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第二世界  作者: 長月 萩
11/115

本文11 プレゼント

「技能・特技・職業などは開始するまでは無理だ。と言う事で残ったのが倫理コードだ」



「選択出来る物は【残酷描写】と【痛覚制限】だが、それ以外も入っている」

「主にセクハラ対策だ。セクハラは厳しく取り締まる。異性同性問わず世界人に対するセクハラもだ」


「間接的セクハラはGMコールで精査して処理する。通報者は誰でもいい。不特定多数の前で猥談するとか、不特定多数が目にする場所に卑猥な言葉や絵を書いたりする事がこれに当たる」


「運営から警告メールが行き、改善が見られないようなら罰則、とは言っても勿論ゲーム内の罰則だが。罰則を受けても繰り返し、悪質と判断されたらID消去の可能性もある」


「直接的セクハラは双方に強制インフォメーションが送られる。した側には警告、された側には通報を促すインフォメーションだ。通報があった場合はした側は強制ログアウト。精査の結果悪質な場合はそのままID消去だ」


「悪質では無い場合も罰則があるし、再犯したらID消去。通報が無かった場合でも衛兵詰め所に連行の上、尋問される。された側の執り成しがなければ、過失であっても、故意であっても罰則がある。過失の場合は軽目だが。故意が三回でID消去だ」


「ここで問題になるのが、セクハラが個人的主観、感情、状況にかなり左右される、と言うところだ。一律にしてしまうと、対人対戦ができなくなるし、街中で転んだ先に人がいただけでゲーム内とは言え犯罪者だ。戦闘中は発動しないとなると、相手の服のみ切り裂いたり、寝技に持ちこんでよからぬ所を触る対戦者が出る。戦闘後、歓喜して隣人に抱きついて強制インフォメーションが来るなんて、興醒めだ。そんなゲームやる人間はいないだろう」


「強制インフォメーションが必要となる、そんな感情や状況を判断するのもBB社のブラックボックスなんだ」



 …言いたいこと解りましたよ。

「私はブラックボックスには繋がっていない。セクハラしてもされても強制インフォメーションが働かない可能性があるって事ですね」


「それだけじゃない。残酷描写はどんなもんか知りませんが、痛覚も100%の可能性がある」

 と言う事ですよね。


「…そうだ」


 西門さんの肯定に木下さんが続ける。

「かと言ってセクハラとか痛覚を試す訳にはいかないですし…」



「構いませんよ?」


「はい?」

 木下さんに何言ってんの?みたいな目で見られてます。

 西門さんも軽く目を見張ってるし…


「正直、街中での戦闘行為無効が私に適用されるかも疑問です。ステータスは入りましたが、身体のプログラムが無い以上私はアバターでは無いんだと思います。肉体なのか、精神体なのかまでは知りませんけどね。人を軽く殺せるような武器を持った人達が沢山居る状態なんです。戦闘行為無効が働くと思い込んでて、うっかり死んじゃうのは嫌ですからね。確かめるべきでしょう」


「先に倫理コードから話すべきだったな」

 そんなすまなそうな声出さないでくださいよ。


「聞いてても入力したんで気にしないでください」

 本心から言ってますよ。


「さて、戦闘行為無効って自傷行為含まれます?含まれないならどちらかに攻撃して貰わないといけないんですけど」


「基本は含む。が、多少だと含まれない」


「どういう事でしょう?」

 意味解らん。


「包丁で手を切ったり、金鎚で指打ったりは普通に怪我するんです。生産活動中、自己の不注意による怪我は、現実で医師の治療が必要とされない程度にならする設定になってます」


「縫ったり、手術が必要な怪我はしない?」


「はい」


「他人からの攻撃はどの程度?例えば思いっきりしっぺされたりとか」


 木下さんの顔が深刻そうな顔から呆然とした顔に。

「しっぺ…」



 西門さんがくつくつ笑いながら言いました。

「一切無い。腕貸してくれないか?」


 服を捲り上げて腕を出す。

 うわ~スッゴいいい笑顔してはりますよ、この人。


 西門さんが振り上げた指は私の腕には当たりませんでした。



「当たらなかったな。跳ね返されたから攻撃無効は効いてると思って良さそうだ」


「剣とかで切りかかってみます?」


「剣は使わないんでな。ナイフでいいか?」



 西門さんがナイフを取り出そうとしたら木下さんが叫んだ。


「なんで!?」


 なにが?

 西門さん大笑いしてます。


「心配したんですよ!?ナイフでも突き立てるんじゃないかと!!なのにしっぺって!!」


「え~、怪我すん嫌ですよ」


「だからってしっぺ!!」


 拘わるなぁ。しっぺも思い切りされたら痛いんですよ?





