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第二世界  作者: 長月 萩
16/115

本文16  ゲーム開始

「着替えてますね。魔法陣の設置はしました?」


 木下さん登場。あれ?何で?今何時?…はぁ!?

 内時間5:32、実時間12:32…実時間の8時間どこ行った?


「4時半から8分の1で1時間動かしたそうです」


 あぁ~…8分の1?それは…大丈夫なのか?いや、私には自覚できているような問題点はないみたいだけど…



「アバターが存在している場合は、余り遅くするのは問題があるんだが、1時間なら10分の1までは問題無いとされている。君は現実世界に肉体が無いし、ステータスも動かさなければ肉体的欲求による問題点はでない、と踏んでね。実際問題無さそうだ」


「早くするのは時間が必要なカウンセリングやリハビリなどには有効だが、遅くする事による有効性は見つかってないから余りしないんだがな」


 またしても喋りながら現れる西門さん。

 確かに遅くする事の有用性は思いつきませんね。箱を開けた浦島太郎になりたい人はそうはいないだろう。


 …西門さんと白衣とメガネしてない!そう言やあの格好では出ないと言っていたっけ。にしてもこの木綿の服って意外とどんな人にも似合うんだなぁ。



「始まるまで後少しだ。確認事項のおさらいをするか」


「一つ目、体力・魔力・持久力・空腹度は変化するのか」


「二つ目、残酷描写・痛覚制限は働いているのか」


「三つ目、技能・特技・職業・魔法の取得は出来るのか」


「四つ目、アイテム類が有効に働くのか」


「五つ目、魔物に攻撃が通るのか、魔物の攻撃は通るのか」


「六つ目、トイレは必要か」


「七つ目、死に戻りはするのか。…これは検証しないことになった。もし死にっぱなしになった場合、どうするのかとなってね。我々は君を人間として扱う事にしたから、余りにも非人道的な検証はするべきではない、と言う結論が出た」


「他にもあるか?」



「死に戻りは本当に試さなくてもいいですか?」

 科学者とかは絶対検証したがると思うんだけどね。


「必要無い。他は?」


 私には思いつかないので首を振る。木下さんも首を振ってる。


「六つ目、トイレの件だがプログラムはできている。タンクは使うが水洗だ。ただどこに設置するか決まってない。希望はあるか?」


 部屋の間取りを考えると…いや、まて!


「水洗て、タンクですよね?下水道のタンクどうすればいいんでしょう?世界人がトイレに行かないなら、そう言う汚物処理した事無いって事ですよね?…あれ?動物は?肥料は?」

 いかん、とっちらかってきた…


「いや、世界人はするぞ。排泄行為が無いのはアバターだけだ。動物・魔物もする。一部しないのもいるが。処理も問題は無い。下水屋で処理している。魔法が使える者は魔法できれいにする」


「どんな魔法です?」


「〔生活魔法〕だ。掃除や洗濯もこの分野だ」


 覚えよう。絶対覚えよう!

 …トイレの場所だったな。家をウロウロする。いっそ外とか?と外にでようとして扉閉めてたの思い出した。出れないじゃん…あ!


「外との間のスペースはどうですか?暖炉の裏側空いてましたよね?」


「あそこか。階段スペースだったんだが、広いし問題無さそうだな。設置しておくか?必要無いかもしれないのだが…」


「必要無かったら撤去で設置して貰っておいた方が嬉しいです。撤去が手間なら無理にとは言いません」

 行きたくなってから「今すぐ設置して!」とは言いにくいですよ。誰もがする生理的要求とは言え、恥じらいぐらいありますとも。一応女性ですし。



「撤去は手間ではない。聞こえたか?設置してくれ。……そう思うなら付けてもいいが……そうか。では頼む。……さて、トイレの場所は片付いたな」



「残りは全部纏めて確認出来そうだな。そろそろ始まる」


「プレイヤーが受けるチュートリアルを簡単に説明しようか」


「第二世界は『不親切』が売りだ。購入時に説明書が同封してあるが、用語説明も最低限だ。チュートリアルでは殆どしない。アバター作成・ステータス説明入力・ログイン時の注意事項・ログアウト時の注意事項・デスペナルティ・街中での攻撃無効の説明・犯罪行為への注意事項・PK容認の注意喚起・初回ログイン時のアイテム配布だな。後は質問受付。答えられる事以外は『ご自分でおみつけください』だ」


 それって本当に必要最低限しかないんじゃ…


「下調べもせず、説明書も読まないなら、何していいか解らんだろうな。因みに内時間で一週間の間に職業に付かなかったら、行動によって〔観光客〕か〔ニート〕の職業に強制的に就く。余りにも途方にくれてるようなら世話役世界人が声を掛けるから、滅多な事では〔ニート〕にはならない」


「〔観光客〕て仕事ですか…」

 いや、ニートも職業では無いと思うけど…


「たまにいるんだ。気晴らしで街中で食べ歩くだけの人物が。そう言うのはそのうちに趣味的な何かを始めるか、止めていくかだな。人に勧められて始めるタイプに多い」


 なるほど確かに〔観光客〕ですね…


「圧倒的に多いのは冒険者です。趣味は時間が有れば現実でも出来ますが、戦闘も含めて冒険は出来ませんからね。趣味をする時間がないからゲーム内でする、と言う人も一定数居るんですけど」


 ごもっとも。自分がゲームとしてするなら、冒険したいだろうしな。あ~現実の本が読めるなら、読書はいいかもな。気が付けば二時間ぐらい喰われてるし。


「忘れないうちに渡しておきます」

 差し出されたのは布地の和風な袋。くるりと留める紐と木で出来た留め具がお洒落な…財布?


「初回配布分の1,000圓が入ってます」


「銅貨、銀貨、金貨があって、100銅貨で1銀貨、100銀貨で1金貨です」


「財布に入ってるのが所持金です。現金をそのままポーチやボックスに入れることは出来ません」


「財布をアイテムボックスに入れてください。それで所持金に反映されます。出すときは〔財布〕と言えば出ます。アイテムボックスには〔財布〕は有りませんが無くなっては無いので安心してください。ただ、財布を購入し、中身を入れ替えた場合、所持金に反映はされますが、購入した財布はアイテム扱いになります。ポーチに入れてると掏摸の対象になります。また、ホームに金庫を設置すれば所持金を分けることもできます」


「これ、ぶちまけて無くしたりは…」

 しそうである。小銭を転がり落とした事の無い人はほとんどいないだろう。なら別の財布か金庫必要よね?


「この財布を使ってるのなら自分で現金を取り出して、落とす事はありますが、財布を開けた状態でも、買い物や譲渡以外で手から離れたらアイテムボックスに戻りますし、中身が出ることは無いです。他人が触ることも出来ない…んですが、これ試してみるべきじゃないですか?」


 最後は西門さんを向いて言う。


「そうだな。試してみるか」


 言われた通り、落としたり放り投げたりしましたが、なんて安心設計!【ステータス】の所持金に反映もちゃんとされている。お金落として無くしたりしないのはいいな。財布持って出るの忘れたりもしないし。二人とも財布を触ることも出来なかったので、盗まれる事も無いようです!素晴らしい!





 [ポーン]《第二世界世界へようこそ!新しいあなたの世界をご自分の手で創り上げてください!》


「今のは聞こえたか?」


「はい。強制インフォメーション?」


「働かないのはセクハラのだけか」


 それはそれでどうなんだろう……






装備 防御力:5

木綿の下着(女性用上下):防1

木綿のシャツ:防1

木綿の服:防1

木綿のズボン:防1

革のサンダル:防1

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