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ミライマニア  作者: かずぺあ
8/12

スクウミライヤキュウミライ

ある程度の荷物をまとめ、必要性最低限の着替えなどを鞄に詰め込む。

あとは、住む場所が解り次第荷物を持っていくか。


時間を確認すると10時を少し過ぎたぐらいだった。昼には学校に到着できそうだ。そうたに連絡して、一緒に学食でも食べるかと思いスマホを手に取る。



「昼には学校に着くと思うけど、学食で食うか?」



授業中だと思われるがすぐに返事がくる。



「 おけ 」



ちなみに俺が一週間学校を休んだり、今日の様に昼からの登校だったりと、かなり自由にしているがこれは俺が特別指定強化スポーツクラスだからである。


文武両道をモットーにしている学校だが、それは個人がという訳ではなく、あくまで学校全体としてである。


特に俺のクラスである通称特スポの連中は各競技においてのスペシャリストの集まりで、部活動での結果だけを求められている。


普段の授業はほんの少しの単位を取れればそれでいいのだ。その為午前中は大体のクラスメイトは各々が学校内外の施設などでトレーニングをしていたり、ときには体のケアをしていたりと、それぞれの競技に必要なことに時間を使っているのだ。


そういうことなので、俺は現段階では普通の高校生よりもかなり自由な自己プローデュースができる環境なのだが。


その立場ももうすぐ終わってしまうな。俺のように怪我やなんらかの理由で部活動ができなくなると2つの選択することになる。学校を辞めるか、普通科クラスに転入するかだ。大体は学校を去るやつが多いと聞いている。もともとのプライドもありなかなか普通科クラスに馴染めないというのが大半だろう。


特別進学クラスもありそっちへの転入ならまだしも、なかなかそのクラスに入るのは難しい。ほんとの文武両道の完璧超人なら話は別なのだろうが。


俺も普通科クラスになるんだなと思うと、やはり少しプライドが邪魔をしている感じはあった。

そんななかで普通科クラスにいるそうたの存在は俺にとって大きなものだった。


ただ、勘違いして欲しくないのだが、普通科クラスのそうたを見下しているわけではない。

むしろそうたは俺の状況の先輩といえばいいのだろうか。


俺とそうたは小、中学校は違ったが同じ少年野球チームでの出会いが始まりだった。当時の俺は体が小さく引っ込み思案だった為、野球好きだった父親の影響もあり少年野球の見学に行ったのだ。その同じ日に見学に来ていたのがそうただった。

そうたは今では小柄な部類にはいるが、当時は同学年の誰よりも縦にも横にもでかく、少年野球の監督から体格を誉められていた。


そんな見た目から当時の俺は少し威圧感を覚えていた。しかし、話してみると話しやすく自然と二人で野球チームに入ることになった。


そうたはその見た目からキャッチャーをやることになり、俺は自然とピッチャーになっていた。

そうたは野球のことになると頭の回転が早く、俺もそうたから色々教わり、俺たちのバッテリーでどんどんチームを勝たせるようになっていった。


中学校にあがると名門のシニアリーグへと二人ではいり、そこでも結果をだし続け二人で全日本にも選ばれたのだ。

その頃には俺とそうたの身長は逆転していたが、野球の評価はそうたのほうが高かった。


そして二人ともこの高校からのスカウト受けるのである。俺はもちろんそうたと二人ならだれにも負けないと思っていたし、甲子園にも二人なら間違いなくいけると思っていた。


そんな矢先そうたから話があるといわれ、俺はそうたの家に行ったのだ。

そうたの部屋に入るとすぐにそうたは口を開いた。



「なつおは推薦の話受けるのか?」



「俺は受けようと思ってるけど、、そうたは受けないのか?」



「俺は一般で受けようと思う」



「 はっ?なんで?推薦の破格の条件なの聞いてなかったのか?待遇や環境も文句ないだろ 」



「確かに野球をやるには最高だと思うけど、、、」



これまでどんなピンチの場面でも暗い顔を一切見せずに俺を励ましてくれたそうただったが、このとき初めて曇った表情を見せた。



「けど?、、、」



そういいながらも俺は少しこの先の展開を予想していた。



「俺は高校では野球をやらない」



ほんの少しだけよぎった不安が的中した。



「はっ?なんで?、、どっか悪いのか?、、、」



そういいながら最近ほんの少し、そうたがどこか上の空だったような気がしていたことが頭をよぎった。



「なつおごめん、俺はもう一緒にはできない」



青春ドラマのように引き留め、この話が涙のエピソードになり、甲子園でハッピーエンドを向かえるのはきっと俺にとって都合の良いことなんだろう。


現実の俺はそうたの真剣な表情と振り絞ったような声の前に、ただその言葉を受け入れるしかないと思った。



「そうか、、、」



俺にはこれぐらいの言葉しかでなかった。



「野球はできなくても俺も同じ高校を受けるから受かったらこれからも友達としてよろしくな」



ぱっと明るい表情でそう言ってくれたそうただったが、、



「あぁ、、、そうだな」



そう答えた俺は真逆の顔で視線を落とした。



そうたとはそれ以上俺から野球の話をすることは無かった。それからのそうたは、いつもの明るいそうたで俺に野球の話もするし、それ以外の話も普通にしてくれて野球に対する未練さなどは一切出さなかった。



そういえばどっかの漫画にあったな。実は選手生命の怪我なんかしてなくて、野球同好会からうんたらかんたらみたいな。



そんなことを考えながら学校へと向かっていた。



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