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第二世界  作者: 長月 萩
13/115

本文13 ホーム

 トントン、とノックの音がした。玄関から離れてるのによく聞こえるな。


「ホーム内の何処に居ても聞こえるぞ。それこそ庭の端にいてもな。原田か村山が来たな迎えに行ってやってくれ」


 開けらんないし、フレンド登録しないと入れないのか。ハイハイ、今行きます~。


「は~い」

 と開けたら村山さんでした。


 [ポーン]《ムーラさんからフレンド申請が来ています》

『はい』っとな。


「邪魔すんで」


「どうぞどうぞ」

 自分の家の気はしないがな。




「木下、交代や」


「解りました。開始前にまた来ます」


 首を傾げていると木下さんが言った。

「僕もうそろそろ限界なんで。現実世界で寝てきます」


 あぁ、成る程かなりいい時間っぽいよな、と【ステータス】の時計を見ると…『01:23』眠いわなそりゃ。


「では失礼します」


「あ、扉開け放しで出ていってや。もう止めるからな」


「解りました~」



「お休みなさい」

 と言うことで二人に目を向ける。


「何処まで説明出来たんかな?」


「残った分は私がするよ」



「台所にタンクがあっただろう?洗面所にも、そこにも」

 とリビングの向こうの壁を指す。


「あれらは水を入れるタンクだ。下のは下水だな」


「実はここは結構グレードの高いホームでな。さっき木下が金さえ払えば拡張出来る、と言ったがホームサイズによって拡張に限度がある。一番下は一部屋で拡張不可だ」


「このホームは上は三階、地下は二階まで拡張出来て、庭は10倍までいける。庭に新たに建築物を建てるのも可能だ」


 ポッカ~ンと口が開いてしまいますよ。何処の豪邸ですかそれ?

 庭広すぎ。


「それでタンクだが、魔法が使えれば自分で水を入れられるし、下水タンクも洗浄出来る。使えなければ『水屋』に空のタンクを持って行けば、水の入ったタンクを渡してくれるし、下水なら『下水屋』に持っていけばきれいな空のタンクを渡してくれる。どっちも有料だ。上水タンクのが下水タンクより容量が少なくなってて、上水だけ足すようなことをしなければ、下水が溢れることはない」


「ここなら井戸があるから水は自分で入れる事も出来る。技能〔水汲み〕は持久力を鍛えるのにいいぞ?お湯を出したい時は蛇口にアイテム〔熱石〕をセットする。〔熱石〕も魔法で造れるが、使えなければ店に買いに行く事になる。雑貨屋か魔道具屋だ」


「コンロは魔法かアイテム〔着火石〕だな。あぁ、これは〔マッチ〕でもいけるな。照明はアイテム〔光石〕だ」



「とまぁ、金か魔法が使えなければ、宝の持ち腐れな家だな。外食して、銭湯に行き、洗濯屋に服を持って行く。そうすればたいして金はかからん。生活にかかる費用はかなり安いからな、この世界は。手を洗うぐらいなら洗面所の水ですむし、それぐらいの下水なら庭に撒いても大丈夫だ。一応雑菌が繁殖しにくいようになってるが、タンクはたまに洗った方が良いだろう。手間が嫌なら井戸で手を洗ってもいい。地下水は飲み水にも適している」


「ホームの説明はこんなもんだ。質問は?」



「ホームに無いですし、ずっと催して無いんで必要無いのかもですが、御不浄は…?」

 …トイレが必要なゲームなんて聞いたこと無いけどな。トイレがあって、グミが見つかるゲームはあったけど。


「…無いな。君に必要だとしたら…問題だな。設置出来るようプログラムしておくか」

 指をかちゃかちゃさせる西門さん。そりゃ無いよね。


「裏設定が『排泄行為と性行為以外なんでも出来る世界』だからな。まぁ汗はかくんだが、余り臭くはならんしな」


「お風呂も余り必要無い?」


「あぁ。まぁ汗かいたら多少は汚れるし、土やらなんやらでは普通に汚れる。あんま気にせぇへんのやったら濡れタオルで拭くぐらいで充分や。あ、ホームやけど普通に汚れるからな。ちゃんと掃除しいや?掃除も魔法があるけど」


「また魔法ですか…」

 魔法、どうやったら覚えられるんだ?この家掃除して回るのはしんどそうだから覚えたいな。…掃除だけでも!


