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  作者: 藤武しぐれ
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探偵の真似事

久しぶりに書きましたので色々あると思いますが、ご指摘頂ければ嬉しいです。

今日は雨が降っている。

教室の窓から見える空は黒く、雨粒は窓に当たりまるで木の枝のように分かれながら流れていく。


そんな景色をぼんやりと眺めている。


机の上に目を落とせば、一枚の紙切れがありそこには「進路希望調査」と書かれていた。


私は自分がどうしたいのか分からない。

他のみんなの前には、それこそ木の枝のように道が広がっているように見えるのに、私の足元だけが底の見えない崖のようになっている。

いや、何故かは分かっているのだ。


私は私を諦めている。


これまで生きてきた惰性に任せて、これからも生きていくのだろう。

流されて流されて、最後には雨粒のようにぶつかって消える。

そんな風に私は私を諦めていた。






帰りの時間になっても昼間と変わらず雨は降り続けていた。

くるくると傘を回せば飛び散る雨粒が面白い。

高校生にもなって我ながら子供じみていると感じるが、面白いものは面白い。


曇天は昼間より陰りを増して、より黒々としている。まるで私のこれからの人生を祝うかのように。


多くの場合、それは憧れであったり、或いは拙い打算によって決める人が多いのだと思う。

かく言う私もその1人だ。まあ、後者なのだが。


この高校に通うことを決めたのも歩いて行ける距離にあったから、ただそれだけだ。

では、それを基準に進路とやらを決めてみるのも一興であろうか?


…あぁ、面倒だ。今日はもうやめよう。


帰りに、近くのチェーンのコーヒーショップで適当に本でも読みながら時間を潰して帰ろう。

時間を浪費するのは学生に許された特権なのだから。


そうと決まれば善は急げだ。

コーヒーショップに向かおうした時、


「また面白い顔してるな」


嫌な声がする。

となれば、


「おい、無視するなって」

「生憎、私の知り合いに出会い頭から女性にふざけた言葉を投げつける人はおりません。」


触らぬ神になんとやら、だ。


「…俺に付き合えばコーヒー一杯奢るぞ?」

「…」


面倒くさいのは、目に見えてはいる。いるが、


「新作でもいいぞ?バイト代入ったばかりだし」

「…それだけか?」


強請ればもっといけそうだ。


「……ケーキ1つ」

「2つならいいぞ」

「…お前また太るぞ」

「死にたいのか?」

「…ノーサンキュー。分かった分かった。その代わり付き合え」


仕方あるまい。ここは買収されてやろう。

なにしろ、有意義だろうが無意味だろうが時間を浪費するのは学生の特権なのだから。


「それで?なんの用だ?」

「言い方…まあ、いい。依頼だ」

「またか?」


「ああ、まただ。今度は、美術室を荒らす不届き者を見つけてくれ、遥」

ありがとうございました。

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