手帳の一頁
文頭下げが出来ないと指摘されたのでそれをマスターするために書く新作です。
まぁ息抜き程度にお願いします。
暖色系の落ち着いた色の照明、白塗りの壁、対比するような黒塗りのカウンター、6つ程並べられた鈍く光るパイプチェアそしてカウンターの奥に所狭しと並ぶカップやグラスと珈琲豆etc…。
店内には香ばしくも味わいのある独特の香りが漂っている。
「さて、これで準備は終わり、後は〝来るのを〟待つだけかな。」
カウンターの中に佇む者はそう1人つぶやく。
その者の見た目は中肉中背な体つきと大凡凡庸な顔つき、紙は目にかかるくらいまで伸びている。
白いワイシャツと濃紺のエプロンを身につけており場の空気と相まって実に落ち着いた雰囲気を醸し出している。
「ふぅ……最初に言われた時はどうしたもんかと思ったけど、やってみたら何とかなるものだな。」
この空間をセッティングしたのは他ならない彼である。
青年は空間を見渡すと満足げに頷きまた1人呟く。
「それにしても、何でわざわざこんな面倒なことを…。
まぁこれも仕事の一つと考えればやらざるをえないのかな。
特に〝彼の方〟の直々の命令とあっては…。」
青年はそう呟きながらその光景を思い出していた。
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「いやぁ、忙しいのに呼び出してごめんねぇ。
早速だけどこのお仕事追加でお願いねぇ。
あっ、一応見た目とか大事にしたいから喫茶店風な見た目にしてねぇ。
その代わりと言ってはなんだけどこの仕事に関しては君が全部決めていいから実質トップだよぉ。
それじゃぁお願いねー。」
呼び出された私が空間に入るなりその方はそう言って消えてしまった。
いや、あの方も忙しい身なので仕方が無いのだろうがいきなり呼び出され仕事を押し付けられた挙句ろくな説明もなく消えてしまうというのは如何なものだろうか。
しかし言われたからには仕事はしないといけない。
それにあの方は一応の配慮のつもりなのかこの仕事は全て私に指揮権をくれた。
せいぜい無茶の内容にこなすとしよう。
あぁ、この仕事にかこつけて机の書類を他に押し付けるのもありだな、なんせあの方の指示なんだからその位の無茶は許されるべきだろう。
さぁ、さっさと仕事を始めよう。
うかうかしてると〝やって来て〟しまうからな。
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青年はため息をつくとパイプチェアから立ち上がる。
「さて、そろそろ〝来ても〟おかしくない時間だ。
せめて最初の仕事だ、格好くらいは付けなければな。」
そう呟くと青年はカウンターの中に入りグラスを磨き始める
するとどこからとも無く朗らかなベルの音が響く。
青年しか存在しなかった空間に新たなる者が訪れようとしているのだ。
「おや、いらっしゃったようだ。」
青年は新たなる者に対して笑顔を向け、決めておいた言葉を語る。
「ようこそ喫茶〝ヘルメスの手帳〟へ」
どうですかね?
そこそこ落ち着いた感じに出来た気がするんですがw