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第二世界  作者: 長月 萩
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本文76 お礼の品

「クエストが終わった…」


 テイラーさんがボソッと言いました。え?どう言うこと?


「さっき、お礼の御守りを受け取ったら、クエスト完了のインフォが入った。報酬は1,000圓と経験値1。他のメンバーの所にもインフォは入ってた。…お礼の品を受け取るのが完了条件だったのかもな」


「完了して良かったじゃないですか」


「あぁ。だが、お前が行くと言わなかったらあそこには行かなかった。経験値は分けられないがお金は…」


「パーティーに入らないか、という誘いが有っても、入らなかったのは私です。気にしないでください。そもそも、私だけでは編み物、教えられ無かったんですから」


「いや、しかし…」


「きっと行かなかったら、あの子達から探しに来たんですよ。そう思ってください。この話は終わりです」


 まだぐだぐだ言いそうなのを手で遮って、テイラーさんから離れる。

 …所で経験値1って何?ステータスに報酬経験値って欄が増えてるけど、それ?あれはどうやって使うんだろう?




行きに荷物満載だった荷車は一つは空になっていたけど、一つは満載だった。


「繭と糸よ。いつもは繭だけだけど、今回は製糸も少ししちゃったから。庚ちゃん、この荷車は私の工房まで絶対出さないでね」 

 はい了解です。採集したり行きの魔物が入っていたりするけど、ボックスに空きはたくさんある。


「皆、忘れ物は無いわね?いい、行きにも行ったけど、もう一回言うわよ」


「目的は街への帰還。採集は許可制。無駄な戦闘はしない。最優先はこのメンバーの命と荷物。守れないものは置いていく。以上よ。では街へ帰りましょうか」



「ちょっと持った、俺も一緒に帰るわ」


「あら?アドルフもういいの?」


「さっき連絡が入った。もういいってさ」


「そう。グスタフもいるし、行きより二人増えてるのよね…二人とも勝手な行動する前に断ってよ?あなた達が採集するのは待たないからね?」


「おぉ、冷たいこったな。相当希少なもんでも見つけない限り、採集する予定は無いぞ」


「ふむ。では断ってから離れることにするかの」


 あ、グスタフさん個人行動取る気満々ですか…。


「庚ちゃん誘っちゃダメよ?大事なもの庚ちゃんが持ってるんだから」


「解っておる」



 村の入り口には村長さんと、セムさんに、トムさんがいた。


「ドミ、また、来る」


「皆、また、来る。色々、ありがと」


「ルー、庇った。ありがと。お礼」


 セムさんがチュールさんに白い糸の束を渡している。チュールさんは戸惑っているようだけど、既にテイラーさんから聞いていたのか素直に受け取っていた。


「ありがとう。嬉しいです」


 テイラーさんの事が無くても、ここでクエスト完了になってたのか?でも庇ったのはクエスト発生前の事だな。どうだったんだろう?


「皆、家畜、材木、ありがと。お礼。また、来る」


 村長さんからのお礼は全員分ありました。色も皆違いますね。どういう根拠で選んでるのか気になりますが、ちゃんとどの色を誰、と決めて渡しているようです。私には濃い灰色の布を渡してくれました。


 コボルト達にお礼を告げ、手を振って村から出る。




 お礼をしまってステータスを見て、目を剥いた。


〔魔蚕の紬のショール〕

魔蚕の紬糸を織って造ったショール。

防寒具にも日除けにもなる。

魔蚕の為汚れにも強い。

その人に似合う色をコボルト達が選んだ。

防御40・回避20・耐寒30・耐暑30・防水機能付き


「はぁぁぁ!?」


奇声をあげたのは誰でしょう?気持ちは解ります。もしかしたら私があげたんでしょうか?


「こっ、これ!!」


 異邦人プレイヤーは殆どパニック状態。私も似たようなもんだ。どんだけ性能良いのやら。


「あら~。これはまた張り込んだわね。人数も多かったのに、自分達の分、ちゃんと残してるのかしら?心配になるわね」


「俺貰っても良かったのか?」


「わしも、ちと気が引けるのう」


 おやおや、世界人の皆さんにとっても想定外の品物だったようですね。


「今回は色んな事が有ったから、厄除け兼ねて、奮発しよう、って言ってたから止めなかったわ。ここまでとは思わなかったからだけど…」


「わかってたら、もうちょっとランク下げるように説得したわよね…。さっき庚ちゃんとテイラーちゃんに説明した風習だけど、コボルトのお礼には厄除けも入ってるのよ。お礼を言うってことは困った事が起きた可能性が高いでしょ?だから恩人にお礼を渡すことによって、もう困った事が起きないようにって。だから余計に受け取って貰えないと困るのよ。それにしても…」


「次、村に行くときに物資増やせばいいわよ。コボルト達甘いもの好きでしょ?果物とか、お菓子の数増やしましょう」


「そうね、それしか無いわね…。グスタフもアドルフも、たまに村に行くからいいとして、あなた達も、モスの村にまた行く機会があったら良くしてあげてくれる?」


 全員で勢い良く頷いたのは言うまでも無い。村に行くのが決まったら、朝市寄って、果物をたくさん買うことにしよう。

 



「チュールちゃん、良いですね。それは何の糸ですか?見せてください」


 シフォンさんがチュールさんに絡んでます。まぁ、パーティーで一人だけ貰ってたらねぇ。


「〔魔蚕の生糸〕!?う、羨ましいです!」


「これまた良いもの貰ったわね。でも、それ、染めるのも織るのも大変よ?普通の染料じゃ染まらないし、織機の素材も普通のだとまともに織れないから」


「いつか、これで織れるように、頑張ります!ドミニクさん!指導お願いします!」


「えっと…そうね、弟子にしましょうかね。でも、言っておくけど、私は結構忙しいから、そんなに相手出来ないわよ?港の向かいに友達とやってる店があるの。そこにも工房が有るわ。友達には話通しておくから、そこの工房の器具なら自由に使っていいわよ。素材は私か友達が許可したものなら使ってもいいわ。でも、なるべく自分で集める努力をしてね?とは言っても、今の時期だと、綿も絹も難しいわね…。仕方無い、有る程度なら卸値で融通するから、料金用意しなさいな。獣毛ならまだ手に入るわよ。頑張んなさい」


「「はい!」」



「いいなぁ。ビバリーさん、オレはどうですか?弟子には出来ませんか?」


「解体出来たらって言ってるじゃない。解体してその皮持ってきたら教えてあげるわよ。言っておくけど、コボルト達も自分で解体して皮持ってきてたのよ?手振らなの、あなただけだったんだから。皮もってこれなかった子は、参加してなかったのよ?」


 うぐっと言葉に詰まるシザーさん。解体はハードル高い。現実の皮革職人でも、解体することは多分しないと思う。良くは知らないけど。

 異邦人プレイヤーにとってここはゲームの世界。現実でもしてる事をここでもしたいという人は少数なのじゃないだろうか?手間暇かけずに出来るならまだいい。でも、技能が上がれば特技で省略は出来るみたいだけど、それまでは現実と全く同じようにしなければいけない。それなら、しない人が多数なんじゃないだろうか?ここでしたものを現実に持っていけるのなら、実際より時間が早い分、訓練もたくさん出来るから良いのかもしれないけど、精神的な物とか記憶的なものならまだしも、肉体的な物は無理なんじゃないかな。

 リアルスキルを持ち込めるのだから、逆も出来るのかな?


 …それが解った所で私には関係の無い話だな。





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