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11-1 平穏な日

 リベールは報告の為に城へと戻っていた。


 四天ケーニヒの敗北、それを打ち倒したレオの戦いの報告の為に。


「以上が自分からの報告となります」


 リベールの報告が終わり、ストレッジが在りもしない顎らしき部分を撫でる。


「はい、ご報告ありがとうございます。それでは魔王様への報告は私からしておきますので、下がってもらって結構です」


 そうストレッジから命令されるも、リベールは跪いたまま動かない。


「どうかなさいましたか?」


 少し面倒そうな声を掛けられ、リベールが顔を上げた。


「レオ・ロベルトの力、あれは途轍もなく強大な力でした」


「そうでしょうね、仲間の助けがあったとは言えケーニヒ様を倒したのですから」


「ですが自分は……あの力と戦いたい、あの力に勝ちたい!」


「ほう、4度も負けた相手に貴方如きが何を言うのですか?」


 見下しながらも、興味ありげにストレッジが聞く。


「自分は確かにレオ・ロベルトに4度破れました、今再び戦っても負ける事も承知しております、ですがそれでも俺はあの男に勝ちたいのです!」


 拳を握り締めて決意ある目をストレッジへと向けた。


「今ストレッジ様は人間を強化する実験を行っているとと聞いております、それを自分にもお願い致します」


 リベールが頭を下げて頼み込む。それを見てストレッジは考えた。


 いや、これは確かにやり遂げるかもしれない。


「そうですね……良いでしょう、貴方の力を私が強化いたしましょう。あの人間に行っているものとは違いますが、貴方も私の期待に応えてくれる事を願っておりますよ」


「ありがとうございます!」


「但し、その強化が終わった後にレオ・ロベルトと戦えるかは保障は出来ませんが」


「それはどういう?」


 リベールの問にストレッジの眼鏡の奥にある光が細くなる。


「我々はあの今はレオと名乗っている物を放っておくつもりが無い、ただそれだけですよ」



 


