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<神に見つめる人>  作者: 空白
神様よる加護を
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異世界での冒険の幕開け

転生者でありながら才能に恵まれず、冒険者としても最底辺の評価を受けている主人公・陵は、雑務ばかりの依頼に苛立ちながらも、自らの力を証明するために一歩踏み出す。F級冒険者に不釣り合いなスライムの巣穴掃討の依頼に挑むことを決意するが、周囲からは嘲笑を浴び、孤独と挫折感に苛まれる。


粗末な鎌を手に入れ、依頼人である農夫と出会う中で、彼は少しずつ使命感を覚え始める。老人との会話を通して「できることをやる」という信念を胸に刻み、枯れ果てた稲田と向き合いながら、スライム討伐への準備を進める。これは、彼が自分の弱さを超え、冒険者としての一歩を踏み出す物語の始まりである。

陵はその足をゆっくりと川の上流へ向けて歩いていた。だが、上流へ進むほど、川面に虹色に輝く反射がちらつくのを目にする。


気になった陵がそっと近づき、手で触れてみると、それがスライムの粘液であることに気付いた。粘り気のある液体は一度手に付くと、いくら振っても取れない。


「これじゃあ、数日もすればスライムたちが畑に流れ込むだろうな……。そうなったら、本当におしまいだ……」

老人は無力感に満ちた眼差しでつぶやく。


「残りの道は俺一人で進みます。もしかしたら数日かかるかもしれませんが。」


「そうか。急ぐ必要はないさ。正直なところ、畑がだめになるのは仕方がない。でも、人が死ぬのだけはどうにもならんからな。」


陵はその言葉に小さく頷き、手に持った鎌をしっかりと握り直し、上流へ向かって足早に歩き始めた。そして、しばらくすると、目的地へたどり着く。


目の前には数え切れないほどの淡い青色のスライムたちが川の中に群れをなしていた。その数は増え続け、次々に分裂を繰り返している。


その光景を前に、陵は思わずその場に膝をつき、大きく息を吸い込む。


「はぁ、はぁ……。マジかよ……。この体、ほんと弱すぎるだろ……」

しかし、彼の顔には次第に笑みが浮かび始める。


「……だけどさ。」


陵はスライムたちをじっと見つめ、その目には獲物を狙う狩人のような光が宿る。

「こいつらだけで、俺、どれくらいレベル上がるかな……?」


そう言いながら鎌を高く掲げ、一匹のスライムを目がけて振り下ろした。


鋭い刃は軽々とスライムの身体を両断し、中から小さな魔晶が一つ転がり出る。


「経験値+5」


「なんだ、意外と簡単じゃないか。」

陵は魔晶を拾い上げ、次の獲物に向かおうとする。


しかし、その瞬間、先ほどまで穏やかだったスライムたちが一斉に陵を取り囲み、その身体の色が鮮やかな赤に変わる。


「おいおい……これ、ヤバくないか?」

陵が後退しようと振り返ると、すでに後方にもスライムが押し寄せている。


「宿主に説明します。スライムは群居性の魔物で、報復心が非常に強いです。群れの中の個体が傷つけられると、他の個体は警戒モードであるオレンジ色になり、死ぬと攻撃モードである赤色に変わります。」


「なるほど……」

陵は額に汗を浮かべながら、冷静を装って周囲のスライムを見回す。


「さらに、攻撃モードでは表面に特殊な繊維が形成され、物理的な攻撃を吸収する特性を持つようになります。」


「ちょっと待て! それ先に言えよ!」

陵が叫んだその瞬間、背後のスライムが粘液を噴射。まともにそれを受けた陵は、体を震わせながら叫ぶ。


「うわっ! なんだこれ! 気持ち悪っ!」

驚いて自分の体を見下ろすと、服がじわじわと溶けていくのが見えた。


「……これ、本当に俺が知ってるスライムか? かわいらしいマスコットみたいなやつじゃなかったのかよ……」


陵は深く息をつき、目の前の敵を睨みつける。


「もういい……来い!」


彼は鎌を力強く振り上げ、渾身の一撃でスライムを貫いた。しかし、一撃で倒れないことを悟ると、鎌の上から自分の足で思い切り押し込む。その瞬間、スライムは爆裂し、周囲のスライムが吹き飛ばされる。


