《冒険者レア、最初の依頼》
ギルドの掲示板で依頼書を見つめる。
「やっぱり最初は……スライム討伐30体、かな?」
うん、初心者らしくていいスタートだ。
モンスターは討伐されると、肉・皮・骨・魔核などの素材に変わる。
これらは鍛冶・錬金・料理・装飾など、多くの職人が利用する重要資源。
素材は時間経過で消失するため、冒険者は討伐後すぐに回収するのが鉄則。
ごく稀に、討伐されたモンスターが光の粒子となって消え、代わりに一枚のカードが出現する。
この現象を「モンスター・リバース現象」と呼ぶ。
カードはギルドで正式な価値が認められ、
素材よりもはるかに高値で取引される。
冒険者ライセンスを持つ者のみが所持・使用できる。
カードは所有者が「リバース(Reverse)」と叫び魔力を流し込むことで、発動可能。
倒したモンスターが再構成され、召喚獣として従属する。
カード内のモンスターは忠誠状態にあり、命令に従う。
戦闘不能・負傷・部位欠損しても、カードに戻すことで再生が可能。
再生時間はモンスターのランクや損傷度によって異なる。
ギルドの依頼掲示板の横には、モンスターカードのランク表が貼ってあった。
冒険者なら誰でも一度は見たことがある、通称“カードランク表”だ。
モンスターを倒した時、稀に光の粒子となってカード化することがある。
それがギルドでは正式に“モンスターカード”として扱われている。
カードにはランクがあって――
まず、一番下が Cランク《コモン》。
スライムやウルフみたいな低級魔物が多い。
素材にしても安いけど、カードとして残せば初心者の相棒にはちょうどいい。
市場価格は大体 五千〜一万円。お小遣いには悪くない。
次が Bランク《レア》。
オークやリザードマン、ちょっと強い連中がこのあたり。
討伐も一苦労だけど、カード化すればギルドで 数十万円 は軽く超える。
その上が Aランク《エピック》。
ドラゴン種や魔人、上位存在ってやつ。
ギルドの許可がなきゃ召喚すら認められない。
カードの取引額は 数百万〜一千万クラス、それこそ人生変わるレベル。
そして伝説の頂点―― Sランク《レジェンド》。
神獣や古代存在、国が総力を上げても勝てないような化け物たち。
もしそれがカード化したら……値段なんてつかない。
「国家予算級」って噂されるくらい、世界が動く代物だ。
僕はその表を見上げながら、ため息をついた。
「……スライム三十体討伐の依頼、五千円か。
うん、やっぱり地道にいくしかないよね」




