《ミーニャの優しさ》
ミーニャとアリエルの試験も無事に終わり、二人ともCランクへの昇格を果たした。
「やったにゃ! 私もCランクになったにゃ!」
ミーニャが尻尾を大きく振りながら、昇格証明書を掲げる。
「わ、私も……なんとか……」
アリエルがもじもじしながらも、嬉しそうに笑っている。
「おめでとう、二人とも! これで全員昇格だね!」
僕たちは地下闘技場を出て、ギルドのロビーへと戻ってきた。
夕暮れ時のラスティアは、オレンジ色の光に包まれている。
「お疲れ様でした、皆さん! 昇格おめでとうございます!」
ギルドの受付嬢が笑顔で迎えてくれた。
「それでは、新しいギルドカードをお渡ししますね」
受付嬢が三枚のカードを差し出す。
僕のカードには「Dランク」の文字が刻まれていた。
「うわぁ……本当にDランクになったんだ」
実感が湧いてくる。
「レアはすごいにゃ! 二階級特進なんて、滅多にないって試験官も言ってたにゃ!」
「わ、私たちも……もっと頑張らなきゃ……」
アリエルが決意を新たにしている。
「さあ、今日は祝いだね! 三人で美味しいもの食べに行こうよ!」
「賛成にゃ! お腹ペコペコにゃ!」
「わ、私も……お腹空きました……」
僕たちは笑い合いながら、ギルドを後にした。
街の酒場では、冒険者たちが今日の試験の話で盛り上がっている。
「おい、見たか!? あのピンク髪の新人!」
「リッチを使役してたやつだろ!? とんでもねぇな!」
「二階級特進だってよ! ギルドの新星だな!」
僕たちが酒場に入ると、あちこちから視線が集まった。
「あ、あれが噂の……」
「本物だ……」
少し気恥ずかしいけど、悪い気はしない。
「さあ、乾杯しようか! 僕たちの昇格と――これからの冒険に!」
「乾杯にゃ!」
「か、乾杯です……!」
三つのジョッキがぶつかり合い、爽やかな音が響いた。
これは、僕たちの新たな始まりだ。
もっと強くなって、もっと高みを目指す。
そして――いつか、最高ランクの冒険者になってみせる。
そんな決意を胸に、僕たちは笑顔で夜を楽しんだ。
――三時間後――
「あれ? レアがあんなとこに……こんな店の隅っこでなにしゃがみこんでるにゃ?」
ミーニャが不安そうにレアを見つめる。
レアは壁際で体育座りをして、ブツブツと独り言を言っていた。
「僕なんて……始めっから捨てられてたのに……生きててゴメンナサイ! あぁ~僕はこのままゴミ虫になればいいのに!」
「にゃ〜〜〜!? レアが超ネガティブになってるにゃ〜〜〜!!!」
ミーニャが慌ててレアに駆け寄る。
「レ、レア! しっかりするにゃ! 飲み過ぎにゃ!」
「アリエル! こっち来て手伝うにゃ!」
ミーニャが振り返ると――
「てめぇ〜! 早く酒持って来いって言ってんだろ! 糸で絡め取ってバラすぞこらぁ〜!」
アリエルが店の壁に向かって《スレッド・リーパー》でドンドン叩いている。
「にゃ〜〜〜!? こっちもダメにゃ〜〜〜!!!」
バーサーカーアリエルが店の壁をどつきまわしているにゃ〜〜〜!
ミーニャの絶望的な叫びが、酒場に響き渡った。
数時間後――
「はぁ……はぁ……やっと落ち着いたにゃ……」
ミーニャは疲れ果てた表情で、アリエルを抱きかかえていた。
セイレーンのカードを使って、何とかバーサーカー状態のアリエルを眠らせることに成功したのだ。
「すぅ……すぅ……」
アリエルは穏やかな寝息を立てている。
「レアも……大変だったにゃ……」
もう片方の肩には、ネガティブモードで動けなくなったレアを担いでいる。
「僕は……ゴミ虫……ゴミ虫なんだ……」
「もういいから黙ってるにゃ……」
ミーニャが《肉体強化》を使いながら、二人を担いで夜道を歩く。
「お祝いのつもりが……なんでこんなことになったにゃ……」
「次から……お酒は控えるにゃ……絶対ににゃ……」
満月が、疲れ果てた猫獣人の姿を静かに照らしていた。




