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第二世界  作者: 長月 萩
26/115

本文26  食堂にて

次の更新は年明けになります。

「坊主は何を思って剣にしたんだ?」


 食堂で全員が注文をし終わるとアドルフさんが剣の少年にそう切り出した。


「…僕は…剣が普通だと思ってて…え?」


 RPGの主人公と言えば剣だしね。VRシステムについては知らないけど、多分剣がメインのが多いんだろう。街は剣を腰に付けてる異邦人が多かった。街中だから大物武器はしまってるのかもだけど。私も基本しまいっぱです。


「物語とかは剣を使う騎士様が大活躍だからなぁ。嬢ちゃんはなんで杖にした?」


「使ったことあるから長さの認識が出来るのと、魔物に技かけられるとは思わないのと、触りたくないのが居そうだからです」

 動物相手に合気道が通用するとは思いません。


 対人だって何かしたことある人や、普通に力のある成人男性に通用するとは思わない。私の先生は「護身術に使えると思うな」と言う先生でした。「考えるより先に動けるようになって初めて身についた、と言えるんだ。技を試したいとか思ってるうちは全然だ」とも。


「この嬢ちゃんな、アトラアトラとスリングはあるかって聞いてきたよ」


 ロイさんにばらされました。まだ手に入れて無いんだから言わなくたっていいじゃん。遠距離攻撃素敵じゃん。


「…アトラアトラって?」


「私も名前は知りませんでしたが、投槍器の事です。小さな槍を投げつける器具です」

 どっちも古代の狩りの主要武器だよ。アトラアトラは地域によっただろうけど。


「何でそんなものを?」


「一回叩いてみて、小さいのには当てにくかったからです。空飛ぶ相手にも辛いですしね。遠距離なら安全に攻撃出来るでしょう?後、コストパフォーマンスです」

 人に飛びかかってくるようなウサギが要る世界怖いよ。空から来られたら飛び道具とか網でもなきゃ辛かろう。…使いこなせたら投網なんかどうだろう?


「なぁ嬢ちゃん、デカイやつ、そうだな嬢ちゃんの倍ぐらいある奴とどう戦う?」


「逃げる…のが駄目なら遠距離から魔法です」


「魔法が駄目なら?」


「槍ですね」


「…なんで?」


 こっちが何で?ですよ。すっかり情けない声出してますが、剣の少年、あなた大丈夫ですか?


「リーチが長いからです。殺傷力も高い。距離を取って刺すのであれば、そんなに技能は必要ないでしょうから。相手が物凄い早い相手なら、お手上げです。硬くて槍が効かない場合も」

 猟師さんだって鉄砲無けりゃ剣鉈を槍にするでしょ?…70年経ってまだ猟師さんはいるのでしょうか?


「弓は本当に選択肢に入らんのな」


 呆れた声でロイさんに言われてしまいました。

 …視力の問題が有りますからね。しっかり狙いを定めるのは辛いんですよ。それを言うなら投槍器も投石器もだけど。視力の事は言えないので肩を竦めるだけにする。投網思いついたなんて言えない。



「剣はな、特に長剣は対人、しかも戦での乱戦用の武器だ。馬がやられちまった、メイン武器が壊れちまった時用の武器なんだ。騎士様の役目は一人でも敵を倒す事、生きて帰る事だからメイン武器だけでなく、長剣の稽古もしっかりする。戦が無くなった今でも稽古はしてる。試合としては見栄えが良いから御前試合に剣の部があるしな。最近は長剣使いよりサーベルやレイピア使うのが増えてるみたいだが」


「相手が鎧でガチガチだったら、鎧も切れるような業物持ってる奴以外は鈍器として使う。魔物だって鎧以上に硬い奴もいる。同じ鈍器なら長剣よりフレイルやハンマーのがずっと使い勝手がいい」


「対人に特化してるなら刀もそうなんだが、何でだろうな?刀使いはどこに行っても一定数いるし、刀のみに拘って何が相手でも刀しか使わん奴も結構いる」


「嬢ちゃんの言ってたアトラアトラとスリングは廃れた武器だが、それこそ一人で訓練できる。振り回して投げるだけだからな。スリングはかなり難しいが、回数投げればコツも掴める」


 アドルフさんは滔々と話しました。…語る人多いよね。聞いてて面白いからいいけど。そうじゃない人には苦痛だろうな。



「坊主はここで何をしたい?剣で戦うならいいさ。簡単な基礎ぐらいなら教えられる。使いこなしたいなら王都まで行ってもらわにゃならんが」


「独学では無理ですか?」


「技能が上がりゃ職にも就けるし、特技も覚える。特技使えば強くなるだろうよ。でも、基礎がなってないと技能の成長が遅いんだよ。振って振って振りまくればあがるけどな。上級職には付けない可能性もある。才能がある奴はそのまま自分流作っちまう奴も居るけどな」


「でも、剣術だけに限らないんですよね…」


「そうだな。なにをするんでも基礎は大事だ。農民が農具使うのも、鍛冶屋が鈍器使うのも、使い慣れてるからこそだ」


「基礎ならなんでも教えられますか?」


「あんまり特殊なのは無理だけど大抵いけるぞ。俺が出来なくても、できる奴は居るからな」


 特殊なのは何なのか気になるんですけど、ここは口挟むべきじゃないですよね。お口にチャックで大人しくしておきましょう。それにしてもそんなに差がでるとは。ここに来て実は剣は不遇職でしたか?メイン剣の人多いでしょうに。有りなの?それ?