 [ポーン]【お知らせ】が点滅している

 《プレゼントボックスにプレゼントが届きました》


「プレゼント?」


「丁度いいタイミングだな。確認してくれ」

 中身は、木綿の下着(女性用上下)・木綿のシャツ・木綿の服・木綿のズボン・革のサンダル・初心者ナイフ・アイテムポーチ×2・回復薬(5級)×5だった。


「初回ログイン時の配布アイテムだ。正直その格好でいてもらっては困るんだ。皆初期装備なのに高レベル生産者でも制作難しいような服装だと目立ってしまう。二つあるアイテムポーチの一つに纏めてアイテムボックスに仕舞って置いて欲しい」


「それと眼鏡なんだが、視力はどれぐらい悪いんだ?」



「日常生活に支障が出るほどでは無いですよ」

 近視に乱視だから離れた物はかなりぼやけてるが、運転しない限りは必須な訳ではない。眼鏡好きだし、買い物の際値札が見難かったりするので、外出るときは掛けるけど。


「アクセサリーとして眼鏡はあるんだが、かなり高価なアイテムでな。アバターの視力は初期値1.5で統一されているから、始めから眼鏡を掛けているのはいないんだ」


「西門さんの眼鏡と白衣は?」


「これは隠しクエストの時の格好でね。クエストの時以外でプレイヤーの前に出る事はない。度は入ってない」



 なんと。眼鏡さん居ないんですか。ちょっと残念。


「外してみろ。よく見えてたりはしないか?」


 外してみたら…ぼやけてますね。

「変わらないですね。でも何とかなるでしょう。運転するわけではないし、モニタ画面見るわけでもないですから」


 肉体ごと来てる説が強まったかな?


「すまんな」



「〔遠見〕の技能使えませんかね?技能石あるし」


 あ、木下さんが立ち直ってる。〔遠見〕?遠くがよく見えるのは嬉しいかも。…でも遠くってどれぐらい?


「いいかも知れないが、フィールドにでないと中々上がらないからな。…技能取得出来るかも解らんし、戦闘もまだ不明だからな」




 [ポーン]『メール』だ。差出人は「運営」?

 〈弊社よりのプレゼントはご確認いただけましたか?不本意な状況で、不安や解らない事も沢山あるでしょう。全力でサポートいたします。我々は貴女を歓迎します。ようこそ、第二世界へ!貴女の新しい世界に幸多からん事を 推想社 第二世界課 〉


「推想社名義のメールが来ました」


 ナニコレ?泣かせに来てるの?


 ……泣くもんか!!


 と二人を見ると木下さんはニコニコしてます。西門さんも…いや、あれはニヤニヤだな。




「うわぁぁぁ!!!!」

 泣きそうなの誤魔化すために、木下さんに抱きついたら叫ばれた。失敬な。


「なっ、なにを!!」


 なにをって抱きついてみたんですが?解放する際聞いておきましょう。

「強制インフォメーション来ました?」



「えっ、あっ、き、来てません!」


 叫ばなくても聞こえます。西門さんはまたしても大笑いしてます。


「これぐらいじゃ駄目でした?」


「保留だな。木下は驚いただけで、恐怖も嫌悪感も無かったろうし、君もそんなつもりは無かっただろ?」


「そんなつもりは無かった、大抵セクハラ指摘された人はそう言うんじゃないですかね?」


 本人は親愛の情のつもりだったりするから、拗れるんですよね。セクハラ問題。まぁ、好みじゃ無い男性にはとことん厳しい女性にもちょっとは問題があるかも知れないけど。あくまでもちょっと、ね。基本悪いのはセクハラを働く側です。


「片方だけに強制インフォメーションいくこと有るんですか?後仲間うちの猥談とかどうなってるんですか?」

 猥談と判断するのも人によって違う気がする。ってか仲間うちの事でも話す相手が居るわけだから、直接的セクハラに分類されたりしないのかしら?


「聞いたこと無いな。猥談はかなり直接的な言動をしなければGMコール対応だ。放送禁止用語はBB社の倫理コードとは別の社内倫理コードで警告インフォメーションが行く。幾ら優秀だからって任せっきりにはしてないさ」


「それもそうですね。言葉だけなら自動検出可能ですよね」

 自分の世界でもそうだった。掲示板とか書き込み不能な言葉があったりした。


「…放送禁止用語や差別用語って、放送社とか出版社の独自基準だったんですが、変わりました?」


「配信業界での基本用語規定はあるが、それから外れた物は独自基準だ。一時期は増えていく一方だったんだが、表現者側からの大反発があって、少し緩和された。表現者が生存している場合は当人との話し合いで表現が代わったりもするが、故人の場合は基本据え置きだ。今でも揉める事はよくあるな」


「差別用語の指摘は用語の勘違いとか、難癖なんじゃないかみたいなのもあったんですが…」


「変わらない。特に教育を全面に出してる市民団体が、細かく言ってくる。ゲームは教育に悪い、から始まって。確かにVRシステムが確立されてから半世紀程度だ。民間使用に関しては二十年経ってない。VRゲームの長期利用による影響の有無は実証は出来てないのは確かだ」


「変わってないですね~、そう言う人達は実証できても、別方向から文句言ってくるでしょうね」


「そうだろうな」




「ってことはお二人に猥談して貰っても私に強制インフォメーションが働くかどうかは解らないんですね」


「しないですよ!?」

 でも検証しておくべきなんじゃないですかね。


 ほら、西門さん笑ってますよ?


「警告メールは来るだろうがな。我々に来ても意味は無い」



「強制インフォメーションが来るとして、私がセクハラされた場合はともかく、した場合相手が通報しても強制ログアウトは出来ないとしたら、それ困りませんか?」


「…セクハラする前提?」


「好きでする予定は無いですけどね」







お読みいただきありがとうございます。

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