第5話
本日5話目
まだまだ上げます。あと最低5話は上げます。
やる気の塊でございます。
記者会見の後、迎えに来たセリナは、微笑みを浮かべながらおめでとうございますと言った。普段は表情の変わらない彼女が笑顔を見せるのは珍しく、暫く見惚れてしまった。彼女のどうしました?といういつもの無表情で淡々とした声でようやく現実に引き戻されたほどだった。
執務室へ帰ると、すぐにロルダンがすっ飛んできた。文字通り、飛行魔法を無駄に使ってすっ飛んできたのである。
「アキラああああ!良かったなああああ!」
「え、うるさっ!何?!ロルダンさん?せめてノックはしましょうよ…」
「バカヤロー!こんなめでたいことはない!ノックなんてしてる場合か!」
帰ってきて早々、夜に、しかも疲れているにもかかわらず大声で騒ぐロルダンは非常に迷惑であった。普段表情の変わらないセリナが少しムッとした表情になるくらいには迷惑であったようだ。
「ロルダン中佐。もう夜です。近所迷惑です。お静かにお願いします。あとノックはしてください」
普段からは想像もできないような声色で注意を受けたロルダンは少し落ち着いたようで、すまないと小さく謝っていた。
「で、ロルダンさん、一体どうしたんですか?」
「あぁ、いや、学校に行けるみたいだから、昼間に昇進のお祝いをしたばかりだがお祝いをと思ってな」
「そんなに喜ぶことですか?俺は別に今更、学校なんて行かなくても良かったんですけどね」
アキラがそう言うと、ロルダンとセリナは顔を見合わせ、嬉しさと悲しさの入り混じったような表情を浮かべた。その顔には親の心子知らずとでも書いてありそうだ。
少ししてロルダンが再び話し始める。
「アキラ、だったらどうして学校に行こうと思ったんだ?」
「陛下が受験票まで用意してました。国防大臣も問題ないと言ってましたし、陛下が記者会見まで用意してたんです。その状況でロルダンさんが断れるなら、僕は今以上に尊敬しますよ」
「あ、それは無理だわ。ご愁傷様。でもそれだけが理由なのか?」
長年共に過ごしてきた、親代わりとしてのロルダンの勘から出たその問いかけに、アキラは少し考えるような素振りを見せると、恥ずかしそうに顔を背けて外を見ながら小さく、
「学生になってみたいなって少し思いました」
そう答えたのだった。
その答えに二人は顔を見合わせ、今度はとても嬉しそうな表情を浮かべた。
「そうか。人生100年、学生である12年なんてあっという間に過ぎちまう」
そこで一旦言葉を区切ったロルダンは、再び悲しむような表情を浮かべながら続けた。
「アキラは、さらに短いんだ。学校に行ってる間の3年間は、軍のことなんて忘れて、目いっぱい楽しんで来い」
「はい。そうします。でも、非常時には復帰命令が来ますし、軍のことまで忘れるのは軍人としてどうかと思いますけどね」
そう言ったアキラはどこか楽しそうで、それを聞いた二人は少し呆れたような表情を浮かべていた。
数日後、帝立魔法学校から受験案内が届き、「貴殿が魔法を使用すると帝都が消滅する危険性があるため、実技を免除し筆記試験と面接のみを行います。」という通知文を呼んだアキラは目に見えて落ち込み、ロルダンは大笑いしていた。
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では。