本文39 サーシャさん登場
誤字の修正を行い、読みにくいと言われたので、句読点を増やしました。
[ポーン]
メール音で目が覚めた。朝8:00。危うく寝過ごす所だった。メールは木下さんからだった。
〈お時間ある時に連絡してください。出来れば家に居る時にお願いします〉
?何でしょう?急ぎの用でも有るんだろうか?取り敢えず顔を洗ってから、今家にいる事を返信すると返す刀で〈今から伺っても良いですか?〉と来たので〈どうぞ〉と返信する。玄関に向かってる最中にノックの音が聞こえた。…お早い事で。って運営さんのホームは隣だったか。そりゃすぐだわな。
開けると木下さんと原田さん、初めてみる女性と男性が一人ずついた。
「おはようございます。朝早くからすみません」
「おはようございます」
「おはよう。会ってすぐで悪いけど、早速フレンド申請出すわね。私はサーシャよ。大勢で押し掛けたけど、なんなんと、げんはフレンド申請だけしたら帰るから登録だけお願い」
そうなんですか?そうか、インしてる運営さんと連絡が取れるようにしておかなくちゃいけないんでしたっけ。
「初めまして。なんなんです」
「俺は既に顔見知りだな」
[ポーン][ポーン][ポーン]
《げんさんからフレンド申請が来ています》
《サーシャさんからフレンド申請が来ています》
《なんなんさんからフレンド申請が来ています》
「皆さん登録しました。初めましてなんなんさん。原田さんおはようございます。原田さんが『げんさん』でいいんですかね?」
「そうだ。では後は木下と三浦に任せる。南原行くぞ」
「はい、庚さんよろしく。では失礼します」
「あ、はい。よろしくお願いします。それでは…」
…二人共、本当に申請にだけ来たんだな…
「あがらせて貰っていい?」
おぉっと、まだお二人居ましたね。
「はい、どうぞ」
サーシャさんは細くて小さい人です。巻き毛だしホートックなのかな?
「悪いけど部屋見させて貰っていいかしら?」
「構いませんが、部屋は何も変わってないですよ。その二部屋は初日から開けても無いです」
失礼、と言いながらあちこち見て回り、最後に外を見渡した。…しまった洗濯物が…。女性だしいいか。木下さんはウロウロせず困ったような顔をしてソファーに腰掛けている。
「…やっぱり」
しかめっ面をしながら戻ってきたサーシャさんは木下さんの隣に座るとため息をついた。
「ごめんなさい、お茶も何も無いんです…」
まだお湯沸かすことも出来ない状態なんだよね。茶菓子も無いし。客を想定していなかったとは言え、ちょっといたたまれない。
「気にしないで。寧ろ謝るのはこっちよね。ごめんなさい、気が利かないで」
?一体何を謝ってるのか解らないだけど…。
「歓迎するとかいって、初期装備と初期配布のお金だけで放り出して本当にごめんなさい。今朝の会議で聞いて吃驚したのよ。外に出られないのに、お金も道具も渡さずに〔調合士〕にさせようだなんて」
「一日中ここに居なくちゃいけないのに、生活用品も全く渡さないなんて考えられないわ。本当に男って生き物は想像力が足りないんだから!」
「推想社で雇うと言って、詳しい内容も詰めずに話終わらせたんでしょう?考えられないわ!詳しくは会議でって、現実で一日経つ間にこっちでは三日も経ってるって事をどうして忘れられるのかしら!」
「家だけあったって、中身が空っぽなら生活できる訳ないじゃないの。それなら食事・お風呂の有る宿に泊まった方がよっぽどましだったでしょうに。本当に考えなしでごめんなさい」
木下さんはソファーで縮こまっている。確かに生活用品は全然無かったけど、西門さんにロイさんのお店に連れて行って貰ったのおかげでグスタフさん紹介して貰ったし、既に〔調合士〕には就くことが出来てる。確かにグスタフさんに会えなかったら途方に暮れてた気もするけど。
「お金が足りなければ、貸してくれるとは言ってくれてましたし、皆さんにはよくして貰ってると…」
「でも借りてないでしょ?大体西門に任せるのが間違いだったのよ。興味の無い分野はどうでもいいと思ってる典型なんだから。誰かが生活面のフォローを入れなくちゃいけなかったのよ!」
サーシャさんは木下さんをねめつけて、木下さんはますます小さくなっている。
「と言う事で、私も担当になったの。よろしくね。…とは言え私はインしてるの短いから、生活用品を揃えたら、緊急ではない男共に言いにくい事を聞くぐらいになると思うけど」
「まずは、着替え…と思ったんだけど、それ、初期装備じゃないわね?」
