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第二世界  作者: 長月 萩
86/115

本文85 保護者会議

「今日はこの間の続きやるか。板も残りのが多いからな」


「因みにこの木、なんですか?」


「サクラだ」


「サクラ?桜?何サクラですか?」


「ヤマザクラだ」


 おぉ!山桜があるのか!春が楽しみだね。まだ冬も来てないけど。桜なら食器にしても大丈夫か。

 私はヨーグルトが食べたいんだ!倉庫の肥やしになってるからね。入れ物はコップでいいとして、スプーンが無いんだ。雑貨屋や道具市で買ってしまえよ、と言う気はしているが、造ってみるか。…曲線多いから難しいか?

 いや、最悪口に運ぶ所さえ凹んでれば何とかなるだろう。

 …いきなりは無謀か?いや、成せば何とかなるかも知れない!


「じゃあ、こっちで作業しておいてくれ。聞きたいことがあったら表に来ればいい」



 了解です。

 まずは細めに板材を切る。

 スプーンの形を木に書き、その周りを鋸で切り落とす。…残ってる木材のが多いのは相変わらずだな。

 木に厚みがあるからここで段差を付ければいいか。柄の方はこの高さで下を切り取り、掬う方は上を切り取る…あ、線無くなるな。まぁ仕方無いか。これを薄くしすぎると、穴開けそうだ。ん~、彫ってから決めても良いか。


 作業をしながら考える。

 さて、四人集まってはなんの話をしているのやら。まぁ、私のナイフの話なんだろうけど。…なんなんでしょうね?ロイさんとグスタフさんは師匠になるわけだし、保護者っぽくなるのは、多少は仕方無いとして、ドミニクさんとビバリーさんも保護者みたいなんだよね。

 これが小説でよく有る、見た目小さな女の子とかならまだ、小さい子扱いするのは解る気がするんだけど、別にそんなんじゃないし。顔が童顔ってほどでもないしな。白人種からしたら日本人の顔が幼く見えるのは有るだろうけど、そんなのは異邦人で溢れかえってる。

 …実は四人とも長寿な種族で結構長生きしてたりするんだろうか?獣人は系統によってかなり差が有るんだよな?一番短いので人間と同じぐらい。長いとエルフ並み。黒豹系と兎系はどうなんだろう?兎は早そうな気がするんだけど、実際の動物と同じ様だとは限らないしな。

 そもそもドミニクさんとグスタフさんの種族知らないから、考えても仕方無いか。

 調合出来なければ、生活していけなかった、今でも色々聞かないと生活していくのが難しい事考えたら、子供と一緒だもんな。子供扱いされても仕方無いか…。良い歳こいてるんたけどね。でも良い歳なだけに、別に反発する気も起きない。事実は事実として受け入れなくちゃね。


 っと、くり抜くのはこの辺でいいか?スプーンに角は要らない。角を落として、と。

 掬う所が深いからこの辺も要らないか。

 む、削ってからだと難しいな。やはり先に切っておくべきだったか。

 さてと、後は鑢で削るべし。…ちっこい鉋があったらこの辺も削れるのかな?でも、鉋って難しいよな。刃の出方が良く解らん。慣れなんだろうけどね。まぁ、いい。鑢で頑張る。

 ゴリゴリゴリゴリ…


 ナイフかぁ。見た目は好きなんだけど、使う機会って無かったなぁ。普通無いよなぁ。小刀で鉛筆ぐらいは削ったけど、それ以外ではペーパーナイフすら使わなかったよな。

 ペーパーナイフ、持ってたけど、結局机の引き出しにしまいっぱなしになってたもんな。最初のうちは嬉しがって使ってたけど、ハサミのが楽だしね。



「嬢ちゃん、ちょっとこっちに来い」


 鑢かけ始めたばかりなのに呼ばれましたね。はいはい、何でしょうね。

 表に行ったらアドルフさんとシフォンさんがいた。どうしたんだ?アドルフさんが連れてきたんだろうけど。

「こんにちわ、どうしたんですか?買い物ですか?」


「こんにちわ…」


 なんか暗いね。どうしちゃったんだ?


「この子が、弓の練習したいって、訓練所に来たんだがな。どうにも合って無さそうなんで、なんか良い弓が無いか見に来たんだよ」


 あぁ、そう言うことですか。で、何で呼ばれたんだ?