「おはよー……」


 寝ぼけ眼を擦りながら寝室から出てリビングへと向かう。時間は10時を過ぎた頃になっていた。


「はい、おはよ」


 リビングには豪華なソファに座ったリーナが俺のマントを作り直してくれている。


「レオとエイミーは?」


「エイミーはまだ起きてないみたいね、レオは外見れば分るんじゃない?あと、そこのサンドイッチは勝手に食べて良いみたいだから適当にね」


 そう言われてソファの前にある机を見ると、美味しそうなサンドイッチが並んでいた。


 その内の二つを手にとって、ベランダまで出て行く。


 ベランダから中庭を見下ろすと、レオや兵士の人たちが模擬戦を行っていた。


 順番待ちで並んでいる兵士達をレオが次々と打ち倒していく。


 それを横でラウロが囃し立てていた。


「あのパーティの後だってのに精が出るなー、俺も後で参加するか」


 式典とパーティが終わった後、俺達は国賓扱いで城の中に泊まっていた。


 まぁレオを無下にする訳には絶対に行かないだろうし、となると俺たちも一緒にと言う訳なのだろうが……


 いやまさか城の中に泊めて貰えるとは思ってもみなかった。


 ベッドの寝心地は良いなんて物ではなかったし、貰った部屋着も着心地が良い。


 普通に置かれてたこのサンドイッチもすげー美味い。


 つい最近までは野宿も行う旅人だったのに、生活が一気にリッチを通り越してロイヤルクラスだ。


 レオのお零れとも言えなくも無いが、役得だと思って折角だから満喫させてもらおう。


 下の戦いを見ながらサンドイッチを食べ終わり、部屋に戻って飲み物を飲んでいると眠そうなエイミーが部屋にやってきた。


「おはようございます……」


 パジャマ姿のままフラフラとソファに向かい、リーナの横にストンと座る。


「なんか眠そうね」


「昨日は遅かったですし、それに寝室のベッドが寝心地良くて……」


「あー確かにあれは寝心地良かったわね。でもだからと言ってこの時間まで寝てるのはちょっとだらしないわよ」


「すみません……ふわぁ……ごめんなさい」


「まぁ良いんだけどね」


 二人が他愛の無い会話を続けていく。


 ケーニヒとの戦いの後、魔王軍はさしたる動きを見せてはいない。


 このまま平穏無事に、何て事にはならないだろうが今の所は平和なものだ。


 これからの予定としては他国にレオを紹介して、あいつを旗頭に魔王軍と戦うって感じになるのだろうか。


 ぼーっと考えながらゆったりとしていると、部屋にノックが響いた。


「失礼します」と一言告げて兵士の方が部屋に入ってくる。


「バルトロ様がお呼びしておりますので、何方か」


「んじゃ、俺行って来るよ」


「はい。行ってらっしゃい」


 兵士の方に付いて城の中を歩いていく。


 バルトロさんは何の用なんだろうか? 


 付いていく先の扉の向こうに大きな机が置いてある会議室へと辿り着いた。


 部屋にはバルトロさんの他にも何やら話し合い中の人達が居る。


「おはようございます。昨日はお疲れ様でした」


「いえ、昨日のパーティは俺も楽しかったです」


「そうですか、それは何よりです。それで話なのですが」


 話そうとしたバルトロを少し横に退けて、黒髪の女性が顔を出しこちらを見た。


「君はあれだ、異世界人よね?」


「はい、そうですが」


 そう答えると女性がニマ~と笑い近付き、俺の顔を両手で挟んだ。


「へー、遠目には見たけどやっぱり普通な感じね、ラウロはもっと変な奴だと言っていたけど」


 顔をむにむにと女性が触っていく。


「アンナ、リョウ殿も困っておりますからその辺で」


 もみくちゃにされていると、バルトロさんが助け舟を出してくれた。


「ああごめんね、どうしても珍しくて」


 そう言ってアンナと言われた女性が手を離す。


「どうも君からしたら始めまして、私はアンナ・ヴィエーラ所謂四本槍の四番目、これからよろしくね異世界人のリョウ君」


「はい、よろしくお願いします」


 四本槍の最後の一人か、そういえば式典にも居たような気がするな。


 揉み込まれた頬を摩りながらアンナの姿を見ていく。


 しかしラウロさんがもう一人も槍使いではないと言っていたが、魔法使い用のマントを付けているし魔法使いなんだろうか。


「君は私に興味があるのかな?」


「え、いや、ジロジロ見てすみませんでした」


 服装を見ていたら小さく笑いながら言われたので、慌てて謝った。


 慌てる俺を見てアンナの顔が意地悪そうな顔になる。


「私は君に興味があるよ。後で私の部屋で話を聞かせてくれないかな?二人きりで」


 顔を近づけ意地悪に囁くアンナの言葉に、顔が思わず赤くなる。


「はー……そろそろ自分も怒りますよ」


 深い溜息を付いて、バルトロが呆れながらアンナへ言った。


「あはは冗談よ、冗談。でも話は本当に後で聞かせてね」


 そう言ってアンナが離れていく、と思ったら俺の背後に回ってこちらの話し終わるのを待つように立った。


「何と言いますか、ご迷惑をかける様で申し訳ありません」


 話が終わり次第涼を捕まえて行くのだろうアンナを見て、バルトロが先に謝る。


「いえ、俺は大丈夫ですから」


 俺の言葉を聞いてバルトロが気を取り直して話を続ける。


「それで何処まで、いえ何も話していませんでしたな。えー、レオ殿とリョウ殿達には自分達と一緒にフレージュへと向かってもらう事になりました」


「フレージュへ?」


「はい。レオ殿が四天を倒し、戦況は大きく動こうとしております。そこで皆さんには連合国の方々が集う会議に出席してもらう事になりまして」


 なるほど、やっぱり生まれた勇者の下に全員が集うって感じになる訳か。


「それでリョウ殿はフレージュの事はご存知ですかな?」


「えーっと、魔王軍と戦ってるこの世界の一番大きな国って位にしか」


「そうですね、リョウ殿の言うように魔王軍との戦いの最前線となっている国であります。それではその魔王軍との戦いも含めて、詳しく説明していきましょうか」

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