《挟撃》
「でかい……! 予想以上だ!」
レアが驚いて叫ぶ。
コカトリスが三人を睨みつけ、赤い瞳が妖しく光った。
「目を合わせるなにゃ!」
ミーニャが叫んだ瞬間――
「《石化の魔眼》!」
ビシィッ!
光線が三人に向かって放たれる。
「《アースウォール》!」
ミーニャが咄嗟に土壁を立ち上げ、光線を遮る。
ガキィンッ!
土壁が灰色に変色し、石化していく。
「あ、危なかったにゃ……!」
「僕が行く! 《認知加速》!」
レアの世界がスローモーションになる。
コカトリスの動き、瞳の向き、全てが見える。
「《電光石火》!」
レアが雷を纏い、コカトリスに飛び蹴りを放つ。
バチィッ!
だが――
「コケェェッ!」
コカトリスは巨体を揺らした。
その巨体は筋肉質で、羽毛も硬い鱗のように見える。
「硬い……! やっぱりデカいだけあって頑丈だ!」
「こ、これは……やっかいにゃ……!」
ミーニャが《ツインヘリックス》を構える。
「わ、私も……リバース、ホワイトフォックス!」
アリエルがカードを掲げ、ホワイトフォックスが現れる。
「キュゥゥン!」
白い炎がコカトリスを包むが――
「コケッ!」
コカトリスは炎を振り払い、反撃してくる。
鋭い嘴が、レアに向かって突き刺さる!
「《認知加速》――見える!」
レアの目に、嘴の軌道がスローモーションで映る。
「遅い!」
レアが体を捻り、嘴をかわす。
レアがコカトリスの懐に潜り込み、連続打撃を叩き込む。
バチバチバチッ!
だが、ダメージが通りにくい。
「ちっ……やっぱり硬いな……!」
「コケッ! コケェェェッ!」
コカトリスが再び《石化の魔眼》を放つ。
三人が散開して避けると――
バサバサバサッ!
さらに二体のコカトリスが現れた。
「増えたにゃ!?」
「三体同時は厳しい……!」
三人が警戒していると――
コケッ、コケェェッ、コケコケッ!
次々とコカトリスが現れ、あっという間に五体になった。
「う、嘘にゃ……!」
「群れで行動するんだ……!」
五体のコカトリスが三人を囲む。
「コケッ! コケェェッ!」
「コケコケッ!」
威嚇する鳴き声が森に響く。
「このままじゃ各個撃破される……!」
レアが冷静に状況を分析する。
「ミーニャ、土壁! アリエル、スパイダーネットで罠を張って!」
「了解にゃ!」
「わ、わかりました……!」
「動けなくなったところをまとめて僕の《ゼロブラスター》で仕留める!」
レアが指示を出す。
「《アースウォール》連発にゃ!」
ドガガガガッ!
ミーニャが土魔法を発動し、次々と土壁を立ち上げる。
コカトリスたちの動きを制限し、一箇所に追い込んでいく。
「コケッ!?」
「コケェェッ!」
コカトリスたちが混乱する。
「わ、私も……《魔糸・蜘蛛網》!」
アリエルが《スレッド・リーパー》を振るうと――
星型の先端から無数の魔力の糸が放たれた。
シュルルルルルッ!
糸が木から木へと張り巡らされ、あっという間に蜘蛛の巣のような罠が完成する。
「コケッ! コケェェッ!」
コカトリスたちが土壁に追い詰められ、魔力の糸に絡みつく。
「もっと……もっとです……!」
アリエルが《スレッド・リーパー》を激しく振るい、さらに糸を増やしていく。
シュルルルルルルッ!
糸がコカトリスたちの足、翼、体に絡みつき、完全に動きを封じた。
「コケッ! コケェェッ!」
コカトリスたちが必死に抵抗するが、魔力の糸から逃れられない。
「よし! 今だ!」
レアがゆっくりと両手を組む。
右手の人差し指と中指を揃え、親指を立てて銃の形に作る。
左手をその下に添え、ガントレットの刻印が低くうなりを上げる。
掌から指先へと、雷気が螺旋を描いて集まっていくのがわかる。
「破滅の閃光――《雷迅砲・ゼロブラスター》ッ!!」
バチバチバチバチィィィッ――!!
指先から極太の雷光が奔流となって放たれた。
空気が裂け、大気が悲鳴を上げる。
雷の奔流は五体のコカトリスを一気に飲み込んだ。
「コケェェェェェッ!!!」
コカトリスたちの断末魔が森に響く。
ドゴォォォンッ!!
雷光が炸裂し、森全体に轟音が響き渡る。
煙が晴れると――
五体のコカトリスが地面に倒れ伏していた。
「や、やったにゃ……!」
ミーニャが息を切らしながら喜ぶ。
「す、すごいです……レア……」
アリエルが目を丸くする。
「はぁ……はぁ……やっぱり消耗が激しいな……」
レアが膝に手をつく。
「……カード化は?」
「ダメにゃ……まだでてこないにゃ……」
ミーニャが悔しそうに呟く。
「やっぱり簡単にはいかないか……」
レアが立ち上がる。
「もっと強い個体を倒さないとダメなのかも……」
その時――
バサッ!
上空から巨大な影が降りてきた。
「な、何にゃ!?」
見上げると――
鷲の頭と翼、獅子の体を持つ、グリフォンが空を舞っていた。
「グリフォン!? なんでここに!?」
さらに――
ガサガサガサッ!
森の奥から、巨大な気配が近づいてくる。
現れたのは――
通常の1.5倍の大きさで、体が深紅に変色したコカトリス。
その瞳は深紅に光り、尾は太い蛇のようにうねっている。
「ギィィシャアアアッ!!」
「バ、バジリスクにゃ……!」
ミーニャが驚愕の声を上げる。
「コカトリスの進化系個体……石化の森の主と言われてるモンスターにゃ……!」
「グリフォンとバジリスク……!」
レアが歯を食いしばる。
「挟み撃ちにゃ……!」
グリフォンが上空から、バジリスクが地上から――
三人を狙っている。
「ど、どうするにゃ……!?」
絶体絶命のピンチだった。




