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盗賊少年と眠気の誘い

「んじゃま、後ヨロシコ。余は来週の王族会議に向けて、色々準備せんとね」

「……ご足労おかけしました」

「いいっていいって、いつも通りで。なんかあったら頼むよ〜」

「お気をつけて」

わざわざ時間を作ってくれて、頼み込んでくれたんだ、絶対にルビと王様は守ろう。それに黒幕がまだいるなら、気を引き締めてかからないとな……


 お風呂から上がって王様と別れ、ルビの部屋へと向かう。意外と長く入っていたため、もう2人ともいるだろう、そう思って扉をノックする。


「おやシフ君、大分長風呂でしたね」

 扉を開けたのはアメトさんだった。そういえば、王様がルビとサフィアが2人きりにならないよう配慮したんだっけ。


「あ、シフ君はいこれ! お風呂上がりだし、コーヒー牛乳!」

駆け寄ってきたルビが渡してきたのは、瓶に入ったコーヒー牛乳だった。


「あぁ、ありがとう、わざわざ用意してくれたんだね」

「お礼ならサフィアに言って、きっと喜ぶだろうからって!」

気が利く親子だなぁと思ったのも束の間、用意したのがサフィアと聞いて、考えが一転する。じっとサフィアに疑いの目を向ける。


少し照れくさそうに顔を背けるサフィア。あの感じだと、何も入ってないようだが……


コーヒー牛乳を嗅ぐ。特にこれといって変わった匂いはしなかった。

「大丈夫ですよ、シフ君。私達も飲んだんですから、薬的なのは入ってないです。そんなに警戒しなくても」

「いや、今まで8回くらいやられたんで」

「そりゃあ警戒しますね」

少量口に入れ、よく味わってから飲み込む。


「……うん、ただの美味しいコーヒー牛乳だ、よかった」

「……え? 本当??」

 まるで予想外のように驚いて、キョトンした声をあげたのはルビだった。まさか、無味無臭の媚薬か睡眠剤が……!


「それ、溶けきるギリギリぐらいの砂糖が入ってて……甘すぎない……?」

「へ?? あ、いや別に、飲みやすいなぁくらいにしか……」

「言ったろう、シフはそれくらいの甘さの方が好みだと」

 したり顔で言うサフィア。味に関しては丁度いいくらいにしか思えなかった。サフィアなりに、気を遣ってくれたのか……


「……シフ君、虫歯にならないよう気をつけてね」

「えぇ、そこまで……?」

「まぁ、食事の前なので、そんなに血糖値をぶち上げる飲み物は程々にした方がいいでしょう。せっかく、姫さまが手料理を振る舞ったので」


「えっ!? ルビって料理できるというか、やるんだね、てっきり王宮専属の料理人がいるとでも……」

「えへへ、いるんだけど結構作ってるんだ。お母さんからいっぱい教わったからね!」

「へぇ〜立派だなぁ〜。どれどれ……」

奥のテーブルに目を向けると、確かに料理が並んでいる。


 魚の活き造りに、大根おろしがのった卵焼き、焼き鳥、明太子茶漬け、きゅうりのお新香、etc……


「わ、わぁ〜、宴会みたいだね〜」

流石は居酒屋女将の娘、全部お酒に合いそうなメニューだ……


「お姫様が作る料理にしては、なかなか渋いな……」

「姫さまの料理には、私は度々お世話になっています。今日はシフ君もサフィア様もいらっしゃいますし、酒盛りしてもいいですかね?」

「ダメですよ、護衛は多い方がいいんですから。じゃあルビ、早速いただきます」

「どうぞ!」


まず最初に、卵焼きから食べてみる。ふわっとした食感に、出汁の味が大根おろしと絶妙に合う……!


「うんっまい!! もうこれで開業できるよ!」

「またまた、そんな大袈裟なぁ!」

「……これはたまらないな、味もさることながら、姫さまが作ったということで自然と本能が掻き立てられる」

「せめて、食欲って言ってくれませんかねぇ? まぁ発言自体がもうアウトですが」


「大丈夫ルビ? お風呂で穢されてない?」

「え、そのお風呂で身体洗ったのに……?」


 そんなたわいのないやりとりをしながら、ルビの手料理を堪能した。お腹が膨れ、お風呂にも入ったからか、少し眠気がする。


「ふぁ……美味しかった、ご馳走さま」

「どういたしまて、なんだか私も眠くなっちゃった。今日はいっぱい遊んだ……からかな……」

 そう言うルビは、もうウトウトし始めてる。それなりの疲労もあるのだろう。


「……よし、私は食後の、デザートとして……シフを少々……」

「寝言は寝てから言って……って寝てるんかい!?」

 本当に寝言を言ってるサフィアは、スースーと寝息をたてている。そしていつのまにか、ルビもサフィアにもたれるよう、眠っていた。


「まるで姉妹ですね」

「でも一応姉的な人は、もう少ししたら喘ぎ声出しますよ」

「うーわっ」


「さて、僕はトイレついでに見回りでもしますかね。眠気覚ましも兼ねて」

「真面目ですねぇ」

「……王様に直接、頭を下げられたので。それに、マサイの件は聞きました。ルビがこのまま、安らかに眠ったままでいられるよう、リスクは防いでおかないと」

「ふふ、頼りにしてますね」


 ルビのことをアメトさんに任せ、僕は部屋を出て用を足しに行く。その後、眠気解消のために王宮内を歩き回る。しかし、解消されるどころか、より眠気は強烈になっていた。


「おっかしいな……そんなにサフィアの相手が疲れたのかな……ふぁあ」

 あくびの涙で視界がかすみ、瞼が閉じる時間が長くなる。


 いっそのこと、少し仮眠とろうか……


そんなことを考え始め、ふらふらと足がおぼつくようになった。



そんななか、視界の端に兵士が倒れている姿を捉え、おもいっきり下唇を噛むことで、意識を保った。

読んでくれた方、ブクマ、レビューしてくれた方、本当にありがとうございます!

久々に更新したら、コメディ5位とかいっててびっくりしました!これからも、精進していきます!

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