《機転》
絶体絶命のピンチに、ミーニャが焦る。
その時――
「ふ、二人とも……耳を塞いで! 眠らせます……!」
アリエルが震える声で言った。
「アリエル……!」
「わかったにゃ!」
レアとミーニャが慌てて両手で耳を塞ぐ。
「リバース……セイレーン!」
アリエルがカードを掲げると――
光が弾け、美しい歌声が響き渡る。
水の精霊のような姿をしたセイレーンが現れた。
「ラァァァ~~~♪」
セイレーンの美しくも妖しい歌声が、森全体に響き渡る。
「キュアア……ア……」
上空を舞っていたグリフォンの動きが鈍くなる。
「ギィィ……シャア……」
バジリスクも首を揺らし始めた。
「ラァァァ~~~♪」
セイレーンの歌声がさらに強まる。
「キュ……ア……」
グリフォンがふらふらと地面に降り立ち――
ドサッ!
そのまま地面に倒れ込んだ。
「ギィ……」
バジリスクも抵抗するが――
ドサァッ!
巨体が地面に崩れ落ち、深い眠りについた。
「ラァァァ~~~♪」
セイレーンの歌声が静かに止む。
「や、やった……!」
アリエルがその場に膝をつく。
「アリエル、すごいにゃ!」
ミーニャが駆け寄る。
「さすがだよ、アリエル! 今のうちに倒すよ!」
レアがカードを掲げる。
「リバース! 出て来い、冥府王リッチ!」
ゴォォォォォッ……!
凄まじい怨念の叫びと魂が空間から溢れ出す。
大鎌を持ち、金の装飾を纏ったリッチが姿を現す。
『我の出番か、主よ』
低く、どこか愉悦に満ちた声が響く。
「でも……長くは持ちません……早く……」
「わかった! リッチ、バジリスクを頼む! 僕はグリフォンを!」
『ふん、造作もない』
リッチが大鎌を振るい、眠っているバジリスクに近づく。
「私も行くにゃ! リバース、モンキー将軍!」
ミーニャがカードを掲げると、巨大な甲冑を着けた猿のモンスターが現れた。
「ウホオオオッ!」
モンキー将軍が大剣を構える。
「一気に仕留めるよ!」
「了解にゃ!」
「行け、リッチ!」
『《死霊の大鎌》――滅せよ!』
リッチが大鎌を振り下ろすと、青白い刃がバジリスクを切り裂く。
ズバァッ!
「モンキー将軍、追撃にゃ!」
「ウホオオッ!」
モンキー将軍が大剣を振り下ろし、バジリスクの体を叩き斬る。
ガキィンッ!
「僕も行く! 《雷迅砲・ゼロブラスター》ッ!!」
バチバチバチィィィッ――!!
レアの雷光がグリフォンを直撃する。
「キュアアアアッ!!」
「ギィシャアアアッ!!」
グリフォンとバジリスクが絶命した。
「はぁ……はぁ……やった……!」
レアが地に大の字に倒れ込む。
『ふん、我の力があれば容易いこと』
リッチが勝ち誇ったように大鎌を振るう。
その瞬間――
バジリスクの体が光に包まれ始めた。
「な、何にゃ!?」
ミーニャが驚いて見つめる。
ゴォォォォ……
光が収束し――
一枚のカードが宙に浮かび上がった。
「カード化したにゃ! バジリスクがカードになったにゃ!」
ミーニャがカードを掴み取る。
カードには、深紅のバジリスクの姿が描かれていた。
「成功したにゃ! バジリスクのカード、手に入れたにゃ!」
ミーニャが喜びの声を上げる。
「やったね、ミーニャ!」
「お、おめでとうございます……」
一方、グリフォンの体は――
ドサッ、ドサッ、ドサッ!
大量の羽と肉が地面に落ちた。
「グリフォンは素材として出たんだ……」
レアが少し残念そうに呟く。
「で、でも……グリフォンの羽は貴重な素材です……」
アリエルがもじもじしながら羽を拾い上げる。
「そうだね。これはこれで価値があるよ」
レアが笑顔で頷く。
「さて……これで目的は達成だね。あとは……」
レアがふと、周囲を見回す。
地面には、倒れたコカトリスたちの姿。
「肉の回収にゃ!」
ミーニャの目が輝いた。
「そうだね! コカトリスの肉、たくさん持って帰ろう!」
「わ、私も……楽しみです……」
三人は笑顔で、コカトリスたちから素材を回収した。
カードも手に入り、美味しい肉も大量に手に入った――
「今日はここでお肉パーティーして、明日帰るにゃ!」
ミーニャが尻尾を振りながら提案する。
「そうだね、これだけ素材があれば親父も喜びそうだし」
レアがリュックにコカトリスの肉や羽、グリフォンの羽を詰め込む。
「わ、私も……お肉パーティー、楽しみです……」
アリエルがもじもじしながら、焚き火の準備を始める。
やがて――
パチパチパチッ……
焚き火が燃え上がり、コカトリスの肉が串に刺されて焼かれていく。
ジュゥゥゥゥ……
肉の焼ける音と、香ばしい匂いが森に漂う。
「いい匂いにゃ〜!」
ミーニャが尻尾を大きく振る。
「本当だ……お腹空いたね」
レアも笑顔で肉が焼けるのを待つ。
「そ、そろそろ……焼けましたよ……」
アリエルが肉を串から外し、三人に配る。
「いただきますにゃ!」
「いただきます!」
「い、いただきます……」
三人が同時に肉を頬張る。
「うまいにゃ〜〜〜!!」
ミーニャが目を輝かせる。
「本当だ! 衣をつけて揚げなくても、焼くだけでこんなに美味しいなんて!」
レアも満足そうに笑う。
「ジュ、ジューシーで……美味しいです……」
アリエルももじもじしながら、何度も肉を頬張る。
焚き火を囲み、三人は笑顔で夜を楽しんだ。
「今日は大変だったけど……いい冒険だったね」
レアが星空を見上げる。
「そうにゃ! バジリスクのカードも手に入ったし、最高の冒険だったにゃ!」
ミーニャが満足そうに尻尾を揺らす。
「わ、私も……みんなと一緒で……楽しかったです……」
アリエルが小さく微笑む。
「街に戻ったら、親父に自慢しよう!」
「賛成にゃ!」
「わ、私も……楽しみです……」
三人は笑い合い、焚き火を囲んで夜を過ごした。
――翌朝――
「よし、帰るにゃ!」
朝日が昇る中、チーム・クロス零は《石化の森》を後にし、ラスティアへと歩き出した。




