《ももこちゃん》
カランカラン。
鍛冶屋〈イヅナ〉の店内に、入口のベルが鳴り響く。
「さぁ〜、今日の雑誌の袋とじは楽しみだな〜」
イヅナが雑誌の袋とじを綺麗に切りながらニヤニヤしている。
「何がだ?」
店の奥から声が聞こえる。
「何がって、そりゃ〜袋とじの牛獣人デカメロンももこちゃんの朝の一本絞りだろっ!」
ふと、イヅナが客に目を向ける。
「ぎゃ〜〜〜〜!」
「ぎゃ〜〜〜〜!」
レアも驚いて叫ぶ。
「お、おい! レア! い、いつから居たんだ!?」
イヅナが慌てて雑誌を隠す。
「今さっきだよ」
ププシュ〜
「驚いて屁とうん汁が一緒に出ちまったじゃね〜か!」
イヅナが顔を歪める。
「くっさっ!」
レアが鼻を押さえる。
「早くトイレ行けよ〜!」
「一緒に出ちまうなんて……俺も歳とったなぁ〜」
イヅナがお尻を押さえながらトイレに駆け込む。
その姿は――しっかりと脇に雑誌を抱えていた。
「トイレの前に脱いだパンツあるから洗っといてくれ!」
トイレの中から親父の声が響く。
「自分でやれよ! もぉ〜、しょうがないなぁ〜」
レアが呆れたようにトイレの前にあるパンツを鼻を摘みながら持ち上げる。
数分後――
イヅナがトイレから出てくると、レアがリュックから大量のコカトリスの肉と羽、グリフォンの羽を取り出していた。
「おお! これは……コカトリスか! しかもこの羽は……グリフォン!?」
イヅナが目を輝かせる。
「うん! 《石化の森》で狩ってきたんだ!」
イヅナが嬉しそうに素材を眺める。
「それとね、ミーニャがバジリスクのカード手に入れたよ!」
「バジリスク!? コカトリスの進化系個体か! すげぇじゃねぇか!」
イヅナが驚いて声を上げる。
「うん、僕はもうヘトヘト。シャワー浴びて、そのまま寝ちゃうね。――あとはよろしく」
少し熱めの湯で汗だけ流して、布団に倒れ込むレアだった。
「はぁ……疲れた……でも、いい冒険だったな……」
レアが満足そうに呟きながら、目を閉じる。
静かな夜――
やがて、レアの意識が遠のいていく。
その夜、不思議な息づかいの親父の声がこだましていたという。
「ももこちゃ〜〜〜ん!」
「……うるさい……親父……」
レアが寝ぼけながら呟き、枕を頭にかぶせた。
こうして、チーム・クロス零の《石化の森》冒険は幕を閉じたのだった。




