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第二世界  作者: 長月 萩
78/115

本文77 隠れんぼ

 行きと打って変わってやかましく話しながら歩いているせいもあるのか、魔物は全く出ないまま、もうすぐ森を抜けようとする頃だった。たまに離れて斥候をしていたビバリーさんが変な顔をしていた。


「先に変なのが居るの」


 …変なの?魔物とかじゃなくて?


「ヒトなんだけど、道から外れて隠れてるつもりになってるみたい。全然隠れて無いんだけど。全部で八人。三人はより奥に居るわ」


 …隠れてる積もりで隠れてない?それはビバリーさんが見つけただけではないの?


「グスタフもアドルフも行きに見たでしょ?」


「あぁ、あの連中か」


「何しておるのかとは思ったが、あれは隠れておったのか?」


 え?行きって事は、一昨日の話?


「そう。大体同じヒト達よ」


「道の邪魔にならないように、道から外れて休憩してんのかと思ってたぞ?あれ、隠れてたのか?」


「あれに気付かんのは、外に出たことの無い人間ぐらいじゃと思うんじゃが…」


 ボロクソ言われてますね。ってことは隠れてるんじゃなくて、休憩してるんじゃないの?


「そもそも、なんで隠れてるって解ったの?」


「言ってたから。今までも見つかってないから大丈夫だって」


 …何してるのか知らないけど、小さな子供の隠れん坊が浮かんだよ。足見えてるのに隠れたつもりになってて、大人は笑いながら「あれ?○○ちゃんどこ?ここかな?」とか言ってるの。



「それ、隠れてるの異邦人なんですか?」


「そうだと思うわ」


 あ~なんか解った気がする。

「それ、多分隠れてるつもりです。皆さんが思ってるより異邦人は気配殺したり、気配に気付くのに疎いんですよ。訓練所にいたアドルフさんなら、解りますよね?」


「…訓練所に来るのは特に劣った奴らだと思ってたんだが、あれが普通なのか?」


「恐らくは。一部には上手な人も居ますが、大半はそんな事、したことも無いと思います。こっちに来てまだ日が浅いですから〔隠密〕持っててもそんなに育って無いでしょうしね」


「えぇ?あんなに気配出してるのに?」


「やってみましょうか。私達五人が隠れてるつもりで一生懸命気配殺しますから、解るかどうか試してください」


「え?オレらもすんの?」


「…気付かれないようにすればいいのか?」




「庚ちゃん以外はあのヒト達よりひどいわ…」


「ちょっと、それで隠れてるって冗談じゃないの!?」


「あ~、お前さん達真面目にやってるか?」


「これは…予想以上に下手なのじゃ」


「魔物に遭わないよう気配消してないのかと思ったら、それが普通の状態だったのね」



 一生懸命隠れてたのに…と全員がぶつぶつ良いながらガサガサと隠れ場所から出て来る。ビバリーさんの最後の科白は留めになりました…。


「成る程、隠れてるわけだな、あいつ等は。じゃあなんで隠れてんだ?」


 魔物の待ち伏せ?いや、皆の言う通りだとすると、待ち伏せにはなってないから、奇襲を受けることはあっても、することはできないだろう。世界人も同様に、ほぼ奇襲を受ける事は無い。「今まで見つかってない」のは誰に?見つけられないのは異邦人プレイヤーだけ。となると…



「…ビバリーちゃん、門番から異邦人のみを狙った強盗が出るって言ってたわよね?」


「東に出るって言ってたけど…それ?」


「あぁ、言ってたな。殺されたく無かったら装備品以外を置いて行けって奴だろ?でも相手が何持ってるのか解んねぇのに成り立つのか?ポーチやらボックスやら何入ってるか解らないだろ?」


「それもそうよね。魔物と戦って回復アイテム全部消費してすっからかんで逃げ出したら、お金以外何も持って無いわよね?」


「森に入って行くのを後を付けて、戦闘に勝ったの確認してから襲うとか?」


「…手間のかかる強盗じゃの。自分で倒した方が楽じゃろうに」


「行きなら準備している分があるし、帰りなら収穫物が有るから、とか?」


「何持ってるか解んないのに良くやるわね…なんで異邦人だけなのかしら?」


「異邦人だけ狙うなら、今回はどうなるんじゃろうな?」


「…どうやって世界人と異邦人の区別付けてるんだ?ビバリーさんは解る。獣人は異邦人に居ないからな。グスタフさんも、言っちゃ悪いが年寄りの異邦人は少ないから、世界人と判断するとして、残りは…」