「着替えが無いと言ったら、ドミニクさんから貰ったんです」
いや、いつかはお金払うつもりではいるけど。一体幾らなのやら。値段を聞くのが怖いですよ。
「…ドミニクって北西区の職人街の?」
「職人街かどうかは知りませんが、北西区の人です」
「隣は防具職人のビバリーと賢者のサンタナ?」
「賢者さんは知りませんが、ビバリーさんはあってますね」
「…どうやって知り合ったのか聞いていい?」
「西門さんに、ロイさんの店に連れて行って貰って、ロイさんからグスタフさんに紹介して貰って、そこでビバリーさんと知り合って、ビバリーさんに連れて行って貰いました」
「…そうなの。グスタフとも知り合いってことは〔調合〕はグスタフの所でしてるのかしら?」
「そうです。弟子だそうです」
いつの間にか弟子になってましたよ。それを言うならロイさんの弟子でも有るんですけど。…まだ木工何もしてませんけどね。
「西門にしてはやるじゃないの。どうやって〔調合士〕になったのかと思えば、そう言う事だったのね。解ったわ」
「で着替えなんだけど、足りてる?既にドミニクの服持ってるなら初期装備なんて目じゃないだろうけど、パジャマ代わりぐらいにはなるんじゃないかしら?下着は多目にあっても困らないと思うし」
確かに。パジャマは全然持ってませんね。
「そうですね。…洗濯出来れば後2セットもあれば充分なんですけど、まだ干すところが無いんですよ。庭に木でも生えてればロープ渡すんですけどね」
「物干し場ね。ちょっと庭にでるわよ?」
「南向きだから日当たりはいいとして、木を植えるにしても真ん中に木が植わってると邪魔よね?西には井戸があるし、…そっちは薬草植えちゃったのね。…木だと枝振りも有るし、育ちすぎると梯子も居るわよね…。かといって物干し台は無いのよね…」
庭を見ながらサーシャさんはぶつぶつ言ってます。確かにそうだ。木によっては強度足りないとか、葉が茂りすぎて日当たり悪くなったりするかもだし。ってか苗木持ってきても干せるぐらいの高さになるまで、何年かかるのさ?
「サーシャさん?物干しなら木工で造ろうかと思ってるんですが、まずいですかね?」
「え?木工?自分で作るの?」
「はい。ロイさんの所に弟子入りする約束もしてますし、竹が何本かあれば取り敢えずの物干し台は考えてます。まぁ、木工と言うより工作レベルですけど。釘もなにも無いのでロープで縛るだけですから。竹って有りますか?」
稲を干す台みたいなのを作ったらいいんじゃないかと思ってる。支柱を三本組にすればなんとかなるんじゃないかと。稲干す程大量にかける訳でも無し、そんなに頑丈じゃなくても大丈夫でしょう。
「竹ならあるわよ。どれぐらいの太さと長さがいるのかしら?」
「物干し棹用の長めが一本と、支柱用のが六本です。支柱用はあまり太くない方が良いですね。長さは身長程もあれば充分です」
あまり高いと干しにくそうだ。
「それでいいの?庭木は要らない?」
「風景としては欲しいですけど、物干し場としては要らないですね。…あ、雨ってあまり降らないんですか?」
「たまに降らすわよ。と言うことは次は室内の物干しかしら?」
「しょっちゅう降るんじゃ無ければ、別に要らないとは思うんですがね。壁に穴が開けられるなら、フックみたいなのを付けられたら便利ですね」
部屋がちょっと広いが、端から端までロープ渡してもいい。
「室内に干すならハンガーが有った方が楽よね」
「確かにそうですね」
「洗濯関係は他に何かある?」
「洗剤か石鹸ってありますか?サイカチの実は頂いてるんですが」
「現実で使ってるような物はさすがにないけど、石鹸があるわよ。洗濯用と食器用と身体用と」
食器用ね。食器無いから今は要らないね。
「ついでに水回り行っちゃいましょうか。タオル要るわよね?フェイスタオル九枚とバスタオル三枚、足拭きマット二枚でどうかしら?」
「えっと、その数に何か根拠が?」
具体的的な数字なようなちがうような…。
「フェイスタオルについては、台所・洗面所・トイレで一日に三枚、替え用三枚に予備三枚。バスタオルも一日一枚、洗い替え用と予備に一枚ずつ。足拭きマットは流石に毎日洗わないだろうから二枚。どう?」
成る程。
「予備分は無くてもいいんじゃないかと…」
「あって困る物でも無いでしょ。タオルなんて」
仰る通りですね。でも贅沢品な気がします。それにどこもタオルハンガーが無かった気もするんですけど、どうしようかしらね?




