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<神に見つめる人>  作者: 空白
『死』への恐怖
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運命の変化の夜

私の名前はセルト・レクイテイナ。魔剣士であり、セシリア王国の貴族でもあります。


けれど……私は半生分の記憶を失ってしまったのです。父に尋ねて初めて知りました。


「お前はな……幼い頃、ある災難に巻き込まれてな。その時に頭を強打して昏睡し、記憶を失ったんだよ」


父がその時に見せた表情は、まるで真実そのもののようで、嘘偽りの影もありませんでした。


その後、家族の期待に応え、私は文武両道を極めるよう努めてきました。


ですが……普通の人のように、毎日外で遊んだり、日常のささやかな幸せを味わったりする生活を心から望んでいました。


それなのに、私は肉体も精神も束縛されているような気がしてならなかったのです。


それでも時折、家族の目を盗んで外へ飛び出すことがありました。


もちろん、毎回すぐに捕まって連れ戻されてしまうのですが、そのわずかな自由が私には何よりの息抜きでした。


「よし、休憩は30分だ。その後はまた稽古に戻るぞ」


剣術の師匠がそう言い残して場を離れるのを見計らい、私は背中の剣を担いで、いつものように場を飛び出しました。


さて、今回はどれくらいの時間で見つかるのでしょうか……。


事前に下調べをしていた私は、迷うことなくまっすぐ森の外へと向かいました。この森の地形や出現する魔物については、すでに熟知していました。


今日は、魔物討伐の感覚を確かめたくてたまらなかったのです。


しかし、森の中を数十周も回った後、私は気づきました。この広大な森で魔物を見つけることなど、まるで砂漠で一粒の砂金を探すようなものだと……。


「失策だったか……帰ろう」


そう思い、帰り道を探し始めたその時、遠くから草が揺れる音が聞こえました。最初は小動物だろうと無視しようとしたのですが、次の瞬間、低い狼のうなり声が耳をつんざきました。


「この辺りに狼がいるはずないんだけど……おかしいな……」


音のする方へ慎重に近づくと、そこには若い男性が二匹の狼に襲われている光景がありました。


「ファイヤ…いや!ウインドウアロー!」


反射的に風属性の魔法で矢を作り、一匹の狼の眉間に放ちました。

狼が倒れるのを見届けると、剣を握りしめ、構えを整えながら残る一匹に向かって突進しました。


「大丈夫ですか?意識はありますか?」


戦闘が終わり、私は倒れている彼に駆け寄りました。しかし、彼は血を流しすぎて意識を失っている様子でした。


私は慌てて彼を安全な場所に運び、治癒魔法(ヒール)をかけ始めました。


しばらくすると、彼の瞳がゆっくりと開きました。その瞬間、私はほっとして微笑みました。


「大丈夫?聞こえる?」


そう言いながら彼を力強く揺さぶりましたが、彼はか細い声で腰のあたりを指さしながら言いました。


「…水を…」


「どうしてこんなところに一人でいたの?治癒ができなければ、きっと死んでたわ」


そう言いながら水筒を差し出すと、彼は喉を潤すように何度も口に運びました。飲み終えた彼を見て、私は少し安心しました。


ですが、この王国の周辺で見かけるはずのない生物が現れたことについて、彼から事情を聞く必要がありました。


「なるほどね。私はレクイテイナ。この件は私が調査するわ」


「浅羽……?」


突然、彼の口から聞き覚えのない名前が漏れました。ですが、その名前には妙な既視感がありました。会ったことがないはずなのに、心の奥底で強く響くような気がしたのです。


「浅羽?誰?私の名前はセルト・レクイテイナ。魔剣士よ」


彼の言葉に疑問を抱きながらも、彼の反応を待つと、彼は静かに息を吐き、名乗り始めました。


「カロスト・ダニスと言います。よろしく」


「うん。もう夕方だし、今日はここで休んで、明日出発しよう」


見上げた夜空には、いつも見慣れた星が輝いていました。けれど、なぜかその星々がまるで別の世界のもののように感じられました。


「クリエート・ファイア」


焚き火を起こし、私はカロストの正面に座りました。


「ねえ、カロスト。神様って信じる?」


「私は神様がいるって信じてる。でも、すごく近くにいるのに、触れることはできない気がするんだ」


「神はきっと存在するさ。もしかすると、今も俺たちを見守っているかもな」


彼の言葉に思わず笑ってしまいました。


「そんなことあるわけないでしょ。でも、私も神様になってみたいな~」


そう言いながら胸元の護符をぎゅっと握りしめ、心の中で祈りました。

「偉大なエデタよ、私にいつか以前の記憶を思い出せるように祈ります……」


「遅いから、そろそろ休もう。夜中になったら私が起こしてあげるから」


そう言うと、カロストはすぐに眠りについてしまいました。

彼の寝顔を見つめながら、私は胸に浮かんだ感覚に戸惑いました。彼とはどこかで会ったことがあるような気がする……。

けれど、それは同時に途方もなく遠い存在のようにも感じられました。

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