「…排泄行為が無いなら嘔吐も無い?笑ったりして吹き出したり」


「嘔吐は無いなぁ。吐き気はするんやけど。まずかったりして吐き出したり、吹き出したりはできるで」


「吐き気があるのに吐けないって辛いですね。じゃぁ腹痛も?」


「下し系の痛さは無いぞ。吐き気も軽い吐き気ぐらいだ。状態異常回復薬で回復出来る。吐き気・腹痛は毒物摂取でしかならないから解毒薬でいける」


「解毒薬は一種類だけ?毒の種類に対応して解毒薬があったしません?」

 現実なら色々あるよね。



「あるぞ。そうは多くないが。魔物の毒も魔物の種類によって違う。店舗販売の解毒薬はモンスターの種類毎にある。獣・鳥・虫・植物・爬虫類・両生類・魚類・軟体動物に鉱物。この街周辺にはいないが、種族毒以外の毒を持ってるのもいるし、二種以上の毒を持ってる奴もいる『魔物・その生態』にも書いてあったはずだが?」


「その本の途中で、そこまで読んでません」


「そうだったか。あぁ、この本は君に進呈するよ。まだ途中のもあるようだし、読みたいだろう?」

 そう言うと西門さんは10冊の本をローテーブルの上に置いた。…積まれると読みたくなる…。いかん、気をそらさねば!


「そう言えば、お礼言ってなかったですね。ホームありがとうございます。所で何でこんないい家を?」

 一番安い家でも良かったんですが。


「自分がどんな生活するか解らへんけど、もし技能類が取られへんかったら便利な家のがええやろ?それにこの近隣にはプレイヤーホームは在らへん。店も無い。世界人の民家と空き家だけや。あんまりプレイヤーがけぇへんとこやから、不自然でもバレにくいかな、と思て」


「後は、プレイヤーとフレンドになるのは構わないんだが、我々の事は黙っていて欲しい、とかまだ言ってない、お願い事が幾つかあってね。その口止め料も兼ねているんだ」


「どんなお願い事なんでしょう?怖いですね」

 物凄く高い口止め料じゃない?


「そんな難しい事はしないよ。技能を取得してから言おうと思ってたんだが、今してしまうか。…RPGはやると言っていたな。どんなゲームでどんなプレイをしていた?」


「オンラインはしたこと無いです。オフラインのターン制とかやりこみゲーですね。基本はレベルをあげて物理でGOです。回周可能でエキストラダンジョンとかのあるゲームが好きでした。マップ埋めとか、図鑑埋めがメインな所があったりします。図鑑は埋め切れたこと無いんですけどね」


「ターン制と言うと…」


「兎に首刈られたり、低レベル忍者にラスボスが首刈られたりする奴です」


「…RPGの基礎だな。100年前のゲームだぞ…」


「そっちのが年代近いんですから仕方ないじゃないですか。でも、家庭用ゲーム機に移植したのしかやったこと無いです。伝説の『PON』さんは知りません。呪文入力ファンブルも聞いたことしかないです。それに殆ど無くなってましたよ、ターン制は。ターン制で始まった奴も続編でリアルタイム戦闘になったりしましたし。それと3Dより2Dを好んでました」


「あのゲームで物理っておかしくないか?」


「友人にもよく言われました。魔法使わないわけじゃないんですが、回数制限で勿体ないと思っちゃうんですよ。因みに後衛はロングレンジで物理です」

 続編では高レベルの竜人のブレスも多様しました。パーティー内に二人は居た。侍×2・聖騎士・戦乙女・忍者・司教・魔術師がベストメンバーです。


「偏ってるというか、楽しんでるというか…」


「やりこみゲーとは?」


「周りに知ってる人少なかったんですが、爆発するペンギンが出てくる奴です。これはシュミレーションRPGだったかもです」

 可愛いんですけどね~。面白いのに、知らない人多かった。やろうと思えば一生あれで遊んでられると思う。


「オンラインではどんなゲームを?」


「パズルですね。消しゲーとかアイテム探しとか」

 黙々とやってました。


「オンラインでRPGをやらなかった理由はあるか?」


「難しそう、面倒そう、迷惑かけそう、怖そう、課金したくない、が主な理由です。あ、周りにしてる人が居なかったのもありますね」

 ゲームはオフライン派が多かった。協力物だとどうしても時間の縛りが出るからね。


「攻略とか検証に興味は無い?」


「検証は面白そうだとは思いますが、割と自分が解れば満足するのでそれ程は。興味の無い分野は検証する気無いですし。攻略は、誰か攻略法教えて、というタイプです。RPG始める際、攻略本を用意してから始めますし」

 これも邪道だと言われたことあります。…私が楽しんでるんだからそれでいいじゃないか!


「なら大丈夫そうだな」

 西門さんは続けます。


「もし君が技能等を取得できたとしてだが、君はログアウトしない。つまり、どんな廃人より廃人プレイヤーになるんだ。」


 …なんてこったい。






お読みいただきありがとうございます。

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