陵はチャンスを見逃さず、魔晶を拾いながら包囲網を突破。その頃には服がボロボロになり、全身が擦り傷だらけだった。


彼は大樹に寄りかかり、捕獲した魔晶を二つ取り出し、迷うことなく口に入れる。噛み砕いた瞬間、鼻を突く臭いと苦味に顔をしかめる。


「うっ……何だこれ、生の魚より臭いじゃねぇか……!」


だが、次の瞬間、彼の体を虹色の膜が包み、力がみなぎるのを感じた。


「……まあ、悪くないな。」


陵は両手をぎゅっと握りしめ、口の中に広がる血のような鉄臭さに顔をしかめつつも、これは正しい選択だと自分に言い聞かせた。


「……っくそ! これが魔力なのか、正規な方法なのかなんてわからないけど……!」


しばらく息を整えた後、陵は息を吐きながら拳を振り上げ、強い意志を込めて叫んだ。

「でも……これなら、俺にもやれる気がする!」


その言葉とともに、陵はスライムの群れへと向かって突進した。


彼の意識に呼応するように、見えない膜のようなものが鎌にまとわりつき、薄紫の光を放つ。


彼はそのまま横に大きく振り払うと、スライムの群れは一撃で跡形もなく砕け散った。


その瞬間、脳内に鈴の音が響き渡り、メッセージが浮かび上がる。

《スキルを習得:魔力付与Lv.1》


陵は一瞬驚き、鎌を見つめた後、にやりと笑みを浮かべた。

「……へぇ、本当に魔力だったんだな。」


彼は鼻先を軽くこすりながら、スライムたちの方へゆっくりと歩み寄る。


その光景は、まるで死神が降臨したかのような威圧感を放っていた。スライムたちは、彼に恐怖を感じたのか、体が紫色に変色していく。


「お前たちの色なんか、どうでもいい!」

「俺の成長の糧になってもらうだけだ!」


陵の叫びとともに、さらなる戦いが繰り広げられる。鎌を振り、スライムたちを次々と屠るその姿は、戦士というよりも一匹の獣のようだった。


――長い戦闘の末、彼はとうとう力尽き、月明かりの下でその場に倒れ込んだ。周囲を見渡しても、そこにはスライムの影一つ残っていない。


静寂に包まれる中、空中にステータス画面が表示される。


「現在のレベル:6」


陵は鉄の鎌に体を預けながら、ゆっくりと立ち上がった。ふらつく足で背負っているバッグを開け、中に溜め込まれた魔晶石を確認する。


「……百以上か。」


そのうちの三つを手に取り、無造作に口の中へ放り込む。ボリボリと咀嚼する音が響き、彼は眉間にシワを寄せた。


「……やっぱりまずいな。」

しかし、吐き出すことなく飲み込むと、彼は空中に手をかざして声を上げた。


「鈴、ステータスを開け。」


画面が光り、ステータス情報が浮かび上がる。


——————————————————————————

攻撃力:23(F)

物理耐性:17(F-)

魔法耐性:8(F-)

知識:32(F)

速度:11(F-)

耐久力:15(F-)


自由割り振りポイント:10

——————————————————————————


陵はその画面をじっと見つめ、ため息をつく。

「……何だよこれ。『知識』って何だよ。それに、このランク分けは一体どうなってるんだ。」


すると、頭の中で鈴の声が響く。


「『知識』は自然魔法の成功率や高位魔法の学習速度に関係します。他のステータス同様、レベルアップや日常的な訓練によっても成長します。」


「ステータスは基本的に『減』『通常』『加』の三段階に分けられますが、数値の違いは個人の体感にも影響を及ぼします。」


「次いで、ステータスの基準値が表示される。」

——————————————————————————

【ステータスランク参考値】

Fランク:0~60

Eランク:60~150

Dランク:150~270

Cランク:270~420

Bランク:420~600

Aランク:600~900

Sランク:900~1230

2Sランク:1230~2130

3Sランク:2130以上

——————————————————————————


鈴は言葉を続ける。

「ちなみに、普通の人間がBランクを目指すのは非現実的と言われています。」


「じゃあ3Sのランクまでなんで決めるなよ!」


画面をじっと見つめた陵は、現実を受け入れるのが嫌になり、片手で目を覆った。

「……こんなステータス、見たくない。」


だが、彼はすぐに顔を上げ、決意を固める。

「……まあ、いいさ。全部攻撃に振る。」


そう言うと、彼は自由ポイントをすべて攻撃力に割り振った。すると、全身に温かくも荒々しい力が駆け巡る感覚が広がった。


「……よし。これでいい。」

全身の力を確かめながら、彼は鎌を肩に担ぎ、闇に沈む道を再び歩き始めた。

「……さて、行こうか。」


夜も更けたころ、陵は老人の家の前にたどり着き、控えめにドアをノックした。


「討伐、終わったよ。」

疲れきった声でそう伝えると、中から老人がゆっくりと姿を現した。


「おぉ、本当に終わらせたのか。やるじゃないか。」

「まあね。ただ、途中でかなり危ない目にもあったけどね。」


陵は苦笑いしながら背中の鎌を見せる。鎌にはスライムの粘液がこびりついており、所々錆びているように見えた。


「そうか。それでも無事に戻ってきたんだ。立派なもんだよ。」

老人は自分の持っていた依頼書に素早くサインをし、それを陵に手渡した。


「いいの? 確認しなくて。」

「お前の目を見ればわかる。正直者の目だ。それに……」

老人は言葉を一瞬飲み込み、意味深な笑みを浮かべる。

「もし歯を磨きたければ、うちの道具を使っていいぞ。」


その一言に、陵は自分が魔晶を噛み砕いた後、口の中を一度も洗っていないことを思い出す。彼は顔を赤らめながら、老人の家に入って歯を磨き、礼を言って再び夜の道へ戻った。