 運営さん、お客さん一人減らしちゃったかも知れないです!ごめんなさい。いや、私のせいだけじゃないですよね?てか、私に責任無いですよね?


「あんたはどう思う?」


 ええ?私に振るの?どうって何を?

「どうって何の事ですか?」


「剣のことさ」


 それでもやっぱり質問の意図が解りませんが!

「えっと何が聞きたいのか解りませんけど、基礎は大事だよなって、思います。何をするにしても」


「プレイヤースキル無いとしんどいよな?」


「多分ですけど、剣のプレイヤースキル持ってる人少ないと思いますよ?剣道とは違いますし、居合いや日本の刀ほどメジャーな流派がある訳でも無いとおもいますから。フェンシングなんかはレイピアになりそうですし。あえて言うならスポチャンが一番近いかと…。スポチャンってメジャーになってますかね?」


「スポチャンってスポーツチャンバラ?知ってるけどメジャーではないと思うよ。あんたが刀を選ばなかった理由は?合気道って木刀も使ってたよね?」


「木剣は使おうと思えば使えるかもですが、真剣は使ったこと無いです。抜刀と納刀が出来てこその刀だと思うので…」


「そっか。武道やってる人は考え方から違うんだね。じゃあ剣ってかっこいいと思う?」


「西洋剣士の動きを見たことがないです。見たらカッコいいと思うかもしれません」

 はい。カッコいいとは思ってません。私の趣味は脇役です。暗器使いとか薙刀使いとかに萌えます。弓使いもいいと思うけど、自分で使おうとは思わないな。


「そう言えばアドルフさんは何をメインに使ってるんですか?」


「俺かい?俺は戦斧だ。小型の斧も使うがな」


 また剣から遠いですな。突いて良し切って良し殴って良しですか?ん?長さは違うけど剣と考え方は変わらないのかしら?


「皆さんはどうです?」


 完全に観客と化してた三人にも聞いてる。…聞かない方がいい気がするんだけど。


「あたしは基本武器使わないわよ。使うとしたら剣鉈かしら?」


「けんなた?」


「剣鉈ってのは刃先と切っ先が付いた大型の鉈よ。枝払ったり解体したりするのに使うの。あたしが使ってるのはこれよ」


 うわぉ。ビバリーさん、それ小太刀ぐらいの長さ有りませんか?革職人さんだったよな。自分で革調達してるんだろうな。解体もしてるって言ってたし。


「…俺は棍だな」


「こん?」


「こいつは多節棍使わせたら逸品よ」


 多節棍と言うことは三節棍とか?



「わしは薬師で毒師じゃからの。毒じゃよ」


 薬師の〔霧化〕の事だな、多分。絶対それだけじゃ無いだろうけど。私に「無手もやる」と言った。多分合気道かその類を知ってるんだろう。

 剣の少年は首を傾げている。知らんわな。私も本で読むまで知りませんでした。


「薬師の特技にあるのじゃよ。毒を相手に与えるのが。まぁ、他にも幾つかあるがの」


「…そうですか」


 すっかり気の抜けた声をだしてる。大丈夫ですか?

 揃いも揃ってマイナー系とはどういうことだ?剣鉈は扱いはなんになるんだろう?多節棍て何節ですか?グスタフさんの「他に幾つか」も気になるんですけど!



「あたし達は生産者だからね。参考になら無いと思うわよ」


 多節棍の扱いが逸品な生産者って何だよそれ!ビバリーさんも剣鉈楽々と使いこなしてそうだよね。


「色んな武器があるんですね。何も考えずに剣を選んでました。僕ちょっと考えてきます。アドルフさん、本当にご馳走になっていいんですか?」


「おう、構わんぞ」


「御馳走様でした。皆さんもありがとうございます」


 立ち上がって頭を下げた剣の少年は、それじゃ、と言って食堂を後にしようとする。

 なんか悩んじゃってるみたいなので、追いかけて声を掛ける。


「世界人の人たちは生活があるし、死に戻りはできないから効率を考えるんだと思いますよ。異邦人プレイヤーにとってはゲームなんだから難しく考えなくて良いと思いますよ」


「でも、あんたも効率考えてるよな?」


「戦闘は効率重視、生産を楽しむ、それが私の楽しみ方です」

 生活と生命がかかってますからね。


「何かしようと思って始めたんじゃないんだ。商店街の福引きで当たってね。並んだり予約したりした人には悪いけど、凄くやりたかった訳じゃない。だから何となく始めて、何となく剣にした。剣にそんな歴史があるなんて知らずにね」


「あ~、それは第二世界の見解であって、リアルとは違うかもですよ?」


「うん、解ってる。でも、剣術と言えば日本の剣術、西洋剣術を殆ど見ないのは本当の事だろ?」


「興味を持たなかったから見つからなかっただけかも…」


「だから戻って調べてみる。じゃあな」


 そう言って剣の少年は走って去っていきました。…明らかに年下だろうに、最後までタメ口、寧ろ上から口調だったよね。別にいいけど。


 あ、知識(武具)が生えてる。知識シリーズどこまである?





所持金121圓


【技能】技能ポイント6(35+1)

メイン

観察レベル5/捌きレベル1/会話レベル1→2/歩くレベル6/柔軟レベル0/受けレベル0/杖術(短)レベル1/関節技レベル1

サブ

採集レベル2/筆写レベル3/知識(植物)レベル2/読書レベル5/魔法(土)レベル1/生活魔法レベル2/魔法(無)レベル1/調合レベル4

取得技能

知識(材木)レベル0/水汲みレベル0/体術レベル0/当身レベル0/知識(武具)0


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