本文34 内3日目 雑貨屋
雑貨屋であるものを見つけて下向き気分が一気に上向きに。
畳です!かなり小さいけど。座布団かってぐらいだけど。ちゃんと畳の縁まであります。無地だけど。畳素晴らしい。掃除するならフローリングのが楽だろうけど、畳も好きだ。てか、家の中に靴で入る習慣は日本人には無いぞ!大掃除したら土足厳禁にしようかしら?あ、でもスリッパ無いと足冷たい?靴下無いからな。
…落ち着きましょう。畳は必需品ではない。その他の必要なものを…高い!手桶で100圓します!剣と同じ値段てどういう事!?風呂桶が刀と同じ値段だと!?たらいは杖と同じ!?…嫌、これはそんなに高いと思わない。
違うな。〔初心者の剣〕と〔初心者の刀〕が異様に安いんだ。そんで日本の物価が変だったんだ。
工業化による大量生産をしない以上、品物は手作りだ。伐採から搬送まで全て手作業だったら単価があがるのは仕方ないよね。大量輸送手段も無いわけだし
…それは有るのか。アイテムボックスあるもんな。スタック99個しばりが有るとは言え100種までいけるんだから9,900個運べるはずだ。充分な量だろう。輸送手段も一度行った所なら転移門があるから、新規開拓の際に一度危険を犯せば済む。輸送を請け負う人達が居てもおかしくないよね。
まさか世界人はアイテムボックスと転移門を使えない?アイテムポーチは使ってたよな?グスタフさんリンゴ出してた。倉庫もあるっぽかったけど…
「あんた、どうしたんだい?」
桶を前に考え込んでたら声をかけられました。店主のおばさんのようです。おおっと、店の迷惑になってましたか。ごめんなさい。
「いやいや、別に客は少ないから構わないんだけどね。アクセサリーの前で悩む子は多いけど、桶の前で悩む子は珍しくてね。あんたは入ってきて、日用品しか見てなかったからねぇ。最近越してきたのかい?前の家財はどうしたの?」
アクセサリーなんて置いてあったの?全く視界に入りませんでしたよ。真っ先に畳が目に入ってそっち行ったからね。
「あ、越してきたのは確かなんですが、家財は持って無くて買いに来たんです」
「おや、もしかして異邦人かい。そんな格好してるから解らなかったよ。異邦人は木綿の服と防具付けてるのしかみないから。桶が必要なのかい?」
「桶だけじゃ無いです。生活用品が一切無い状態でして。あ、ソファーと机だけがあります」
「なんだいそれ。寝るところも無いのかい?」
うん。普通はソファーより先にベッドだよね。
「ソファーがベッド代わりになりますから、寝床の確保はできてます」
「片手落ちも良いところだねぇ。鍋とか食器はいいのかい?」
「掃除道具も無いんで、灰出すわけには行かないんですよ。薪も用意しなくちゃいけなくなるしで」
竈の掃除に何が必要かも知らないです。灰掻き出す奴はなんて言った?
「確かに食事は一人なら作るより買う方が安くつくかもねぇ。それじゃぁ何が要るんだい?」
メモ見せた方が早いよね。昨日書いたメモを見せる。
「あんた雑巾なんて古着や使い古しの手拭い使えば…って異邦人は皆新品着てるけど古着すら無いのかい?」
「あ~、こっちに来る際一切の所持品無しで、支給された物しか無いんですよ。なので古着はありません」
「また難儀なことだね。だから皆宿屋使ってるんだね。あんたはそうしないのはなんでだい?」
「ちょっと伝がありまして、家はあるので寝るところは困らないんですが、生活用品が無いので見繕いに来たんですよ」
周りを見渡して異邦人が居ないのを確認してから話す。始まって二日目、まだホームを持ってる異邦人は居ないはず。
「そうかい、詮索して悪かったね。桶とたらい二つ必要なのは?」
言われてみれば要らない?洗濯して、絞った物を置くなら芝の上でもわけだ。大きな石でもあればもっといいか。どこから持ってくるか問題もあるけど。着替えも少ない事だ。風呂に入らないなら手桶も要らない。
「たらいだけでいいですね」
「物干し竿ってのは?」
え?それを聞かれるの?洗濯物って干さないの?
「洗濯物を引っ掛ける棒なんですが…」
「あぁ。庭の木に引っ掛けるやつね。染織屋が染めた布干すのに使ってるの見たこと有るね。そんなんわざわざ店で売らないよ。大きな屋敷じゃロープに干してるのも見るけど、大抵は草の上に広げてりゃ半日もあれば乾くさ」
カルチャーショック!日本人の私には想像もつかない事です。と言うことは勿論物干し台も無いと言うことですね。運営さん、何故そこは日本式にしなかった!
