盗賊少年1人で魔王討伐
魔王城最上階、重厚な扉を開ける。奥には、巨大な椅子に屈強な男が佇んでいる。
黒髪に薄紫色の肌で、王と言うより、戦士のような勇ましい顔をしている。これが人類を征服しようとした魔王レイキングス。
黒くて禍々しい大剣と鎧を身に纏い、ゆっくりと立ち上がって、口を開く。
「驚いたな……儂に挑むというのに、こんなガキが1人だけというのか」
尋常ならざる覇気とともに、問いをかけてくる。
「えぇ、不服ですか?」
「いや、余程の強者と見た。お主が勇者か」
「いえ、勇者の仲間だった盗賊です」
「え? 勇者は??」
「僕が訴えて捕まりました。セクハラで」
「……何やってんの」
魔王の引き締まった表情が、気が抜けるように緩まっていく。
「いい加減限界だったので」
「そ、そうか……他に仲間はいないのか?
」
「……途中で疲れて家に帰ったり、あなたの幾千もの部下と戦闘にどハマりしていなくなったり、 闇堕ちして討伐したりしました」
「……大変だったんだね」
「えぇ、ですからあなたを倒さなくてはならない。こんな目に遭ってまで、魔王であるあなたを倒せねば、僕は一生笑うことはできない。それに、いい加減倒せと、依頼された王がうるさいので」
「そ、そうか……し、しかし! 例えどんな理由があろうと儂は手を抜かんぞ! 全力で来い!」
「勿論です」
盗賊少年は涙を流して、短剣を構える。
「……何で泣いてるの?」
「冒険の最後の最後で、まともな方に出会えたのに、宿敵であることが非常に残念だからです」
「……お気の毒に……」
ーーそして死闘の末、盗賊少年は魔王を倒した。
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