《各々の旅立ち》
ブラックオークの討伐を終えた3日後に僕たちはギルドの二階、酒場兼休憩所で次の目標――年に一度のギルド昇格試験に向けて、各々が旅立つことを決意した。
「じゃあ、私はロッキー山脈に行くにゃ! モンキーロックモンスターの群れと戦って、もっと強くなるにゃ!」
ミーニャは《ツインヘリックス》を肩に担ぎ、尻尾を大きく振りながら意気込んだ。
山岳地帯での修行――俊敏さと跳躍力を活かすには最適な場所だ。
「モンキーロックモンスターって、かなり素早いんだよね。気をつけてね、ミーニャ」
「任せるにゃ!」
「わ、私は……ラスティアの海岸にある洞窟で、一人でどこまでやれるか……チャレンジしてみます」
アリエルがもじもじしながら《スレッド・リーパー》を握りしめる。
「一人で? 大丈夫?」
「は、はい……。いつもレアやミーニャに頼ってばかりで……。だから、試験までの間、何度も挑戦して……自分の力を試したいんです」
その瞳には、静かだけど確かな決意が宿っていた。
「そっか。じゃあ、無理だけはしないでね。アリエルは僕たちの大切な仲間なんだから」
「……はい。ありがとうございます、レア」
アリエルの頬がほんのり赤く染まる。
「で、レアはどうするにゃ?」
ミーニャが首を傾げて尋ねてくる。
僕は「零」を見つめながら、静かに答えた。
「僕は……王家の墓場、またの名を古代の図書館に行こうと思ってる」
「え!? あそこって、リッチが出るって噂の……」
アリエルが驚いて目を丸くする。
「そう。リッチのスキル《傀儡》――あれは優秀だからね。カードに出来ればいいなって思ってるんだ」
僕は腰のポーチに入れたカードケースを軽く叩く。
「り、リッチって……死霊術師の最上位種にゃ!? レア、本気にゃ!?」
ミーニャが尻尾を逆立てて驚く。
「本気だよ。《認知加速》と《ゼロブラスター》を磨くだけじゃなくて、新しいカードも欲しいからね。《傀儡》が手に入れば、戦いの幅がもっと広がるはずだ」
「で、でも……リッチは知能も高いし、死霊を大量に操ってくるって……」
アリエルが心配そうにもじもじする。
ブラックオーク戦で実感したんだ。まだまだ僕は強くなれる。
「じゃあ、試験の日にまた会おうにゃ!」
「そのときは……みんな、もっと強くなってますね」
「うん。そして――全員で昇格試験、合格しようね!」
僕が拳を突き出すと、ミーニャとアリエルも拳を合わせた。
「おーにゃ!」
「が、頑張りましょう……!」
三つの拳が重なり合い――
そして、僕たちはそれぞれの修行の場へと旅立った。
次に会うとき、僕たちはどれだけ成長しているだろう。
その期待を胸に、僕は雷を纏い、風を切って走り出した。