「洗濯ばさみならこれかねぇ。ハンガーなんていい服にしか使わないからここには置いてないよ。注文するなら木工職人に頼むよ?」
注文生産ですか。木工職人ならロイさんだな。武器だけ作ってるなら無理だろうけど…桶もたらいも木工分野じゃん。いやいや、自分で造れるようになるまでは当分かかるし、これらは買っておくべきだろう。
「注文まではいいです」
ん?ハンガーが注文作成なら畳は?畳ってそんなに頻繁に代えるものじゃないよね?なんで置いてあるの?こんなスペースの取るものそれこそ受注生産でもいいんじゃない?てか畳って雑貨屋さんにあるものじゃないよね?
「これは?畳ですよね?かなり小さいですけど」
「おや。知ってるのかい?それは見本だよ。それ作ってるのはあたしの出身の村でね。この街ではうちでしか扱わないから置いてるのさ。うちの村では家ん中には畳が敷いてあったもんさ。こっちに来て靴のまま部屋に上がるなんてびっくりしたもんだよ。畳一枚から売ってるよ。一枚売りは高いけどね」
「一枚の大きさと値段は?」
「基本の三尺六尺で5,000圓だね。村ではそんなしないんだけど、こっちでは贅沢品扱いでね。刀使いの屋敷以外では税金が高くなるのさ」
目玉転がり落ちるかと思いましたよ。六畳で30,000圓ですよ。
「刀使いの屋敷では安くなるんですか?」
「あぁ。畳敷く建物は造りからして違うからね。その分建物は高くなる。その上部屋はほぼ全部畳敷きだ。何十枚も要るから,あたしは単なる仲介業者になって、値段は村に任せるのさ。ま、刀使い以外では、物好きな金持ちが一部屋改造するぐらいでしか売れないから、殆ど仲介業者だね。刀使いの為に見本置いてるようなもんさ」
カラカラとおばさんは笑ってます。え~そんな内輪話をして良いのでしょうか?…基本世界人は誤魔化すとか隠すってしないんですかね?
「異邦人は皆畳を知ってるのかい?」
私の世代は知ってる。70年後はどうなんだろう?既に新しい家や賃貸には畳の部屋はだいぶ減ってきてた。それこそ武道系、しかも畳の上でやる武道の人しか興味無いかも。それすらも大抵は畳マットになってる。稽古するなら布引かないとそのままだとすぐ毛羽立っちゃうから使えないしね。
「多分知ってるとは思うんですが、どれくらい興味を持つかは解りませんね」
「そうかい。やはり刀使いにしか売れないんだねぇ」
いつか買いたいとは思うけど一枚5,000圓は中々出せませんね。敷くところ無いし。
「コップは食器や鍋の棚に有るから真ん中の棚だよ。細かいもんはカウンターの前だ。アクセサリーや魔法石もね。消してあるけど魔法石は要らないのかい?」
「お湯にするまでは自力で出来るようになったので、要らなくなったんです。あ、買わないんですが〔魔法石(空)〕の値段は知りたいですね」
調合続けるのなら〔魔石〕を自分で造ることもあるだろう。
「自力でって…生活魔法かい?なら掃除道具も洗濯板も要らないんじゃないかい?そこまでいけなかったのかい?」
「そこまでいけてないんですよ。やっとお湯作れるようになったところでして…掃除や洗濯を使えるようになるのはまだまだ先でして」
「おや、まぁ。最近使えるようになったのかい?生活魔法は子供のうちに発現して親の手伝いしながら鍛えるものだと思ってたよ」
「発現?」
「魔法が使えるようになることさ。生活魔法と召還魔法は子供のうちに発現しなかったら使えないんだとばかり思ってたよ。異邦人は違うのかい?」
得手不得手が有っても全部使えると聞いた。そう言えば司書さん「異邦人は」と言っていたか?なら世界人は全部の魔法使える訳じゃないのかな?
「そう、みたいですね…」
「今からでも鍛えられるならいいさ。使えるもんも少ないし、居ても中々鍛えられないらしい。レベル15魔法まで使えたら仕事先も自分で選べるよ。時間かければ出来る事ばっかりだけど、数こなすにはあったら便利だろうね」
便利な魔法だけに世界人には制約が有るのか。そして世界人は全ての魔法を使える訳ではないと。そうだよね。皆生活魔法使えたら掃除道具なんて売ってないよね。
「歯ブラシは、うちではこれしか扱ってないね。家畜や魔物の毛で出来てるのもあるけど、高くて売れないからね」
差し出されたのは棒でした。?棒?
「知らないかい?歯木って言うんだけど、この先を噛んで使うのさ。噛むと樹液が出てきて、繊維がほぐれてブラシみたいになるからそれで磨くんだよ。樹液に歯を綺麗にする性質があるから、あまり乾燥したものは使わない方がいいね。倉庫が有るなら入れときゃ良いけど、無いなら一本だけにして使えなくなったらまた買いに来たらいいさ」