協会の建物に戻ると、あの独特な煙草や酒、そして肉の臭いが鼻をつく。陵は顔をしかめながら扉を押し開け、中へ足を踏み入れる。


「なんでいつ来てもこの臭いなんだよ……。少しは換気とかしないのか?」


そんなぼやきを呟きながら受付へ向かおうとすると、またしてもあの筋骨隆々の男が目の前に立ちはだかった。


「おい、もう戻ってきたのかよ? どうせスライムにやられて泣いて逃げてきたんだろ? ハハハ!」


その言葉に、陵の疲労が一気に怒りへと変わる。


「……どけ。」


低く冷たい声でそう言い放つ陵に、男は面白そうに目を細める。


「なんだ、その態度は。さっきは威勢よく俺にどけって言ってただろ? 今は情けない姿だなぁ。」


男は陵の額を指で突き、さらに挑発する。陵はその手を払いのけると、空間から鎌を取り出し、男の首元にそれを押し当てた。


「……俺は疲れてるんだ。余計なことを言わせるな。」


その瞬間、男は息を飲み、冷や汗を流しながら後ずさりする。


「くっ……いつの間にそんなところから出したんだ……!」


陵は何も答えず、受付に向かって歩き出した。


受付嬢に依頼書とスライムの魔晶を差し出すと、彼女は丁寧に受け取り、内容を確認する。


「討伐報酬が20テル。そして、スライムの魔晶は5つで1テルですね。合計24テルになります。」


陵は受け取った報酬をポケットに入れたが、まだ手元には3つの魔晶を残していた。それらを慎重に空間にしまい込み、受付を後にする。


外に出ると、彼は大通りを避け、暗い路地へと足を踏み入れた。そして、残りの硬いパンを取り出し、それを静かにかじり始める。


「……54テル。これ、日本円にしたら1万ちょっとか。こんなんでどうやって暮らせってんだ……」


彼がため息をついたその時、不意に声がかかる。


「ねえ、ここで一人で何してるの?」


「雪⁈」


その声に顔を上げると、そこにはセルトが立っていた。彼女はまっすぐに陵を見つめ、その手を差し伸べる。まるで、あの日と同じように。


「気のせいか…」

「セルト……どうしてここに?」


「……あの時は本当にごめんなさい。あの狼は、運搬中にゴブリンに襲われて放たれてしまったんです。完全に私たちのミスでした。」


彼女は申し訳なさそうに、深々と頭を下げる。その姿に、陵は慌てて彼女を起こした。


「いやいや、別に気にしてないって。俺は怪我してないし、むしろ大丈夫なのはそっちの方だろ?」


「私はもう大丈夫です。でも……あなた、本当に住む場所がないんですか?」


「……言い方がストレートすぎるだろ!」


セルトの言葉に、陵は思わず肩を震わせる。その後、彼は怒りを隠せないままセルトの肩に両手を置き、徐々に力を込めていく。


「貴族だからって、調子に乗るなよ……!」


「ひぃっ! ごめんなさい! ごめんなさい!!」

セルトは必死に謝罪するが、陵の手はなかなか離れない。


「……俺の心をどうやって償う気だ?」


「そ、それなら……屋敷にある使用人用の部屋を使ってもいいですよ……!」


「危うく命を落としかけた俺に、それかよ……!」


「そ、それなら……」

セルトの顔が真っ赤になり、声がかすれる。そして、震えながらこう続けた。


「……一緒に、私の部屋で寝ますか?」


「…………」

陵はしばらく沈黙した後、冷静に答えた。


「……いや、俺は使用人部屋でいい。」


「ええええ?! そんなに私に魅力がないのですか?!」

セルトは自分の胸を押さえたり、腰を触ったりしながら小声でぼやく。


「いや、単純にそういうのは男女の一線を越えない方がいいってだけだ。」

「……そうですか。」


こうして陵はセルトの屋敷へと連れられ、彼女の家族の許しを得て、しばらくの間滞在することになった。


広々とした部屋に通された陵は、改めて貴族の暮らしぶりに感心しながらも、疲れた体をベッドに投げ出した。

目を閉じると、すぐに眠りに落ちていく。


こうして、彼の異世界生活は本格的に幕を開けたのだった──。


はーいこれで一章目が終わりでーす(パチパチ)

(土下座)すみませんてした何回も編集しで、てきればもう一回一から読んてもいいですか?

あと、もし「誤字」「なんだこの読み方!」とかあったら、ぜひ!言っでください!お願いします!

次章はできれば来週で2-1を書きたいと思ってる、興味あれば読んでください!!!!!!!!

お願いします!!!!!!!!!!!!!!!!


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