「嬢ちゃんは、この子の弓見てどう思った?」


「弓の事は解りません」


「いや、そうじゃなくて、この子が弓ひいてるの見てってことなんだが」


 あ、ドミニクさんの言ってた話だったか。そんな事振られても困るんだけどね。

「と言われても、覚えてません」

 山熊倒した時にしか見てないよ。覚えてないよ。




「裏でひいて貰うか。それからだな。俺はそもそも見てないからな。体格だけなら、今持ってるのでも問題なさそうだが、そうじゃないから来たんだろ?」


 皆でゾロゾロと裏へ移動する。…ドミニクさんはお師匠さんとして来るのは解るけど、ビバリーさんとグスタフさんもなのね。皆して異邦人の保護者なのか?てか、私も必要なの?


「あそこに的が有るだろう?射ってみな」


「はい!」


 シフォンさんは狙いを定めて…外した。そもそも届いて無い。


「あ~。もうちょっと前に行くか。…そうだな、その辺から射ってみようか」


 今度は明後日の方向に飛んでいった。…初日からずっと使ってるんだよね?パーティーで外、出てるんだよね?…こりゃ確かに向いてないって言われても仕方無いかもな。


「…ちょっと貸して見ろ。…別に歪んでる訳では無いか」


 ロイさんが射った矢は、しっかり的に命中した。

 シフォンさんに矢を10本ほど渡して、中っても中らなくてもいいから、続けて射るように言う。

 立ち方、構え方、つがえ方と片っ端から修正していく。的に中る様になって、一度弓を降ろさせ、伸びをさせる。そして、言われたことを思い出しながら自分で弓を引くように言った。

 シフォンさんの放った矢は的に中らなかった…。


「…お前さんは弓に何か思い入れがあったりするか?」


「え?」


「完全に変な癖が付いている。弓をひききる前に放してるし、弓手もぶれてる。はっきり言おう。弓には向いてない」


 うわっちゃぁ。ロイさん厳しい。でも、現実ではまだ一週間も立ってない。武器変えるなら早い方が良いだろうね。


「弓をしたいなら、一から修正しないとな。他に武器の候補はなかったのか?」


「い…いえ、武器をそんなに知らないんです」


 うん。一般人女性の大半がそうでしょうとも。勿論好きな人もいるだろう。でも、興味無い人のが多いと思う。


「じゃあ、特に希望は無いのか?」


「希望って…?」


 種類知らない人に希望聞いても答えられないんじゃないか?


「後ね、これはあなただけじゃなくて、チュールちゃんもなんだけど、今の武器が使えなかった時のこと考えてる?」


「使えないって…」


「弓は矢が無くちゃ使えないわ。矢が切れたら?弦が切れて、すぐ張れる?弓は距離があってこその武器よ。つがえる間もない距離に詰められたら?」


 他に何も無かったら、見学するか、逃げるかどっちかだな。…パーティーだと一人で逃げ出すわけには行かないわな。


「後、素材なんだけど、染色の素材、魔物素材も結構有るって言ったわよね?でもあなた達、死体残らないわよね?どうする?」


「それは…ドロップで…」


「何が手に入るか解らないのよね?植物系魔物素材なら一部を採集すれば良いんだけど、倒さず採集って出来る?」


「え!?…それは解りません」


「魔物素材で造らないなら、普通の染色素材でいけるわ。でも、魔物素材は、魔物素材でじゃないと染められないの。売ってはいるわよ?魔物素材の染色素材も。でも、かなり高いわよ」


「魔綿の採集も収繭もしましたよね?一部の採集、出きるんじゃないですか?」

 私は思いついた事を言ってみる。皆普通にやってたよね?


「魔綿は、吐いた後は落とす物だし本体からは既に離れてるわ。魔蚕はその物だったでしょ?…屑繭で良いから製糸して貰うべきだったかしら?」


「…それドロップになるとかなり悲惨な事になりそうですね」

 紡ぐ為にお湯に入れたらドロップ品に変わる…。しかもランダムドロップ…生糸とかで出てくれたら良いけど、本来採れる量より減ってるんだろうしなぁ。


「そ、そんな可能性考えもしませんでした。でも、そうですよね。結果として殺してる訳だから、消えちゃうかも知れないんだ…死んだ後の繭ならなんとかなるんでしょうか…」


「…グスタフ、この辺で魔物の植物素材なんかいたかしら?」


「ふむ。全部じゃなく一部のみの採集か。〔ヴェノムリリー〕か〔ベムローズ〕…は難しいかのう」


「どっちも毒素材じゃない。止めてよ」


 



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