《コカトリス》
ここは鍛冶屋〈イヅナ〉。
ミーニャの呼びかけにより、チーム・クロス零は集まっていた。
ミーニャはテーブルの上に両肘をつき、指を組んだ両手の上に顎を乗せていた。その表情は普段の明るさとは違う、真剣そのものだ。
「今日集まってもらったのは他でもないにゃ」
「なになに? どうしたの?」
レアが不思議そうに首を傾げる。
「わ、私も気になります……」
アリエルも、もじもじしながらミーニャを見つめる。
ミーニャは一呼吸置いて、ゆっくりと口を開いた。
「アリエルのセイレーンを見て思ったにゃ! 私は……コカトリスのカードが欲しいにゃ!」
「コカトリス?」
「あ、あの……石化の魔眼を持つモンスター……」
アリエルが小声で説明する。
「そうにゃ! セイレーンの歌で眠らせるように、コカトリスの魔眼で敵を石化させたいにゃ! そうすれば、戦術の幅がもっと広がるにゃ!」
ミーニャの目が真剣に輝いている。組んだ手に力が入り、尻尾がピンと立っていた。
「なるほど……確かに石化は強力だね。でも、コカトリスってどこにいるの?」
レアが尋ねる。
「それがにゃ……」
ミーニャが顎を上げ、テーブルの上に地図を広げた。
「ここにゃ。《石化の森》って呼ばれてる場所に生息してるらしいにゃ」
地図には、ラスティアから北北西に位置する深い森が記されていた。
「それに――」
ミーニャの表情が一変し、目がキラキラと輝き始めた。
「コカトリスは素材として肉をよく落とすそうにゃ! その肉はかなりうまいらしいにゃ!」
「……あ、そっちが本命?」
レアが呆れたように笑う。
その時――
レアの親父、イヅナ・ハーミットがテーブルの上に両肘をつき、指を組んだ両手の上に顎を乗せていた。その表情は普段の明るさとは違い、真剣につぶやく。
「こっこっこっ、こけっこ〜〜〜!」
・・・・・・・
し〜〜〜〜〜ん
「……親父、何やってんの?」
レアが冷ややかな目で見つめる。
「い、いや……コカトリスって鶏みたいだから……」
イヅナが気まずそうに目を逸らす。
「お、おじさま……かわいい」
アリエルが困ったように笑う。
ミーニャは無視して話を続けた。
「ち、違うにゃ! カードも本気で欲しいにゃ! でも……お肉もついでに……にゃ……」
ミーニャが尻尾を揺らしながら、少し恥ずかしそうに言う。
「で、でも……そこって危険な場所じゃ……」
「だから三人で行くにゃ! チーム・クロス零なら、きっと大丈夫にゃ!」
その時、アリエルが静かに言った。
「あ、あの……コカトリスの肉は衣をつけて油で揚げると、凄くジューシーで美味しいと聞きました……!」
「へ〜! ますます期待が高まるね!」
レアが目を輝かせる。
「今からお腹減るにゃ!」
ミーニャが尻尾を大きく振る。
「……わかった。じゃあ、コカトリス狩りに行こう!」
レアが笑顔で拳を突き出した。
「わ、私も……頑張ります……!」
アリエルも小さく頷いた。
「ありがとうにゃ! 二人とも!」
ワイワイと楽しげに、チーム・クロス零は店をあとにした。
その後――
不思議と鍛冶屋〈イヅナ〉から、
「こっこっこっ、こけっこ〜〜〜!」
という奇妙な奇声が聞こえるという噂が、街中に広まったのだった。
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