「装備の面でドミニクさんとアドルフさんも除けられるわよ。服装にしたって、武器にしたって、まだ異邦人に手が出せるものじゃないわ。…庚さんは世界人に見られるでしょうね。初期装備が全く無いもの」


 確かに。初期装備はパジャマにしてます。革の靴はかなり初期装備に近いものだとは思うけど。

 三人は初期装備の木綿の服の上に、革の防具を装備している。チュールさんはローブを羽織ってるからぱっと見には解らない。シフォンさんはズボンだけは変わっている。流石にサンダルは既に一人も居ない。


「…服装で判断してるなら、もう少しして皆装備が変わったら強盗はどうするんでしょうね?」

 見た目で判断出来ないならどうするんだろう?


「そのうち世界人にも被害が出るかも知れないな…」




「ここでウダグダ言っててもしょうがないわよ。着替えが有るなら別だけど。泊まりの予定じゃなかったし、持ってきて無いんでしょ?」


「…同じ物しか持ってない。安いのは木綿の服だけなんだ。先に防具に金をかけたからな」


 ビバリーさんとドミニクさんの目線は「お金かけてそれなの?」だ。絶対にそうだ。多分コート脱いでも私の方が防御力高いだろう。


「…あなた達どれだけお金無いのよ。今回の報酬、現金と服どっちがいい?既成品でよければニセットにするわよ」


 男性陣が口を開くより女性陣のが早かった。


「服でお願いします!」


「服がいいです!」



「私の弟子を名乗るんなら、まともな格好して貰わないとね。あなた達は?どうするの?因みに庚ちゃんは衣類で先払い済みなのよ」




「元々予定に無いのに押し掛けたから、報酬を貰う気は無かったんだが。コボルトからも大層な物を貰ってしまったし…」


「オレもそのつもりだったんだけど。てか、ビバリーさんの弟子して貰える方が嬉しいんだけど…」


「私はドミニクの手伝いだから、関係無いわ」


 ビバリーさんバッサリです。



「収繭もして貰ったし、家畜や柵の件もあなた達がいたから、こっちは製糸作業に集中出来たのよ。報酬ぐらい出すわよ。そんなケチじゃないわ」


 ドミニクさんはちょっと憤慨したように言ってます。


「…その胸当て、防御力2でしょ?既成品の服でもそれよりましよ?」




「…服のが防具より防御力が高いのか…」


「…これよりランク高いの結構値段したよな?」


 二人で顔を見合わせてぶつぶつ言ってる。



「現金のが良いならそうするけど?」


 

「「服ください」」


「そ?ならまずは無事に街に帰らないとね」



 見た目で異邦人か世界人かを判断するには〔鑑定(人物)〕を持ってないといけないらしい。最初は名前しか解らないけど、レベルがあがれば、世界人か異邦人か、メイン職業とかも解るらしい。但し、相手とのレベル差が大きいと解らない事も有るとか。


「今の段階では相当な廃人でもない限り、異邦人プレイヤーにそんなレベル差は無いだろうからね。レベル10になれば世界人か異邦人かは解る。解らなかったら相手のレベルが高いのだから、必然的に手は出さない、のかもな」


 …危険フラグな気がしてきた。レベル差どれぐらいで解らないんだろう?強盗してるぐらいだ。多分それなりにレベル有るんだよね?なら異邦人と解ってしまうだけで済むけど…


「名前は解っても、他の情報は会話しないと解らないんじゃなかったっけ?会話しなくて解るのは〔看破〕で、〔鑑定〕からの派生技能じゃなかった?」


「〔看破〕は相手のレベルと職業レベルまで解るんだったか。マナーとして口外はしないように、という話だが…」


 マジすか。〔看破〕危険技能すぎる。〔隠蔽〕とかないかな?

図書館行って探してみるか。


「強盗してる犯罪者にそれを言ってもねぇ…。ちょっと待って。そもそも強盗は罪になるの?世界人に対してはそうだろうけど、異邦人プレイヤー同士だったら?」


「…犯罪行為は可能だが、罰則が有る、とだけしか書かれてなかったような…」


「でも、GMコールで対応してくれるのよね?」


「じゃあ今までの被害者はなんで強盗にあったの?」


「呼ぶ間も無く襲われた?でも、解放されてるんだよな?なんで泣き寝入りしてるんだ?」


「いや、話題にはなってるんだから、泣き寝入りでは無いだろう。…こっちも調べておけば良かったな。亜人の事で他の事がすっ飛んでたからなぁ…」







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