布……」
「でも、わざわざこんな森の奥に……」
レアが周囲を見回す。
「誰かが、ここにいたのは確かだ」
「でも、誰かは……わからないにゃ」
ミーニャが悔しそうに言う。
「足跡も、ここで途切れてる……」
ルークが地面を調べる。
「まるで、消えたように……」
「転移魔法か……?」
「可能性はある」
一同が黙り込む。
「……手がかりは、これだけか」
レアが布を握りしめる。
「ギルドに戻ろう。報告しないと」
ギルドに戻ったレアたちは、クリスに報告した。
「……そうか。誘導魔法の痕跡が見つかったか」
クリスが渋い顔をする。
「でも、犯人の正体は……」
「わからなかった」
レアが悔しそうに言う。
「黒い布の切れ端だけ……でも、これじゃ……」
「ああ。手がかりとしては弱い」
クリスが頷く。
「だが、一つ確かなことがある」
「何ですか?」
「誰かが、この街を狙ってる」
クリスが真剣な表情で言う。
「炎竜を誘導してまで、街を襲わせた……その目的は、まだわからない」
「……」
レアが黙り込む。
「レア、お前たちは街の警備を強化してくれ。何かあったら、すぐに報告するんだよ」
「わかった」
レアが頷く。
会議室を出た後――
レアは夜空を見上げた。
「……誰かが、この街を狙ってる」
そして、それは――まだ、始まりに過ぎない。




