君が僕の事を好きなのは知ってるよ。
“君が僕の事を好きなのは知ってるよ”
突然! 知らない男性から私はこう言われた。
見覚えのない、その男性は私が彼の事を好きだと思い
込んでいるようだった。
私は、ずっとその間考えていた。
この男性と何処で会ったのか?
でも? さっぱり思い出せない!
しかも!? この男性は私が彼を好きだと言う。
どこをどうやったら? 私がこの男性を好きになるのか?
見た目も、色白で身長は160㎝ぐらいの小太りの男。
眼鏡がマスクを付けているのもあって曇っている。
顔は汗でテカテカしており、私のタイプには程遠い男。
まだ、夏でもないのにT-シャツに短パンですね毛がモジャモジャ
と生えており、足元はボロボロのサンダルを履いていた。
私が、彼にこう言うと? 彼はこう答えた。
『・・・あ、あのう? 何処かでお会いした事がありましたっけ?』
『えぇ!? ボクの事、憶えてないの?』
『い、いや? 実は、全く見覚えがありません。』
『ほら? 君がよく来るスーパーの店員だよ!』
『えぇ!? スーパーの店員さんですか?』
『そうそう! 以前、君が探してた食品の場所をボクに聞いてきて
ボクが君に教えてあげたじゃないか!』
『・・・えぇ!? それだけですか?』
『そうだよ! あの時の君のボクを見る目が“好きだ”と訴えかけ
てきただろう! もう、忘れたのかい?』
『・・・い、今? 何て言いました?』
『だから、君がボクを好きになった瞬間の話だよ。』
『今、貴方が言ってる事が意味不明過ぎて分かりません! 私は単純
に食品の場所を聞いただけですよね!』
『いや? それは違うよ! あの時の君の目は、ハートの目だった!
まだ、君はボクを好きになった自覚がないだけなんだよ!』
『もし? このまま、この話をまだ続けるなら? 直ぐに“警察”を
呼びますよ!』
『あぁいいさ! ボクは、構わないよ! 君が困るだけじゃないのか!』
『はぁ!?』
『“恋人同士のケンカ”として扱われるだけだよ。』
『貴方! 何を言ってるのよ! いい加減にしてよ!』
『まあ、いいよ! また会いに来るから。』
『・・・・・・』
・・・私は、何が起きたのか? 冷静に考えることにした。
あの男は? どうやら、私がよく行くスーパーの店員だった。
でも? あの男を見たのは、あれが最初だったはず。
それ以外で、見た覚えもないし。
私の記憶には全く残っていない!
しかも? 私がいつも買う食品が品切れで男性店員に聞いた
事は、私も覚えていたが。
まさか!? あの男だとは思いもしなかった。
それに、完全に私の記憶から消えていた記憶。
あの男が、私の前に現れた事でまた思い出す事になってしまう。
*
私はあれから、あのスーパーに行く事をやめた。
もう、あの男と会いたくなかったからだ。
それに、家の近くには違うスーパーもあった。
スーパーを変えれば、もうあの男と会わなくて済むと私は思っていた。
でも? まさか!? 違うスーパーにした途端に、、、。
また、店員としてあの男と私は会う事になる。
『・・・な、なんで?』
『君が考えそうな事だと思ってね!』
『えぇ!?』
『ひょっとしたら? スーパーを変えるんじゃないかと思ったんだよ。』
『それなら、どうして、』
『また、君と会うと言っただろう。』
『・・・・・・』
『君が僕の事を好きなのは知ってるよ』
・・・私は、恐怖に包まれた。
私はこの瞬間、この男からもう逃げられないと悟ったのだ。
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