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盗賊少年と新たな危機

「これはひょっとしたら死刑ものですよ?」


「お、落ち着けよ、魔法使いの存在を教えてくれたのは戦士の兄さんだぜ……」

「「「あのクソオニス!!」」」


今度はアメトさんまで揃う。倒してなお、引っ掻き回されるハメになるなんて……


「こうしちゃいられない! すぐさま王様へウィッチの村を警備強化するよう言わないと!」


 急いで王宮へと戻る。そこへ、廊下で慌てたように王様が走っていた。


「おう君達! 丁度探していたんじゃ! 至急頼みたいことがーー」


「ま、まさかウィッチの村が“白バラ"に襲われたんじゃ……」

「はれ? どうして知っておるのじゃ?」

「捕らえたロン毛から、その可能性を示唆されて……もう遅かったか!」

「王よ、奴らはイヤドを解放するおつもりです」


「うわマジ……!? まぁそれなら話が早いわい! リック相談役から救援要請が出て、白スーツが多数襲撃と。以降連絡が途絶えた。直ちに行って救出してもらいたい」


「私が出向く! “白バラ"ならば勇者として堂々と成敗してやろうとも!」


真っ先にサフィアが名乗り出る。魔法使い集団の相手、加えてイヤドが参戦したとしたらサフィアが妥当だろう。しかし……


「いや待て、時すでに遅いかもしれん。罠を仕掛けられている可能性すらあるじゃろ」

「し、しかし、私が1番の適任では!?」


「その通り……だからこそ、サフィアがやられたら詰みなんですよ」

「ぐっ……だがっ!!」

「貴女は対イヤドの最終兵器。早計に出向くのは危険です」


「左様。シフとアメトよ、頼めるか?」

「勿論です」

「今回ばかりは、私も渋ってられませんね」


「ダ、ダメだ! 2人なら対抗できるというのか! 危険なのはそっちの方だ!」

「サフィア様、王は救出と言われたのです。まともに戦うのではなく、人命の優先です。それだけなら、我らで充分です」


「そ、そうか……」

サフィアは言葉では受けいれているものの、表情は曇ったままだ。僕らを心配し、またも力を振るえずに悔しいのだろう。


「サフィア、心配しないでください。エメルも連れて行きます。村の人々も治せるし、それなら絶対生きて帰れるでしょう」


「……そうだな、それは名案だ」

少しは納得したようで、表情が和らぐ。彼女も気持ちはわかるが、サフィアを頼りにする時は絶対に来る。


「お、それなら戦力が多い方がいいじゃろ? ルビも連れて行きなさい」

「王!? ルビ姫様にそんな真似……」


「本人はもう行く気満々だったぞい。あっ、いけね、ルビに皆んなを探すよう言って、それっきりじゃった。急いで声かけんと……」


「……うん、それは心強いね」

「シフ君まで……!」

「大丈夫だよアメトさん。ルビは僕らが思うよりずっと強い。きっと良い経験にもなる」


イントゥリーグ王国の時でも、彼女の魔法は役立ったし、オニスですら剣技を認めていた。戦力として申し分ない。


「さて、問題は移動手段じゃな。転移魔法を使える魔法使いは王宮にはおらんし……時間を与えてしまうが、馬を出すか」


「だったら、シフ君が皆んなを担いで走ったほうが早いですよ」

「……アメトさんだって走れるでしょうが」

「無理ですよ。疲れちゃいますし、疲れちゃいます」

「面倒なだけじゃん!?」


「……もしかしたら、奴なら転移魔法を使えるかもしれない」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 転移魔法により、ウィッチ村周辺まで来ていた。直接村には入れないよう結界があり、村の周囲にはモンスターが棲みついた遺跡で囲われている。それが本来なら自然に防衛の役目を果たすが、容易く突破してるだろう。


「ハァ〜、行きたくねぇ〜……」

深く溜め息をつきながらも、転移魔法で運んでくれた元“白バラ"構成員のマイト。ついでに護衛として来てもらうことにした。魔刻印も施してるので、裏切ることもできない。


「立ち入るのは私でも初ですね」

「なんだか神秘的……」


アメトさんとルビが光景を見て、思わず呟く。木々が生茂る中に、白く四角い建物が連なっている。確かに神秘的だ。ちなみにエメルはもう寝ている為、背負っている。


「おいおい無視しないで、誰か相手してくれよ。元同僚と戦えって言うんだぜ!?」

「良かったじゃないですか、これで活躍すれば真っ当に生きられますよ」


「いやそんなことより、めちゃくちゃ気まずいって! なぁ、ここまでいいだろう? そうだ少年、お前さんだって元仲間と戦って心苦しかったろ?」


「いえ全く」

「即答かよ」


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