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【更新休止中】戦略魔法師、学校に行く  作者: 小宮 現世 (こみや ありせ)
第1章 戦略魔法師、受験に行く
8/20

第7話

午前中ラストの更新です。残りは午後に。

プロローグを投稿してから9時間程度しか経っていませんが、既に500PV、ブックマーク6件とありがたい限りでございます。

 試験官のモーリスは、アキラから受け取った試験の回答を見て戦々恐々としていた。

 

 (一つもミスがない…。今の一年生でもミスなく解答できる生徒が何人いるか。いたとしても、この速度では無理だろう)

 

 試験開始から2時間で、アキラは既に最後の科目に取り組んでいた。

 たったの2時間で、数学、科学、地理、帝国史、世界史、基礎魔法理論、魔法工学を全て回答し、現在は応用魔法理論の解答をしている。

 

 (本当に18歳か?!応用魔法理論をこの速度で解ける受験生なんて見たことないぞ!)

 

 モーリスがそんなことを考えている間にアキラは解答を終え、見直しまで終わらせたようだ。

 

 「モーリス教諭。応用魔法理論の解答が終わりました」

 「そ、そうですか。さすがに早いですね。ではこれで筆記試験は終わりです。このまま面接を行います」

 「わかりました」

 

 筆記試験が終わり、そのまま面接も行うようだったので居住まいを正す。

 

 「では面接を始めます。面接と言っても、人柄を見るためのものですから合否に大きな影響はありません。ですから変に取り繕ったり嘘を言ったりせず、素直に回答してください」

 「わかりました」

 「では、一つ目の質問です。当校を受験した動機をお聞かせください」

 

 この質問にアキラは迷った。アキラがこの学校を受験した動機の90%は皇帝陛下が原因だ。それをそのまま素直に言うのは憚られるが、モーリスは素直に回答しろと言っている。

 何も言わず考え込むアキラを不審に思ったのか、モーリスが心配してくる。

 

 「あの、アキラ君、どこか体調がすぐれないなどあったら言ってくださいね。本日中であれば、体調が回復してからでも構いませんので…」

 

 とても不安そうな表情でアキラに問いかけるモーリスに、これ以上心配をかけるのも悪いと思ったアキラはモーリスへと向き直る。

 

 「ご心配おかけしました。問題はありません。動機でしたね。素直に回答しろとのことでしたので、ありのままをお話ししますが、あまり吹聴なされないようにお願いします」

 

 アキラはそう前置きしたうえで、自分が受験するに至った理由を話し始めた。

 アキラの話を聞いたモーリスは、引きつった笑みを浮かべながら

 

 「それは大変でしたね」

 

 と言うのが限界だった。

 

 (こんな話だれも信じねーよ!というかこんな話が世間に広まったら少佐はともかく俺が終わるッ)

 

 モーリスは自分が試験官であることをひどく後悔したままアキラの面接を進めていくのであった。

 

 「で、では、次の質問です。当校に入学した後のあなたの目標を――」

 

 

 

 「それでは、これで面接を終わります。最後に何かあれば、試験の評価にはなりませんので遠慮なく仰ってください」

 「ではお言葉に甘えて、一つお願いしたいことがあります」

 「何かな?」

 

 アキラのお願いというものに言い知れぬ不安を抱きながら続きを促すモーリス。

 

 「私は実技試験を免除されましたが、他の受験生の実技試験を見てみたいのです。受験生に見せることができないというのであれば、参謀本部付き非常任参謀として要請致します」

 

 思っていたのとは違って、いたってまともなお願いにモーリスはホッと一息つく。

 

 「その程度であれば問題ありません。ですが、午前の実技試験は終了しています。昼食後、午後の実技試験を見に行きましょう」

 「ありがとうございます!」

 「試験開始が13時なので、12時50分にはこちらへお願いします。試験会場は少し距離がありますので」

 「わかりました。ありがとうございました」

 「いえ、試験お疲れさまでした。ではまた午後に」

 

 モーリスが退出した後、アキラは盛大に脱力していた。

 今まで経験したことのない受験というものに、予想以上に緊張していたようだった。

 

 (まぁ、筆記は思ったよりも簡単だったし、面接でも特に問題はなかっただろう。面接のときにモーリス教諭の顔色が若干悪かったのが気になるが…)

 

 アキラは自分が面接で話した内容がモーリスの体調不良に一役買っていることが分かっていないらしかった。今後学校で友達ができるのか甚だ疑問である。

 

 (ま、とりあえず実技試験は見学できるようだし、お昼ご飯でも食べますか!)

 

 なんだかんだでお腹が空いていたアキラは、ゴソゴソとカバンを漁ると、弁当箱を取り出して机に広げた。

 この弁当は、セリナが持たせたもので、セリナの手作り弁当である。

 だが、弁当を広げたアキラに試練が待ち構えていた。

 

 「ゲッ…。アスパラガス…」

 

 そう、アスパラガス。アキラはアスパラガスが苦手であった。正確には茹でたアスパラガスだ。アキラに言わせれば、食感が苦手らしい。

 だがこの弁当はセリナの手作りである。我慢して食え。

 

 (セリナが作ってくれたものだ。さすがに残すわけにもいかないし、我慢して食べるか…)

 

 アキラは自分が子供ではないと思っている節があるが、こういった食べ物の好き嫌いは実に子供らしいところでもある。

 普段の大人びた態度に忘れがちになるが、アキラはまだ18歳になったばかりで、高校生にもなっていない。成人すらしていないため、世間一般的に見ればまだまだ子供である。

 

 

 それはそうと、セリナの手作り弁当とは良い御身分である。許せん。


作者はセリナ推し(聞いてない)


読んでいただきありがとうございます。もしよろしければ、ブックマークや下にある☆☆☆☆☆で評価いただけると励みになります。


感想もお待ちしております。




では。

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